ダイアローグ(Diarogue)とは、対話の意味です。
語源から見ると、ダイア(Dia)は「流れる」で、ローグ(logue)は、「ロゴス」の意味であり、「関係を通してロゴスが流れる」ことをさしていると考えられます。
では、ロゴスとはいったい何でしょうか。ロゴスとは、もともとギリシャ語で「言葉」「論理」「理(ことわり)」「神聖さ」などを意味する言葉であり、哲学や神学、言語学など様々な分野で使われており、その文脈によって意味合いが少しずつ異なります。
ここでは、このロゴスの意味のレベルを3段階に整理して、ダイアローグ(対話)の深みを探ってみたいと思います。
- 第一段階「情報交換の段階」
ロゴスが、言葉を意味する段階です。いわゆる情報のやり取りの段階で、質問や説明がやり取りされることを通して、お互いの状況や考えを整理、理解することができます。
論理的なやり取りが多く、それを取りまく感覚や感情、直観などの交流はまだ表に出てこないので、問題解決は表層的であり、本質的な解決につながりづらい段階です。
懸念に基づく心理的な距離感があり、遠慮やぎこちなさ、慇懃さや注意深さをもってゆっくりと信頼を育んでいきます。
- 第二段階「真実と創造の段階」
ロゴスが、真実や創造性を意味する段階です。懸念を乗り越え、心理的な安全性が確保されることによって、潜在化していた本音、感情や直観、アイデアが表出されるようになります。
対話を通して共感、共鳴、楽しさがもたらされ、対話が単なる情報のやり取りではなく、個人の枠を超えた穏やかで豊かで創造的な場となります。結果、思いもよらなかった新しいアイデアや意味が紡がれる豊かな創造性が引き出されることになります。
この段階で、ダイアローグは、本質的で的を得た、効果的かつ創造的な問題解決の源泉となります。
- 第三段階「聖なる出会いの段階」
ロゴスが、神聖さを意味する段階です。対話の在り方によっては、関係性を通して魂と魂が出会い、共鳴し、癒され、変容していく神聖な場となります。
言葉によるもののみならず、沈黙を通しても意義深い共感が起こっており、穏やかでやさしい雰囲気の中で、お互いに深い興味と関心を持ち、お互いを無批判・無評価・無判断の態度でありのままを受け入れ、ありのままを理解します。
場は、気高くエネルギッシュでパワフル、静かでありながらもダイナミックで生き生きと躍動しており、そこにいるだけで楽しくなり、元気になります。そこに立ち会う者は、その場にいるだけで、癒され、恐怖や絶望から自由となり、自分らしさを取り戻し、本来の自分らしい気高く元気で魅力にあふれた在り方へと変容を遂げていきます。
ダイアローグは、単に情報のやり取りを意味するものではなく、そこには、隠されたミステリー、想像を超えた大きな可能性がまどろんでいます。向き合う態度ややり方によっては、その偉大なる力を引き出すことができます。
人は、さまざまな側面がある複雑な存在です。注意しなければならない欠点もありますが、想像をはるかに超えるようない大きな可能性もまどろんでいます。大切なことは、その可能性に気づき、そういう自分として生きることなのだろうと思います。
他に頼るのではなく、自分の内面の可能性を信じ、自分らしく勇気をもって生きることこそが、自分の偉大なる力をどんどん引き出し、魅力的になっていくプロセスを進めていくのだと思います。
ただし、そうなるためには、他者の存在は、必要不可欠とは言わないまでも、とても力になれるのだろうと思います。ダイアローグは、他者との関係を通してそうした成長のプロセスを後押しする貴重な機会なのだろうと思います。
ダイアローグは単なるお話し合いではなく、共に聴き合い、響き合い、育ちあう冒険なのです。