月別アーカイブ: 2022年5月

日光でチームビルディング研修

 先日、日光で、チームビルディング研修を担当してまいりました。

 17年来のお付き合いをさせていただいている労働組合さんのリーダーの皆さんを対象とした研修でした。

 参加者の皆さんは、とても意識の高い方々ばかりであり、素晴らしい方々、共に学ぶことができてとても光栄でした。

 人間関係論では、良いチームとは、機関車のように先頭車両(リーダー)だけが頑張り、あとはついていくだけというチームではなく、新幹線のように全車両にモーターがついているチーム、チームメンバー全員が個性に応じて活躍し、全員の力を引き出せるチームだと言われています。

 また、そのようなリーダーシップを分かち合えるチームになるためには、心理的安全性という要素が大切だと言われています。

 人間関係がやっかいなところは、そこに必ず恐怖が付きまというところだと言えましょう。拒絶される恐怖、見下され、嘲笑される恐怖、仲間外れにされる恐怖、いじめ虐待される恐怖、傷つける恐怖、傷つけられる恐怖。人間関係には、もろもろの恐怖がつきものです。

 人間関係論では、チームには偉大なる潜在性や可能性があると考えています。しかし、もしチームが十分に機能を発揮できていないとしたら、それは、何かが足りないから…、能力が足りないから、問題解決の方法が足りないから、優秀なコーチがいないから、などの欠乏から起こるというよりは、人間関係に付きまとう恐怖が過剰だからと考えます。

 光が不足しているわけではないのです、太陽が存在していないわけではないのです。あまりに厚い雲(恐怖や不安)が立ち込めていて、本来の光が見えないだけなのです。

 心理的安全性とは、人間関係に付きまとう恐怖を上手に乗り越えられた状態を言います。

 恐怖を持ってはいけないというわけではありません。私たちは天使に囲まれて生きているわけではありません。悪意をもって他人を操作、コントロール、支配、搾取しようとする人もたくさんいることは事実です。私たちは、そのような人たちから身を守るための注意深さや防衛力が必要であり、恐怖や不安は、そうした注意深さをもたらしてくれますので、役に立つ感情であり、不要なものでもなければなくすべきものでもありません。

 ただ、悪い奴らがいるからと言って、全面的に心を閉じて生きるということも本意な生き方ではないでしょう。豊かで平和な愛ある関係性が育めるものならば、そちらの関係性の中で生きることの方がより幸せな生き方であることは明らかなことです。

 ですから、私たちは、防衛とオープンマインドという相反する力を同時に働かせる必要があります。矛盾する機能を上手にバランスを取りながら、ゆっくりゆっくりと信頼を育んでいくのです。

 心理的安全性とは、そうした努力の成果として起こる高い次元の関係性、意識状態を言います。

 心理的安全性が起こっている状態では、チームメンバーは、拒絶されたり乱暴に扱われたりする不安から解放されています。誰もが誰もを尊重し、親しい家族、兄弟としてかかわります。ですから、演技や演出、仮面をかぶる必要がなくなります。顔色を窺ったり忖度したりのような面倒くさい疲れることをする必要がなくなり、だれもがリラックスと集中、普段通りのその人らしい自然な表情や振る舞いでチームにあるようになります。

 どんなことを言ってもバカにしたり見下したり嘲笑されたりすることはないと分かっており、そのような不安から解放されているので、心は自由であり、質の高いクリエイティブなアイデアが次々と創造されていきます。

 お互いに共感しあえる関係性が育まれており、だからこそ、話には嘘が排除されていきます。ウソがばれてしまうのです。ですから、話される内容は真実であり、個々人が持っている勘違いや偏見が修正されて、より正しい現実をありのままに見ることができるようになると同時に、打つ手も的を得たものになっていき、問題解決能力が格段に高まることになります。

 また、真実の関係性には、あたたかさややさしさ、思いやりと言ったパワフルな気高いエネルギーが交流することになります。そのような真の愛の関係性の中で、人は、癒され、元気を取り戻し、本来の自分となり、本来の輝く魅力的な表現ができるようになるのだと思います。

 今回、共に学んだリーダーの皆さんは、そうした心理的安全性を獲得できている素晴らしいチームでした。皆さん気のいい仲間であり、兄弟です。思いやりの中で本音が飛び交い、何しろそこにいるだけで楽しく、元気をもらえるような高い雰囲気のチームでした。

 今回、そのような素晴らしいメンバーとともに学べましたこと、とても光栄でした。皆さん本当にありがとうございました。

 やっかいなはやり病、戦争、経済の不安定、など不安要素が大きな激動の時代でありますが、どのような時代であれ、そのような真実味を身にまとうことこそが、大きな問題を乗り越える秘訣だと思っております。皆さんでしたら、きっと良き未来を開かれると確信しました。ともにがんばっていきましょう!

地球の生命は宇宙由来?

日本人の研究グループが、隕石から遺伝子(DNA,RNA)に含まれる塩基のすべてを発見したという快挙が発表されましたね。

以下、そのプレスリリースの概要をご紹介します。

<以下、北海道大学プレスリリースより引用>

炭素質隕石から遺伝子の主要核酸塩基 5 種すべてを検出
~地球上での生命の起源・遺伝機能の前生物的な発現に迫る~
ポイント
・最古の太陽系物質である炭素質隕石から,遺伝子の主要核酸塩基 5 種すべての検出に初めて成功。
・生命誕生前の物質進化の過程のうち,初生的な遺伝機能の発現候補となる分子進化を解く鍵になる。
・炭素質小惑星探査「はやぶさ 2」「OSIRIS-REx」による地球帰還サンプルからも検出が期待。
概要
北海道大学低温科学研究所の大場康弘准教授,海洋研究開発機構の高野淑識上席研究員,九州大学
大学院理学研究院の奈良岡浩教授,東北大学大学院理学研究科の古川善博准教授らの研究グループ
は,最古の太陽系物質である炭素質隕石から,全ての生物の DNA・RNA に含まれる核酸塩基 5 種(ウ
ラシル,シトシン,チミン,アデニン,グアニン)すべての同時検出に世界で初めて成功しました。
生命誕生前の原始地球上でどのように最初の生命が誕生したのか,という科学における究極の謎に
ついて,炭素質隕石や彗星など地球外物質によって供給された有機化合物がその材料となったという
説が提唱されています。しかし,生命の遺伝機能を担う DNA や RNA の構成成分,核酸塩基について
は地球外物質からの検出例が少なく,地球上での初生的な遺伝物質の分子情報や生成機構を含め複素
環分子*1の多様性に関する基礎情報は,断片的な記載にとどまっていました。
本研究では,独自に開発した高精度な核酸塩基分析手法を駆使して,マーチソン隕石やタギッシュ
レイク隕石など 3 種の炭素質隕石から前生物的な遺伝子の候補となる核酸塩基 5 種すべてを含む 18
種類の核酸塩基類を網羅的に検出することに世界で初めて成功しました。それら核酸塩基の種類や存
在量の分析により,少なくともその一部は太陽系形成前の星間分子雲という環境で生成した可能性が
示されました。本成果によって,生命誕生前にも多様な核酸塩基類が地球上に供給されていたことが
強く示唆され,始原的な分子進化における最初の遺伝機能発現の過程を読み解く鍵になると期待され
ています。
なお,本研究成果は,2022 年 4 月 27 日(水)公開の Nature Communications 誌に highlighting
paper としてオンライン公開されました。

あらゆる生物の根幹となる遺伝子の構成物質である塩基が全て隕石の中で発見できたということであり、正式に発見され公表されたのは、有史以来初めてのことだと思います。

この発見は、いくつかの可能性を示唆してくれますよね。

一つの可能性は、地球の生物を形作る遺伝子は、宇宙由来かもしれないということ。

私は、地球の生物は、海の波が起こす泡から生まれてきたと習ってきた記憶がありますが、実際はそうではなく、宇宙由来である可能性があるということ。

これは、大きな発見、可能性であり、地球上の科学のみならず、哲学や宗教にもコペルニクス的な大転換を起こす可能性がありますよね。

もう一つの可能性は、隕石に遺伝子の基礎物質が存在したということは、広い宇宙にも当然存在しており、宇宙には、多くの生命があるかもしれないということ。

私は、宇宙全体において生命が存在する可能性は低いと教わってきましたが、実際はそんなことはなく、宇宙には、豊かな命にあふれている可能性があるということなのだろうと思います。

これも、大きな発見、可能性であり、地球上の科学のみならず、哲学や宗教にもコペルニクス的な大転換を起こす可能性がありますよね。

もし宇宙に生命が想像以上に豊かに存在しているとしたら、想像はもっと膨らみます。

私は、人類のように知性のある生命が存在する可能性は極めて低く、ゼロに等しいと教わってきましたが、そんなことはない可能性があります。

広大な宇宙においては、太陽のような恒星が文字通り星の数ほど存在しており、その周辺に存在する惑星は、それこそ天文学的な数が存在しています。

その多くに豊かな生命が存在しているとしたら、人類のような知性ある存在に進化している可能性が全くないと考える方が不自然です。

もしかしたら、想像をはるかに超えるような文化や文明が存在しているのかもしれません。

もしかしたら、われわれは孤独ではないのかもしれません。

繰り返すようですが、この発見は、地球上の科学のみならず、哲学や宗教にもコペルニクス的な大転換を起こす可能性があるように思えます。

こうした偉業が、日本の中から生まれたことに、日本人としてうれしさ、誇りを感じます。

研究者の皆さん、素晴らしい研究をありがとうございました。

願わくば、もっともっと研究を進めて、まだ見たことも想像したこともないワクワクするような可能性を切り開いてくださいますように!