月別アーカイブ: 2025年9月

2025年度後期授業が始まります

 明日から担当している大学で、後期授業が始まります。後期は、キャリア関係の授業を2科目担当しています。うち一科目が2コマあるので、全体で3コマ、月火と2日間が授業日となります。

 今期も、たくさんの学生たちが受講してくれています。すでに他の授業を受けてくれていた懐かしい面々いれば、私の授業には初めて参加してくれている生徒もたくさんいます。講座は、1年生向けと2年生向けとなっていますが、3年生も結構多く、意外なのが4年生も少なからず受講してくれています。みんな夏休みの就活の状況はどうだったのでしょうか。多くはすでに内定をいくつか得ているとは思いますが、これからと言う学生もいるかもしれません。

 担当する授業は、1科目目は、就活準備と言うよりは、生き方講座であり、長い人生を自分らしく幸せに生きるための知識、スキルを学ぶ講座です。就活には直接結びつかないとはいえ、これはこれで、とても大切なことであり、生き方の基盤をしっかりと固めていける授業にしていきたいと思っています。

 もう1科目は、業界や企業研究がテーマとなっている授業で、マーケティングの視点から企業研究をすると同時に、業界の人事担当者をお呼びする講座でもあり、就活とも直結する授業でもあります。実際に過去の授業の参加者から、ゲストスピーカーの会社に内定を得て活躍している先輩もいます。受講するメンバーにとって、貴重な体験やチャンスとなる講座だと思います。特にまだ就活が終わってない4年生にとっては、絶好のチャンスでもあります。彼ら彼女らの就活の少しでもお役に立てるようにしっかりとがんばっていきたいと思っています。

 今期も、充実した楽しく意義深い授業になりますように!

ポリヴェーガル理論に基づく新しい人間観

 ポリヴェーガル理論とは、米脳生理学者、ステファン・ポージェス博士が1994年に発表した理論であり、従来の自律神経についての常識を覆す考え方を提示してくれています。

 従来の考え方では、自律神経は交感神経と副交感神経があると考えられており、それぞれが相互に興奮と鎮静の機能を補完し合っていると考えられていました。

 しかしポージェス博士は、副交感神経が大半を占める迷走神経には2種類があることに気づき、それぞれ、神経細胞も機能も全く異なるシステムであることを発見したのです。

 ポージェス博士によると、人は、系統進化的に3種類の自律神経ネットワークを宿しており、

①背側迷走神経(魚類など古代の迷走神経系、消化、睡眠、排泄、生殖機能、身体の回復などを司どる。リラックスと休息モード:危機状態においては絶体絶命モード)

②交感神経(爬虫類以降に進化した交感神経系、感情、身体を活発に覚醒、行動させる。アクティブモード:危機状態においては闘争・逃走モード)

③腹側迷走神経(哺乳類以降に進化した社会交流システムとしての迷走神経系、呼吸、心臓、表情、発声、聞き取りを司る。社会交流モード)

 以上の3種類のモードが時と場合に応じて機能すると考えられています。

 人は、健康な場合は社会交流モードの人間関係の中で人として生きていきますが、ストレスがかかり、もはや人間関係の中では問題解決ができない危機的状況に追い込まれると、動物的な興奮モード、魚類爬虫類的な凍り付きモードになるのです。

 こうした反応は、ニューロセプション(神経認知)によって変容が起こるとされており、人の思考や意志の力では直接コントロールできないと考えられています。社会的には、常軌を逸した興奮、不活性や無感覚は、受け入れられづらく非難の対象となりがちですが、ポリヴェーガル理論の視点からは、人が進化してきた過程で学んできた危機対応のノウハウであり、深い深いわけがあるのです。だから、ポージェス博士は、人間の都合で裁かれるものではなく、むしろ誇りに思うべき叡智であると主張されています。

 ここでは、ポリヴェーガル理論の立場に立った人間観について、いくつかご紹介したいと思います。

【ポリヴェーガル理論の人間観】

1.人は、複合的な存在

 人には、人間としての自分だけではなく、動物的自分、魚類(爬虫類)的自分が存在し、決して一つだけの人格で生きている存在ではない。例え社会的に評価されない問題行動を起こしたとしても、それは、その人そのものが問題なのではなく、その人の複合的な要素に由来する可能性がある。その反応は、例え社会的には受け入れられないものであったとしても、顕在意識の外側で動物的、魚類爬虫類的な自分のそれぞれが生き残るために懸命に努力した結果であるかもしれない。たとえ的外れであったとしても、それは生き残りをかけて必死に頑張ってくれている内的システムのなせる業なのだ。だから、簡単に他人の所業をさばいてはいけないし、自分自身の社会的に不都合な反応を嘆き、自分自身を恥じたり責めたりしてもいけない。

 従来の“怠けてる”、“だらしない”などの非難は浅薄な人間観による冷たい的外れな見解からくるものであって、真実の視点からは、むしろ進化の叡智のなせる業と言える。もっともっと深い人間理解が必要。

2.自尊心を持つ

 自尊心とは、ありのままの自分を受け入れ、愛することができる健全な心。社会的に評価される優れた自分のみならず、失敗し、かっこ悪くみじめな自分も決して見捨てることなく、排除することなく、認め、受け入れ、時には反省し、より成長していける度量を自尊心と言う。

 ポリヴェーガル理論では、人は人間としての自分だけではなく、魚類的、動物的自分も存在する。私たちは、しばしストレス反応として起こる動物的反応(闘争、逃走モード)や魚類爬虫類的反応(シャットダウンモード)を社会的都合で裁き、恥じて否定し抑圧するが、こうした態度は、決して健全で正しい態度とは言えない。こうした反応はポリヴェーガル理論の視点では進化の叡智の結晶。都合が悪いからと言って嘆くのではなく、受け入れ、むしろ尊重し、感謝すべき。

 攻撃、排除するのではなく、全てを見捨てずに受け入れ、癒し、成長につなげることこそ人間としての使命と言える。

3.人として成長する

 私の中心は人間存在。主体を失わずに意識的に成長を目指すことが大切。

 自分の中に人以前の進化状態の存在があることを決して否定するべきではないが、だからと言って獣的自分や魚類・爬虫類的自分に人生を乗っ取られてよいというわけではない。人の主体は人。人としてセルフリーダーシップを発揮することが大切。

 人には、魚類・爬虫類的自分や動物的自分もいるが、人間的な自分も存在する。そして人間的自分の後ろ盾となる腹側迷走神経は発展途上であり、無限の可能性を持っている。人は、断じて欠点だらけの無力な存在ではない。その潜在性は人の想像をはるかに超えて偉大だ。自分を信じて、大きな志をもって、人として前向きに生きよう。

 

ポジティブ心理学 4.前向きに生きるヒント(最終回)

・自分と言う存在は、広い地球にたった一人。

 永遠の宇宙の歴史で、たった一回。

 それは、とてつもなくかけがえがない。

 そんな自分の存在を大切にしよう。

 

・あなたには、元気と勇気と力がたくさんある。

 問題を打開する可能性は、そこかしこにある。

 心配に思うのは、それに気づいてないから。

 

・敵の強大さは信じるくせに自分や仲間の力を信じられないメンタリティを何とかしよう。

 

・不平、不満、愚痴、など、問題を人のせいにしているうちは成長はない。

 前向きな意思をもってたくましく自分らしく生きよう。

 

・完璧になど、ならなくとも良い。発展途上の自分を信頼しよう。

 

・光は傷口から入ってくる。

 人生における試練は、不幸ではない。学び成長する絶好のチャンス。

 

・勇者の人生には、ドラゴンはつきもの。

 “なんで自分ばっかり!” それはあなたが勇者だからだ。

 困難や苦痛は避けられないが、

 乗り越えられない壁もなければ、意味のない苦労もない。

 明るく元気に前向きに自分らしく堂々と生きよう!