<システム思考の特徴>
・悪者を決め付けない
システム思考の特徴は、問題の原因を安直に特定しないことと言えます。
システム思考では、問題は、その原因として一直線に特定することはできずに、複雑なシステム行動の結果としてあらわれていると考えており、その複雑なシステムを丁寧に紐解き、ありのままを理解することが最も大切なことと考えているのです。ですから、全員参加で、現状のシステムの仕組みを分析することを徹底的に行っていくのです。
・すべてを明らかにする
複雑なシステムを構築する要素は、その構成員の心理状態をも含まれています。ですから、普段は潜在化して表には出ていない様々な感情や思い(込み)、考え方などが明らかにされていくことになります。もちろん内面をオープンにしていくためには、信頼関係の構築が必要となりますが、そのような関係性のない状況で強引に開示されていくわけではなく、コミュニケーションを通して、お互いに内面をオープンにすることを許すことができる風土の元で、顕在化のプロセスはゆっくりと進んでいくことになります。
また、システム思考においては、不可侵の領域や治外法権領域を作ることはできません。ですから、問題解決に当たって、ありのままを明らかにしていくこと、部門や階層を越えた全社的な問題解決を図ろうとする試みであることを、事前に経営トップと合意し、許可や協力を取り付けておく必要があります。
- 全員参加型
一部の特定のエリートによる問題解決ではなく、関わるすべての人が参加することが望まれる問題解決法です。組織内のシステムの現状やダイナミックスを明確にしていくためには、システム思考による問題解決を図る場合には、あらゆる階層から、あらゆる機能から、できれば全員が、少なくとも立場や機能を代表する人が参加する必要があります。
- メンタルモデルの解除
表面化している問題は、たいていの場合、システム全体の問題(限界)によるものと言えますが、システムの問題は、たいていの場合、それが構築されたときのメンバーのメタルモデルと呼ばれる思い込みや勘違い、狭い意味での信念、世界観が元になっていることが多いといえます。その意味では、問題解決の本質は、その古くて機能しづらくなっている過去の世界観や信念体系、メンタルモデルを解除して、より現状に即したより持続的成長が可能となる自然で健康的なシステムに移行することといえましょう。