先日、日光で、チームビルディング研修を担当してまいりました。
17年来のお付き合いをさせていただいている労働組合さんのリーダーの皆さんを対象とした研修でした。
参加者の皆さんは、とても意識の高い方々ばかりであり、素晴らしい方々、共に学ぶことができてとても光栄でした。
人間関係論では、良いチームとは、機関車のように先頭車両(リーダー)だけが頑張り、あとはついていくだけというチームではなく、新幹線のように全車両にモーターがついているチーム、チームメンバー全員が個性に応じて活躍し、全員の力を引き出せるチームだと言われています。
また、そのようなリーダーシップを分かち合えるチームになるためには、心理的安全性という要素が大切だと言われています。
人間関係がやっかいなところは、そこに必ず恐怖が付きまというところだと言えましょう。拒絶される恐怖、見下され、嘲笑される恐怖、仲間外れにされる恐怖、いじめ虐待される恐怖、傷つける恐怖、傷つけられる恐怖。人間関係には、もろもろの恐怖がつきものです。
人間関係論では、チームには偉大なる潜在性や可能性があると考えています。しかし、もしチームが十分に機能を発揮できていないとしたら、それは、何かが足りないから…、能力が足りないから、問題解決の方法が足りないから、優秀なコーチがいないから、などの欠乏から起こるというよりは、人間関係に付きまとう恐怖が過剰だからと考えます。
光が不足しているわけではないのです、太陽が存在していないわけではないのです。あまりに厚い雲(恐怖や不安)が立ち込めていて、本来の光が見えないだけなのです。
心理的安全性とは、人間関係に付きまとう恐怖を上手に乗り越えられた状態を言います。
恐怖を持ってはいけないというわけではありません。私たちは天使に囲まれて生きているわけではありません。悪意をもって他人を操作、コントロール、支配、搾取しようとする人もたくさんいることは事実です。私たちは、そのような人たちから身を守るための注意深さや防衛力が必要であり、恐怖や不安は、そうした注意深さをもたらしてくれますので、役に立つ感情であり、不要なものでもなければなくすべきものでもありません。
ただ、悪い奴らがいるからと言って、全面的に心を閉じて生きるということも本意な生き方ではないでしょう。豊かで平和な愛ある関係性が育めるものならば、そちらの関係性の中で生きることの方がより幸せな生き方であることは明らかなことです。
ですから、私たちは、防衛とオープンマインドという相反する力を同時に働かせる必要があります。矛盾する機能を上手にバランスを取りながら、ゆっくりゆっくりと信頼を育んでいくのです。
心理的安全性とは、そうした努力の成果として起こる高い次元の関係性、意識状態を言います。
心理的安全性が起こっている状態では、チームメンバーは、拒絶されたり乱暴に扱われたりする不安から解放されています。誰もが誰もを尊重し、親しい家族、兄弟としてかかわります。ですから、演技や演出、仮面をかぶる必要がなくなります。顔色を窺ったり忖度したりのような面倒くさい疲れることをする必要がなくなり、だれもがリラックスと集中、普段通りのその人らしい自然な表情や振る舞いでチームにあるようになります。
どんなことを言ってもバカにしたり見下したり嘲笑されたりすることはないと分かっており、そのような不安から解放されているので、心は自由であり、質の高いクリエイティブなアイデアが次々と創造されていきます。
お互いに共感しあえる関係性が育まれており、だからこそ、話には嘘が排除されていきます。ウソがばれてしまうのです。ですから、話される内容は真実であり、個々人が持っている勘違いや偏見が修正されて、より正しい現実をありのままに見ることができるようになると同時に、打つ手も的を得たものになっていき、問題解決能力が格段に高まることになります。
また、真実の関係性には、あたたかさややさしさ、思いやりと言ったパワフルな気高いエネルギーが交流することになります。そのような真の愛の関係性の中で、人は、癒され、元気を取り戻し、本来の自分となり、本来の輝く魅力的な表現ができるようになるのだと思います。
今回、共に学んだリーダーの皆さんは、そうした心理的安全性を獲得できている素晴らしいチームでした。皆さん気のいい仲間であり、兄弟です。思いやりの中で本音が飛び交い、何しろそこにいるだけで楽しく、元気をもらえるような高い雰囲気のチームでした。
今回、そのような素晴らしいメンバーとともに学べましたこと、とても光栄でした。皆さん本当にありがとうございました。
やっかいなはやり病、戦争、経済の不安定、など不安要素が大きな激動の時代でありますが、どのような時代であれ、そのような真実味を身にまとうことこそが、大きな問題を乗り越える秘訣だと思っております。皆さんでしたら、きっと良き未来を開かれると確信しました。ともにがんばっていきましょう!