「君の幸せが他の誰かがやったりやらなかったりすることにかかっている時、
君は罠にはまっているんだ。
なぜなら、他の人々が考えることや行なうことを、
君がコントロールすることはできないからさ。
でもね、自分の喜びは他人にかかっているのではないということがわかったら、
その時には本当に自由になれるんだ」
「サラとソロモン」エスター・ヒックス、ジェリー・ヒックス 著 ナチュラルスピリット 出版
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新しい可能性のありか
真の発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ。
プルースト
現代社会の基盤となる考え方の検討
「現代社会の基盤となる考え方の検討」をテーマとした動画をyoutubeにアップしました。
大学のオンデマンド授業で活用した動画の一部となります。
私たちが当たり前のように常識だと思っている弱肉強食、適者生存、等の考え方を検討し、それらの考え方にまつわる勘違いや思い込みを解消していく展開となります。
決して派手ではない、演出もない素朴なものですが、大切なことだと思っています。よろしければご覧ください。
内的家族システムによるセルフリーダーシップ ⑦セルフリーダーシップを回復するために
7.セルフリーダーシップを回復するために
前節で、自分らしく幸せに生きるためには、Selfとパーツが信頼しあい、協調しあえる調和の状態であることが必要だということが分かりましたが、では、どのようにすれば、そのような調和や統合が可能なのでしょうか。IFSでは、まずは、自分の中に、自分が見捨ててしまったパーツがあることを受け入れること、そして傷ついたインナーチャイルド、追放者と和解し、癒し、再統合を図ることが必要だと考えています。どのパーツも見捨てずに歓迎する、全てのパーツに尊厳と感謝をもって癒しを深めていく自己への共感によるヒーリングが必要だと考えているのです。
私の中の追放者は、私が見捨ててしまった小さな私であり、私の顕在意識の手の届かないところに追いやってしまったために、もはやコントロールすることはできません。戦うことはもちろん、突き放す、無視する、脅す、褒美を与える、取引する、など、追放者が自分の一部ではなく分離した対称という認識を持ったままでは、どのようなテクニックを弄しても、問題を解決することはできません。
本質的な問題解決に必要なことは、もともと私だった追放者を再び迎え入れること、私の中の痛みの存在を認め、ありのままを受け入れ、共感し、再び自分として統合を図ることなのだと言えましょう。そもそも、追放者は、困難な人生を生き残るための適応方法として生み出されたものであり、それが無ければ私は生きてこれなかったかもしれないのです。私に不本意な問題を引き起こす原因なので厄介者扱いされますが、実は、私が生き残るために体を張って戦ってくれた勇者であり、私を愛してくれている大切な家族なのです。追放者と向き合うために必要なことは、暴力ではなく、ひとえにおもいやり、やさしさ、共感であり、高い精神性なのだと言えましょう。
内的家族システムによるセルフリーダーシップ ⑥Selfとパーツの関係がもたらす「私」の3つの状態
6.Selfとパーツの関係がもたらす「私」の3つの状態
Selfとパーツの関係の在り方によって、「私」は、⑴調和の状態 ⑵葛藤の状態 ⑶機能不全の状態 の3つの状態に変容していきます。それぞれの状態の特徴について以下解説していきましょう。
⑴調和の状態
Selfの働きによってパーツが十分に癒され、ネガティブのエネルギーの束縛から解放されると同時に、Selfとパーツの信頼関係が育まれて、基本的な安心感、世界と向き合う上での確固たる基盤が出来上がります。また、世界に対する信頼感、前向きな思いを取り戻し、チャレンジ精神や粘り強さ、明るさや勇気といった本来の美徳、問題解決能力を取り戻して、たくましく力強く人生を切り開いていきます。この状態こそが、人本来の可能性が表現されている状態であり、もっともその人らしく幸せに輝いて生きている状謡といえます。
⑵葛藤の状態
Selfは、活発なパーツの活動に打ち消されて、背景に隠れてしまい、もはや主導権を失った状態です。Selfを自覚できなくなると、私は、一部のパーツと同一化し、一部のパーツを私と認識するようになります。しかしそのパーツは、Selfとは違い、癒す力や人徳によるリーダーシップを発揮する能力はありません。時には、取引や計算高さ、あめとムチ、脅しや操作などの質の悪い管理者のするようなふるまいで他のパーツをリードすることはあるでしょうが、決してSelfの発揮する効果は期待できません。リーダーとしての限界があるのです。また、パーツは、内面に複数存在し、その目的や利害が一致しているわけではなく、かならずしも同一化したパーツに、他のパーツがすなおに従うわけではありません。ですから、一部のパーツが主導権を握った「私」の内面は、反論、抵抗、攻撃、など、パーツ同士が絶えず主導権を巡って戦いあう葛藤状態となります。
パーツ同士の葛藤が深まり、分離が強くなればなるほど、「私」の自己イメージは悪化し、自尊心を損ない、自己嫌悪が激しくなっていきます。
この状態になると、パーツの主導権が、頻繁に移行するようになります。要するに、ニコニコ笑っているかと思うと、いきなり怒り始め、暴言を吐くなど、他者から見ると、まるで人格が変わったような(実際に変わっているのですが…)現象が起こるのです。こうした症状は、境界型パーソナリティ障害としても知られています。この段階では、急激な人格交代は起こりますが、全ての人格の発言や行動の記憶が途絶えることはありません。自分(のパーツ)がやっていることの全ては、まだしっかりと把握できているのです。
⑶機能不全の状態
自分で自分だと認めたくない部分、自己嫌悪の対象、追放者が多くなればなるほど、自分の領域は狭くなり、自分は不自由で制限のあるふるまいしかできなくなり、無力感は増していきます。また、追放者を扱う管理者や消防士などのプロテクターにもエネルギーを注がなければならないので、自分のエネルギーはどんどん枯渇し、常に疲労している不活性な状態になります。そして、次第に自分の内面をマネジメントすることに対して絶望し、責任を持てない混乱の状況になっていくのです。
この状態になると、パーツ同士は、協調するというよりは、自分勝手にふるまい始め、相互の分離感は強く、壁が厚くなり、主導権を争う葛藤も激しくなります。また、「自分」は、増々無力で不活性状態になっているので、容易にパーツの影響を受けるようになり、主導権を奪われ、自分の意思というよりはパーツの意思で生きるようになってきます。
こうした症状は、統合失調症や多重人格としても知られています。この段階になると、もはや、パーツが主導している間の記憶が飛んでしまうことが多くなります。「私」は、私の場で起こっているすべてのことを把握することが出来なくなってしまう、まさに無秩序、混乱の状態、「私」の機能不全の状態となってしまうのです。
内的家族システムによるセルフリーダーシップ ⑤本当の私=Selfによる癒しと統合
5.本当の私=Selfによる癒しと統合
IFSでは、人にはパーツを超えた意識、人の「本来の自己」であり、力強く輝く気高い意識があると考えており、その意識をSelfと呼んでいます。
Selfは、普段は、パーツの活発な活動の背景に隠れており、容易には知覚できませんが、パーツとの同一化を止めて距離を置き、パーツへの負荷を低下させていくと姿を現してくると考えられています。
Selfは、思いやりややさしさ、穏やかさや平和、明晰さや創造性、勇気や自尊心などの気高い価値に満ちており、癒しや統合、問題解決の驚くべき力を持っており、一旦Selfが目覚めたならば、多くのパーツが癒され、一致団結して、一つの調和した健康で元気な自分として活躍できるようになると考えられているのです。
ですので、自分が自分らしく力強く幸せに生きようとこころざした場合には、このSelfを呼び起こし、本当の自分自身であるSelfによるリーダーシップを発揮して生きることが必要なのだと言えましょう。
内的家族システムによるセルフリーダーシップ ④誰もが持っている傷ついたインナーチャイルド
4.誰もが持っている傷ついたインナーチャイルド
IFSの言う追放者、自分の中に存在する傷ついた孤独な子供は、何も、病気で苦しむ人たちだけではなく、誰にでも存在するパーツであると考えられています。人の人生には、一つや二つの言葉にならない苦悩、人に言えない恥、思い出したくない恐怖や悲しみはあるものです。また、思い出すことができる痛みならまだしも、その記憶すらないトラウマも人には存在すると考えられています。
心理学で「幼児期健忘」という言葉があります。これは、3歳くらいまでの記憶がない人が多く、幼児期には記憶が残りにくい現象を言います。この幼児期健忘がなぜ起こるのかの原因は、明確にはなっていませんが、有力な説の一つが言語脳の機能説となります。
人は、幼児期は、まだ言葉を扱うことができません。ですので、左脳がまだ未発達なのです。その時期に自分をコントロールし自分を生きている主体は右脳である可能性が高いと考えられます。右脳は、イメージ記憶をもつ部位であり、幼児期の赤ちゃんは、右脳で周囲の様子、体験をイメージや感情で記憶していると考えられています。しかし、その後発達し自我意識を担うことになる左脳は、幼少期の右脳の記憶は感知しません。普段私たちが私であると感じている統一感は、前章でも述べた通り、左脳の言語機能、インタープリターから出来ていますので、解釈者としての私が感知できない記憶は、私にとっては「存在しない」と感じるのです。
こうして、右脳ではしっかりと印象記憶が為されているにもかかわらず、左脳でキャッチできないがゆえに記憶がないと感じる「幼児期健忘」という症状が起こるのではないかと考えられているのです。
幼児期の環境が、愛と思いやりとやさしさに満たされて、幸福に過ごすことができた人は幸運です。幼児期の右脳の記憶には、両親に対する信頼と愛情、周囲に対する信頼と安心感の思い出がたくさん残されており、意識できようができまいが、その人のその後の人生に、基本的安心感、勇気と粘り強さと前向きさ、明るさをもたらし、たくましく生きる生き方を後押ししてくれるからです。
しかし、幼少期の体験が完璧なものだったという人は、どのくらい存在するのでしょうか?一切の痛みや苦しみ、トラウマ的な体験が無かったと言える人がどの程度存在するのでしょう?痛みや恐怖は、両親の養育態度だけからもたらされるものではありません。たとえそれが完璧なものだったとしても、医者に行って身体を拘束されて痛い注射を打たれた時の恐怖、不注意によって転倒し怪我をした痛みとショック、心無い大人から向けられた悪意ある視線、人生には、多くの困難や痛みはつきものです。また、両親も完璧な存在ではなく、いつも愛情深く思いやりに富んでいる存在で居続けることはできません。時には、赤ちゃんにとっては、不本意で苦痛、悲しみ、恐怖を感じる対処もあったことでしょう。ですので、幼少期の体験が、人生を豊かにしてくれるようなポジティブなものばかりとは限らないのです。「私の子供時代は幸せで何一つ問題なかった」という人は、自分が自分の一部(追放者)に最悪の痛みを押し付けているという可能性を忘れてはいけません。そう考えられるのも、私の中の小さな犠牲者(追放者)のおかげなのかもしれません。
幼少期のトラウマは、左脳の自己意識では感知できませんが、それは、右脳にしっかりとそのままの形で記憶されており、トラウマがフラッシュバックの苦しみをもたらすように、本人が大人になっても、時と条件が整えば、その記憶はフラッシュバックし、その時に感じた痛み、悲しみ、恐怖と同じ感情が沸き起こってきます。大人の私は、沸き起こってくる激情の理由は分かりませんが、その感情や苦しみはリアルであり、理由の分からない理不尽なさまざまな心身トラブル、問題にさいなまれることにつながる可能性があります。人が感じる生きづらさや人と話すときの過度の緊張、さまざまな困難は、そうした幼少期の痛みに由来するのかもしれません。
幼少期のトラウマに代表されるように、人には多くの気づいていない痛み、苦しみ、トラウマを抱えている可能性があります。そう、IFSで言う追放者、傷ついたインナーチャイルドは、特別なことではなく、私たち一人一人の中で、その存在に気づき、関心を持たれ、癒してもらえることをいつまでもいつまでも待っているのかもしれません。
内的家族システムによるセルフリーダーシップ ③追放者の悪影響から全体を守る防衛者というパーツ
3.追放者の悪影響から全体を守る防衛者というパーツ
追放者のエネルギーは、残りのパーツにとっての脅威となるので、追放者の悪影響から全体を守るために、残りのパーツは団結して対処する必要が出てきます。そうした追放者から全体を守る役割を担ったパーツを防衛者(protector)と呼んでいます。また、防衛者は、その働きから、2種類に分けることができます。一つは「管理者(manager)」と呼ばれるパーツ、もうひとつは「消防士(firefighter)です。それぞれの特徴と機能を以下解説していきましょう。
⑴管理者(manager)
管理者は、追放者が目覚め、騒ぎ出さないように戦略的に自分の環境や人生を管理しようとします。主な働きは、消極的なものと積極的なものの2種類あります。
積極的な管理者は、追放者を抑圧封印できるように、追放者を無視し、関心を他に向けようとする働きをします。例えば、「仕事にエネルギーのすべてを注ぎ、経済的な成功を目指す」、「論理性を武器に理路整然と相手を批判し、自分の正しさを主張する」、「何事も完璧を目指し、確実に賞賛を受ける結果を出す」、「戦いに圧勝できる非の打ちどころのない強さを持とうとする」などのふるまい、生き方を促します。それが成功する場合は、勝利、安定、成長につながりますが、機能不全になると、ハラスメント、パニック、強迫、攻撃的などの問題につながることもあります。
もうひとつの消極的な管理者は、追放者を刺激しないように、刺激しそうな事柄や場を避けたり、追放者の信念や感情(ダメ人間、無力、絶望、自罰、恥)に従おうとする働きをします。例えば「人と会わない、話さない」、「できるだけ出かけない」、「自分を犠牲にして人の世話を焼く」、「身を低くして葛藤を避ける」、「注目を集めないよう目立たないようにする」、「受け身でしてくれるのを待つ」などのふるまい、生き方を促します。それがうまく機能する場合は、危険回避、慎重さにつながりますが、機能不全になると、うつ、無力感、引きこもり等の問題を引き起こす可能性があり、注意が必要です。
⑵消防士(firefighter)
管理者が追放者を目覚めさせないようなさまざまな活動をしているにもかかわらず、努力が及ばなかった時に登場するのが消防士です。消防士は、追放者が目覚め、感情が炎上してしまった緊急時に、その感情の炎を消すためのあらゆる努力を行います。傷つき暴れる感情の炎を消すためには、その感情を麻痺させること、その感情を開放すること等の対処法があります。消防士は激情を麻痺させるためにあらゆる方法を模索します。例えば、アルコール、薬物、食べ物、ギャンブル、セックス、ショッピング、などです。それらは、ある程度の気晴らし、楽しみとしてたしなむのでしたら問題は起こりませんが、時に消防士の行動は衝動的で、依存症につながってしまう可能性があるので注意が必要です。
また、消防士は、追放者の激情を小出しに解放することで消火しようとしますが、その場合は、怒りの表出、自傷行為、他者への暴力など、衝動的な行動につながります。
いずれにしても、消防士が出動した場合の本人の行動は、衝動的で問題行動につながることが多く、本人も自分のふるまいに戸惑い、困惑、後悔、自責の念を感じることが多いと言えます。顕在意識では、原因の根本が自分の傷ついたインナーチャイルド、追放者であることもわからないし、傷の記憶もありません。また、その傷の痛みを避けるための衝動ゆえの行動であることもわからないので、自分でそれが問題であることを知っていながら、それを止めることができない可能性が高く、強い無力感、自分を持て余すような絶望感を感じてしまうことが多いと言えましょう。
内的家族システムによるセルフリーダーシップ ②トラウマを担う追放者というパーツ
2.トラウマを担う追放者というパーツ
人は、自分では消化しきれないショック、痛み、苦悩を体験すると、防衛機構が発動し、その体験の全てをありのままに見て受け止めることを拒否し、担い切れない部分を封じ込めると考えられています。封じ込められた痛みの体験は、氷結されてそのままの状態で身体のどこかに保存されます。そのような封じ込められた痛みをトラウマと呼んでいるのです。トラウマの体験は、顕在意識には登らずに抑圧、封印されることになり、実際にその記憶自体が失われる事例も多数見受けられます。
IFSの考え方では、人は、無意識的に、このトラウマの痛みを自分の中の一つのパーツに背負わせて、他のパーツから隔離することによって、自分の全体像を守ろうとすると考えています。そして、隔離されたパーツを「追放者(Exile)」と呼んでいます。例えば、わたしたちには誰にでも、子供っぽく弱い部分があります。虐待を受けると、こうした部分は最も大きく傷つき、最も大きく反応します。人は、無意識に虐待のような担い切れない苦痛を体験した場合は、全体を守るために、一部のパーツ、この場合は子供っぽく弱い部分を切り離し、そこに裏切られた悲しみや痛みや恐怖を担わせることになるのです。
トラウマを担わされたパーツは、「私は愛されていない」や「私は価値がない」などの否定的な信念の下で、暴力を受けた恐怖、裏切られた悲しみ、重すぎる無力感や絶望、担い切れないほどの痛みを抱え込んでいます。追放者は、その強い否定的なエネルギーゆえに他のパーツにとっての毒、有害な存在となり、隔離されます。隔離された追放者は、他のパーツからは、存在を否認され、仲間外れとなって孤立します。かくして、私の中に、見捨ててしまった私、私の手の届かない悲しい痛みのユニット、傷ついたインナーチャイルドが生まれるのです。
追放者は、たとえ隔離され、封印されても、その存在が消えるわけではありません。実態の影のように、その強烈な痛みや感情のエネルギーを保ちながら、私にぴったりと寄り添って存在します。そして、そのエネルギーは、潜在意識下で雑音のように少しずつ影響を与えると同時に、トラウマを体験した時と同じような環境=その時に見たものと同じようなもの、場所、時間帯、匂いを感じると、直ちに目覚め、騒ぎ出し、恐怖や怒り、悲しみ、罪悪感、恥、自己嫌悪、等の強烈な感情エネルギーを復元させて、本人に問題行動を起こさせる原因となります。その際、追放者の痛みの理由は、その人の顕在意識では理解できないし、その強烈な感情エネルギーは、顕在意識のコントロールでは及びません。その人は、よくわからないままに、強烈な感情や衝動が沸き起こり、何らかの問題行動に走らざるを得なくなってしまうのです。
内的家族システムによるセルフリーダーシップ ①内的家族システムとは
1.内的家族システム理論とは
内的家族システム(Internal Family Systems Model)、略してIFSは、アメリカの家族療法のセラピストであるリチャード・シュワルツ博士によって開発された心理療法です。1980年代より始まり、30年以上の歴史を持つ療法であり、世界中の多くの心理セラピーの場で活用されています。また、広く一般的に認知されている理論でもあり、2013年に発表された関節リウマチに対する研究論文で、その効果が認められたこと、エビデンスが実証されています。
IFSでは、人の心は、複数の副人格の集合体であると考えています。この場合の副人格とは、独自の考えと感情を持つ存在を言います。つまり、IFSの考え方では、私の中には、独自の考え方や感情を持つ多くの小さな私(人格)が存在しており、それぞれが、協力したり、戦ったり、働きかけたり、なだめたりしながら、わたしという全体像を作り上げていると考えているのです。なお、IFSでは、これらの副人格をパーツと呼んでいます。ここでもこれに倣って、以降は副人格をパーツと呼びます。
また、IFSでは、パーツを超えたSelfと呼ばれる意識があるとも考えています。この場合のSelfとは、パーツを超えた高く大いなる意識であり、私たちの「本来の自己」であると考えています。Selfは、私の中のパーツの癒し手であり、私の人生を導く真のリーダーとなります。そしてSelfとパーツの関係性によって、人生のクオリティが大きく変わってくることになるのです。それが反感と不信、罪悪感と恥辱に満ちていると、解離や統合の失調をもたらしますが、相互信頼と安心、思いやりと調和に満たされた場合は、力強く輝く幸せな生き方につながるのです。まさに、セルフリーダーシップによる輝かしい生き方が実現できると言えましょう。