システム思考

システム思考とは、マサチューセッツ工科大学のピーターセンゲ教授が中心となって提唱されている“Learning Organization(学習する組織)”へと導くためのひとつの原則です。

従来の問題解決技法や考え方では、組織の問題を解決しようとした場合には、まずは、その問題の原因を明らかにし、その本質的な原因を排除するか変えることによって解決を図ろうとするものですが、センゲ教授によると、組織の中で起こっている問題というものは、原因→結果という直線的なかたちで整理して説明しつくせるものは少ないとされており、たいていの場合、複雑にかかわりあったさまざまな要素の相互関係の結果としてあらわれているものであり、その意味で、全体のシステムに焦点を当てて、現状のさまざまな要素の関係性としての現状のシステムを理解して、全体のシステムとしての改善を図っていく必要があるという考え方です。

従来の考え方では、問題を解決していこうと考えた場合には、その問題は、“私”とは異なるやっかいな“対象”として認識されているのですが、システム思考においては、“私”もシステムを構築する一員であるので、“私”も問題を生みだしている一因であり、その意味では、問題と私は分かつことはできないのです。ですから、私が変わることを通して、システムが変わり、全体が変わることを通して問題が解決されている方法と言えます。

従来の問題解決の思考法は、単純化、還元化に基づいており、物事をありのままに見るというよりは、観たいものだけを見る、必要(と思い込んだ)なものだけを観ることによって解決策を練るので、時には、部分的で本質的ではなく、短期的で長期的にはより多くの問題を発生させてしまう、不自然であり現場に即していない、無理があり問題解決行動に賛同を得づらい、などの問題が良く起こっていましたが、システム思考は、複雑で相互に入り組んでいる現実の姿をありのままに紐解き認識していこうとする方法であり、より現状に即した、よりリアリティのある、より自然で効果的な問題解決を促進することができることが多く、もちろん問題解決に参加しようとするメンバーの参加意欲も非常に高くなることが多いのです。

一部エリートによる変革計画に基づく問題解決策ではなく、多くの人に関わってもらい、全員の叡智を出し合って、本当のことを知り、本当に必要な対策を立てることができるシステム思考は、新しい時代、まさに21世紀型の思考法、問題解決方法といえましょう。

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