4.自己イメージとリアリティ
さて、ここで問題となることが、「はたして、自己イメージは、本当のこと(真実)なのだろうか?」という問いでしょう。
結論から申しますと、心理学上では、自己イメージは、決して本当の自分を反映しているわけではないとされています。自己イメージは、自分がそうだと思い込んでいる自分であり、その人の本当の姿と一致しているわけではないのです。
5.日本人の自己イメージ
特に、日本人の自己イメージは、諸外国に比べて、矮小で貧弱で、自分に対してとっても手厳しい
というデータが出ております。
財団法人日本青少年研究所の行った高校生の生活意識に関する調査である「高校生の未来意識に関する調査(2002年)」によると日本、中国、アメリカの高校生の自己イメージに関する興味深い意識の違いを読み取ることができます。
内容を見ると、「自分はだめな人間だと思うことがある」という質問に対して、「YES」と答えた生徒の割合が、中国の生徒36.9%、アメリカの生徒48.3%と比較的低いのに対して、日本人の生徒は73.0%と高くなっていることが分かります。
また、「計画を立てるときは、それをやり遂げる自信がある」という質問に対して「YES」と答えた生徒の割合が、中国の生徒73.5%、アメリカの生徒86.3%に対して、日本人の生徒は38.0%
と低くなっていることが分かります。
要するに、日本の高校生の73%が、自分はだめな人間だと思うことがあり、計画をやり遂げる自信のある生徒は38%しかいないことを示しています。
この自己イメージが事実であるならば、事実を人生の基軸としているので問題はないのですが、はたして、これらの自己イメージは事実なのでしょうか。
もし、計画をやり遂げることができる優秀な生徒の割合が、中国人は73.5%、アメリカ人86.3%に対して、日本人38.0%であることが事実であるならば、事実をありのままに認識していることになるので問題は無いのですが、果たしてそれは事実でしょうか?
当然のことながら、まったく事実ではありません。
身長や体重が違ったとしても、もって生まれた才能や潜在性、可能性に違いがあるはずがありません。
人は断じて欠点だらけの無力な存在ではありません。本気を出せば、一部の天才だけではなく、誰もが素晴らしい仕事を成し遂げる力をまどろませていることは、大脳生理学上の間違いのない事実です。
できないと信じているのは自分だけの思い込みであって、もともと持っている可能性に優劣などあるわけがありません。
しかし、全く同じ人物であっても、一方は「必ずできる!」と信じて、もう一方は「絶対にできない」と信じて長年活動したとしたら、結果には大きな違いが出てきてしまうでしょう。
私たちは、私たちの自己イメージをよく見直してみる必要があります。
「できない」と思い込んでいることは、事実する能力が無いのでしょうか?
「価値が無い」「資格が無い」と思い込んでいることは、いったい誰が決めたことなのでしょう?はたしてそれは真実なのでしょうか?
グリム童話で、呪われてカエルに変えられた王子様のように、自分で受け入れてしまい信じ込んでしまった自己イメージで自分を罰し、投獄してしまい、自分の可能性を閉ざしてはいないでしょうか?
自分の自己イメージを再検討してみましょう。(続く)
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