先日、私が長い間憧れに思っていた経営学の巨匠ともいえる先生とお会いできるご縁をいただきました。
その先生とは、野中郁次郎先生。知識創造企業で、世界的に有名になり、世界的に影響力を持っている経営学のリーダーたる先生です。
実は、私は、横浜市立大学の商学部の出身なのですが、大学で学んだ経営学の基礎は、野中先生の「経営管理」という本だったのです。また、大学の卒業論文でテーマとした本が、野中先生の「組織と市場」であり、私が、経営学を学び、今の仕事につながっているその原点となっている本が、まさに野中先生の本だったのです。
「経営管理」および「組織と市場」において、先生は、クールアプローチと呼ばれる構造論とウォームアプローチと呼ばれる動機づけ論の両方を兼ね備えたものがマネジメントや経営学であり、どちらかに偏るというよりは、両方の融合を探求することが大切だと主張されていました。
また、こうした経営学を学ぶ人には責任があるともおっしゃっていましたね。上に立つリーダーが無能な場合には、従う集団を窮地に陥れてしまう。だからこそ、上に立とうと志す者は、責任を持ってしっかりと学ぶべきだと、経営学を学ぶ学生たちを鼓舞されていたのです。
こうした先生のメッセージと方針に大きな影響を受けて、私自身も大学卒業後、クールアプローチの経営コンサルタントとして数年はたらき、その矛盾を感じて、さらなるステップアップを目指して、ウォームアプローチの教育コンサルタント会社に10年間勤め、最終的には、現在のヒューマンスキルトレーニングをベースに置いた教育・組織コンサルタントの会社を経営するようになっております。
まさに、野中先生は、お会いしたことはなかったものの、私にとっての恩師だったのです。
そんな事情があるので、一度お会いできればという思いはあったのですが、そう簡単にお会いできるような方ではなく、実際にお会いできるとは夢にも思ってはいなかったのですが、ご縁とは不思議なもので、私どもの友人のFさんとEさんが野中先生とたまたま親しい関係にあり、たまたまみんなであってワイワイと話している折に、野中先生の話題も出て、それなら一度ご紹介しましょうとおっしゃっていただけて、今回の面会がかなった次第です。
なかなか実現することは難しいチャンスでしたが、友人のご縁で本当に実現してしまいました。Fさん、Eさん、本当にありがとうございました。
さて、お会いした野中先生ですが、実際にお会いすると、とっても気さくな方で、快く私を受け入れてくださり、私もリラックスをしていろんなお話をさせていただきました。
それにしても、野中先生は、立派ですよ。「組織と市場」において、構造論(組織としての強さ)と動機づけ論(人としての暖かさ)の融合を、構造論の立場から融合させていきたいという方針をたてられたのですが、その後も貫かれて、「知識創造企業」「SECIモデル」「MBB」といった独創的な理論を創造されると同時に、そのどれもが、世界的に大きな影響を与えてきているのですから。
今回、お会いして、私のキャリアの原点であるということに対してのお礼と、今後も様々ご指導いただきたいというお願いをしてまいりました。素晴らしいご縁、今後も大切にしていきたいと思います。
改めて、今回のご縁にご協力いただいた方々に、心から感謝申し上げます。