年別アーカイブ: 2019年

2019年本年1年ありがとうございました

とうとう年末ですね。

当社は、いくつかの講座や授業や営業など、年末にかけておかげさまで忙しく動いておりました。サーバーの引っ越し問題もあり、バタバタと仕事を持ち越して、本日ようやく少しお掃除も手掛けることが出来た次第です。

本年も、多くの方々にご指導ご鞭撻をいただき、楽しく仕事をさせて頂くことが出来ました。とても充実した一年だったと感じております。

これも、ひとえにご縁を頂いた皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

心から感謝申し上げます。

お正月は、ゆっくりとのんびりと過ごし、英気を養おうと思っております。

皆様も、どうぞよいお年をお迎えください。

サーバーの引っ越し作業終了

今年の夏の終わりくらいに当社の主幹のレンタルサーバーさんより、今年の12月27日をもってサービス停止となるので対処してほしいとの連絡をもらいました。

「えっ、サービス停止ってどういうこと…、このままでは当社WEBが消えるということ…、とてもまずいじゃないの!!」

と、とてもとてもびっくりしてあわてて対処しておりました。

本日、その一連の騒動がようやく解決して、無事に引っ越しできましたので、ご報告いたしますね。

そもそも、レンタルサーバーさんが、お客さんに「辞めますから引っ越してください」などと言う乱暴なことを一方的に突然言ってくるなんていうことがあるということが信じられず、その傍若無人さにしばし呆然となったと同時に、そんな大切な事をメールで連絡することや、至極当たり前のことのように淡々とことを進めようとすることに大変理不尽さを感じて、怒る相手もいないのに一人憤慨していた次第です。

一時期は、突然、

「うーーーん、こまった!」「いかぁーん。」「あぁ、なんてことだぁぁぁ。」

などと独り言をいうものだから、妻が相当心配しておりました。

しかしどんなに憤慨しても停止してしまうことには変わりません。しかも数ヶ月後です!

主幹サーバーさんからは、移管のプランの提案を頂いており、グループ企業のサーバーへの引っ越しを責任をもって面倒を見るとの内容でした。ですのでこの際すべてお任せしようとしたのですが、データー移行の失敗に続き、様々なトラブルが続いてしまって、最初に移管手続きをしてからうまくいかないままで2か月経ってしまい、あっという間に12月の締め切りまじかとなってしまいました。

このような次第でもあり、主幹サーバーにお任せするのではなく、自分でやり遂げようと一大決心をして、ドメインの移管とサーバーの引っ越しを自分自身ですることになってしまったのでした。

自分でサーバーの引っ越しをすると言っても、素人が、「はいそうですか」とできるものでもありません。単なるデータの移行なのでコピペで簡単に終わりそうですが、実は、そんなに簡単なものではありません。データベースなどのわからない不具合が多発し、元あった通りにWEB上で見れるようにするという当たり前のことをやり遂げるのが、とてもめんどくさく難しいものなのです。

・まずは、自分と相性の合うサーバーさんを探して契約し

・ドメインの移管手続きを行って

・HTML文書のデータを移転し

・データベースのデータをインストールして

・さまざま起こる不具合を調整して復元する

ことを全てやり遂げなければなりません。

「この年末の忙しい時期に、なんてことなんだ…」と思わず天を仰ぎたくなった次第です。

「困ったら相談に乗るよ」と温かい言葉をかけてくださったお客様もいらっしゃったのですが、事態に対処しなければならなかった日が土日で連絡の取りようもなく、一人で独り言をつぶやきながら、憤慨しながら、べそをかきながら一つ一つ問題を解決して、ようやくここまで漕ぎついた次第です。

とりあえずは、ホッとしております。

新しいサーバーさんは、スターサーバーと言うサーバーさんで、私とは相性が合うようです。

管理画面がとても分かりやすく、ほとんどマニュアルを見なくともさくさくと操作を進めることが出来ました。

自由に使えるデータベースが20個もあって、さっそくsqlデータをインストールしたところ、プログラムとの連結も非常にうまくいって、想定通りにブログやオンラインショップを再起動させることもできました。

しかも、費用が以前のサーバーさんに比べると半額です!

これならば、今後もWEB仕事はストレスなしで進めていけそうで、相性の合う業者さんとの出会いが不幸中の幸いでした。

このようなわけで、ここ数か月間、WEBが見れないなどの不具合でご心配、ご迷惑をおかけいたしました。

改めてお詫び申し上げます。

これからも、しっかりとがんばって、愛される良きホームページをつくっていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

サーバーの引っ越し作業2

現在、サーバーの引っ越し作業を行っています。現在サーバーをお願いしている業者さんが、サービスを12月末に廃止するとのことで(そんなことあるんですね!)、望んでいるわけではありませんが、引っ越しせざるを得ない状況です。

業者さんと打ち合わせをして、業者さんが主導で引っ越しをしてくださるとのことで、10月10日に作業を行い完了する予定でしたが、トラブルが発生して、引っ越しが中断している状況で、今後、どのように対処できるか今検討中です。

いずれにしても引っ越しは完了しなければならないので、作業はしばらく続く予定です。

ご迷惑をおかけしないように対策をとっておりますが、万が一の時(メールが送れない、画面が見えない、オンラインショップで購入できない、など)には、直接会社にご連絡を頂けますようお願い申し上げます。

有限会社ヴィーナスアソシエイション代表046-884-9824

ご迷惑をおかけすることもあると存じますが、どうぞご容赦のほどお願い申し上げます。

サーバーの引っ越し作業をしています

19/10/1現在 サーバーの引っ越し作業を行っています。
ご迷惑をおかけしないように対策をとっておりますが、万が一の時(メールが送れない、画面が見えない、オンラインショップで購入できない、など)には、直接会社にご連絡を頂けますようお願い申し上げます。

有限会社ヴィーナスアソシエイション代表046-884-9824

なお、引っ越し作業は10月10日まで続く予定です。

ご迷惑をおかけすることもあると存じますが、どうぞご容赦のほどお願い申し上げます。

今日から大学授業(2019後期)

早いもので、あっという間に夏休みが終わって、今日から大学の後期の授業が始まります。

夏は、大学の授業が休みであることはありがたかったのですが、本業の企業研修のお仕事がいろいろと忙しく、当ブログの更新もままなりませんでした。

ここ数か月間も、様々な研修、新しいプログラムへの挑戦、などおかげさまで充実した日々を送っておりました。

大学授業の後期は、キャリア形成論とマーケティング的業界研究の2つの授業を担当しており、今日は、キャリア形成論の開始となります。2教室を担当しますが、あわせて100名、今期も素晴らしい学生たちとの出会いが楽しみです。

どちらの授業も、人としての幸せな生き方、力強く輝く社会人としての生き方、キャリアの育み方を学ぶ大切な授業となります。学生諸君に良き学びの場を提供できるよう、彼ら彼女らの生き方を応援できるよう、今年もしっかりとがんばっていきたいと思います。

しかし、本業の方でもやらなければならないこと、書籍の2版の出版、新プログラムの完成と発表、…、なかなか前に進まないのがもどかしくありますが、焦らず丁寧に進めていきたいと思っています。

さて、今年後期も、元気にがんばっていきましょう!

今日で最終講

大学で「プレゼンテーションとディスカッションスキル」と言う授業を担当しておりますが、本日で第15講目、今期の最終講となります。出発まで少しだけ時間があったので、この記事を書いている次第です。

今年も、素晴らしい受講者に恵まれて、とても充実したエネルギッシュで有意義な学びの場となりました。まずは共に学んだ学生たちに感謝したいと思います。

また、当授業にご尽力いただき、ボランティアで学生たちにビジネスマンの生き方を教えてくださったSさん、おかげさまで、良き授業を展開できました。ありがとうございました。

さらに、大学スタッフの方々はじめ、応援くださった皆さん、本当にありがとうございました。

おかげさまで、無事に本日を迎えることが出来ました。

今日は、セルフリーダーシップをテーマとして講義を展開する予定です。

最新の脳神経科学より導き出された「内的家族システム」という考え方より、自尊心を持つこと、勇気を持つこと、そして何よりも、志を持ち、自分の気持ちを裏切らないで生きることの重要性について伝えてきたいと思います。

では、行ってまいります!

ポリヴェーガル理論③「認識や判断ではなく生理学的反応」

人は、系統進化的に3種類の自律神経ネットワークを宿しており、

①背側迷走神経(古代の副交感神経系、消化、睡眠、排泄、生殖機能、身体の回復などを司どる。リラックスと休息モード)

②交感神経(爬虫類以降に進化、感情、身体を活発に覚醒、行動させる。闘争・逃走モード)

③腹側迷走神経(哺乳類以降に進化した社会交流システムとしての副交感神経系、呼吸、心臓、表情、発声、聞き取りを司る。社会交流モード)

以上の3種類のモードが時と場合に応じて機能すると考えられています。

通常、人が人として健全に社会生活を営んでいくときには、③腹側迷走神経 が最も活性化しています。他者に微笑みかけ、話しかける力、他者の表情や言動ふるまいから他者の内面を理解する力、お互いに豊かで平和な人間関係を営み、時に困難にあるときでも他者と関係性の中で協力し合い打開していく力の源泉こそが、この社会交流システムとしての副交感神経複合体なのです。

しかし、環境や状況が悪化し、トラブルが発生した場合、人に助けを求めることで解決しない場合には、②交感神経系が目覚め、闘争・逃走モードに変わります。感情エネルギーが爆発的に発露されて、捕食者のような脅威に対して、攻撃するか逃げるかの命がけのアクションを起こすのです。

さらに、そのような対応でも打開できない場合、③背側迷走神経が目覚めます。危機対応のために背側迷走神経複合体が活性化すると、絶体絶命システムが発動し、「凍り付き」「不動」「解離(心と体の解離)」と言う現象が起こります。死んだふりをすることによって危機を乗り越えようとするサバイバル戦略なのです。

通常、こうした危機対応は、脅威に直面した時に起こることであり、それが去れば、神経系に流れた強烈なエネルギーを身体の震えなどを通して解放することによって通常のモード(社会交流システム)に戻れるのですが、ストレスが強すぎたり、繰り返しストレスに被爆することが続くと、神経ネットワークに過剰な興奮とエネルギーが滞留してしまい通常モード(社会交流システム)にもどれなくなってしまいます。たとえ危険が去っても常に危機状態にあると心身が感じているので、命がけのサバイバルモードは続き、「凍り付き、解離モード」として抑うつ、心も体も動かない不活性、無表情、自己喪失感などの問題を引き起こしてしまうのです。

運よく癒しが起こり、背側迷走神経に滞留したストレスが解放されると、次の進化ステップとしての交感神経系の危機対応である「闘争・逃走モード」にシフトします。すなわち、興奮し、感情的になり、激怒して攻撃的になったり恐怖におびえて過剰に防衛したり逃亡したりなどの瞬発的な行動を引き起こすのです。

この交感神経系の興奮がおさまり、安全が確保されると、ようやく人間性の社会交流システムとしての腹側迷走神経系主導となり、人として他者と平和的にかかわり、やさしさ、思いやり、信頼の中で豊かな人間関係を築けるのです。

では、こうしたモードのシフトは、どのようにして起こるのでしょうか?私たちは、どのようにして危険を判断し、それぞれのモードで対応することを選んでいるのでしょうか?

ポージェス博士は、このようなシフトの前提となる環境のアセスメントは、自我による認識や判断ではなく生理的なものだと考えました。

「安全であること」または「危険性のレベル」に関する評価は、言語で大脳が判断することによって起こることではなく、大脳辺縁系や脳幹レベルのもっと原始的な部位によるアセスメントであり、心身の自動反応的なものと考え、そうした心身の生理的反応を「ニューロセプション(神経知覚)」と呼びました。

旧来の心理学やセラピーの考え方では、うつや心身症などの心の不健康を回復、治療する際に必要なことは、ものの見方考え方を変えることだと主張されていましたが、ポリヴェーガル理論的に言うと、こうした信念は少々的外れであると言えます。

言葉で慰めたり、いさめたり、目標を立てたり、努力して変えようとしても、問題となっている反応や行動を直接的に抑えたり変えたりすることはできないし、モードのシフトは意のままにはコントロールできないことになります。

例えば、塩酸に水を入れたときの爆発的な化学反応を意志の力で止められないように、ものの見方考え方を変えたとしても、おびえ切っている心身の反応(抑うつ、凍り付き、緊張、激情)は容易には止めることはできないのです。

【参考文献】

・「ポリヴェーガル理論入門」ステファン・W・ポージェス 著 春秋社

・「身体はトラウマを記録する」べッセル・ヴァン・デア・コーク 紀伊国屋書店

【関連記事】

リヴェーガル理論①「ポリヴェーガル理論とは」

ポリヴェーガル理論②「進化プロセスを記憶する身体」

ポリヴェーガル理論③「認識や判断ではなく生理学的反応」

ポリヴェーガル理論④「人が人として生きられない時 トラウマの呪い」

ポリヴェーガル理論⑤「自分らしく生きるとは」

ポリヴェーガル理論⑥「自分らしさを取り戻すために」

ポリヴェーガル理論②「進化プロセスを記憶する身体」

今までの神経科学では、自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があると考えられていました。

交感神経とは、覚醒、緊張、興奮、闘争と逃走など、ストレスや脅威に対抗するために必要な働きをつかさどる神経ネットワークであり、

副交感神経とは、逆に、鎮静、消化吸収、生殖、睡眠、など、休息や回復と関わる神経ネットワークです。

交感神経は、捕食や防衛のために必要な神経ネットワークですが、心身にインパクトを与えるストレス要因ともなってしまいます。交感神経の興奮による疲労や不調和を調整するのが副交感神経で、副交感神経は、心身に保護的、調和、回復をもたらす良いものと考えられていました。

しかし、新生児の命を脅かす「徐脈(心拍数が極端に低下する)」「無呼吸」が起こるときは、実は、副交感神経が活発になっており、副交感神経の働きのすべてが心身の健康に良いもの、保護的なものであるとは言えなかったのです。

ポージェス博士は、この矛盾に注目し、なぜ副交感神経が時に健康に悪影響を及ぼすのかについて探求を進めました。その結果として、副交感神経(が大半を占める迷走神経)には2種類のネットワークがあること、そしてそれぞれの機能が異なっていることを発見したのです。

神経細胞は、主に「樹状突起」と呼ばれる細胞の主要部分と「軸索」と呼ばれる情報を伝達するための長い神経線維でできています。

軸索には、むき出しになっているものと、髄鞘(ずいしょう)とよばれる円筒形の膜で覆われているものの2種類があり、髄鞘のないものを「無髄神経」、あるものを「有髄神経」と呼んでいます。

有髄神経は、銅線のビニールの保護膜のように一様に全体的に髄鞘に覆われているのではなく、ソーセージのように飛び飛びにミエリンと呼ばれる絶縁性のリン脂質の短い円筒に包まれています。伝わる神経パルスは、ミエリン鞘部分を飛び越して、とぎれている所を飛び飛びに伝わるので、情報が早く伝わります。

進化的には、最初に出来上がった原始的な神経細胞が無髄神経であり、より進化した高速通信システムが有髄神経となるのです。

迷走神経(副交感神経)にも、無髄神経と有髄神経があります。

無髄神経の迷走神経ネットワークは、「背側迷走神経」と呼ばれ、主に横隔膜から下の臓器の制御を司っており、有髄神経の迷走神経系は「腹側迷走神経」と呼ばれ、主に横隔膜から上の臓器や表情筋などを司っています。

ポージェス博士は、同じ副交感神経(迷走神経)であっても、原初的な背側迷走神経と、進化型の腹側迷走神経では、役割と機能が異なっていることを発見したのです。

ポージェス博士によると、人間は、系統発生的に進化のプロセスに従って、3階層(種類)の自律神経ネットワークを宿しています。

最も原初的なネットワークは、「背側迷走神経」であり、消化吸収、睡眠と回復、生殖を司ります。原始的な生命から魚類に至るまでに進化した神経ネットワークです。

爬虫類以降の進化に伴って作り上げられた神経ネットワークが「交感神経」であり、行動、攻撃、防衛、などのアクティブな活動を司ります。

哺乳類以降になって、社会性が発達することに伴って進化した神経ネットワークが「腹側迷走神経」であり、心臓や肺に影響を与えるとともに、表情やアイコンタクト、言語や声色などを表現したり読み取る社会交流システムとして複雑な社会的、絆行動を司ります。

この3種類の自律神経は、時と場合に応じて活性化し、人の反応を司っていきます。

人が危機的な出来事に遭遇した時に、まず働くネットワークは、腹側迷走神経です。社会交流システムが活性化し、人間関係を通して危機を乗り越えようとします。すなわち「助けてください」と言うのです。

そのような社会性の対応で問題が解決できない時、次に目覚める自律神経が、「交感神経」です。交感神経が活性化すると、大脳辺縁系の感情中枢が興奮し、怒りや恐怖などの強烈な感情が起こり、闘争、又は逃走のサバイバルモードの具体的な行動を促します。

さて、そうしたサバイバルモードで対処しても事態が解決できない時には、最後の砦となる最も原初的なネットワークが発動します。すなわち背側迷走神経です。

背側迷走神経が危機対応で働くとき、「不動」「シャットダウン」という状況が起こります。動かなくなる不動状態となると同時に、心拍数が低下し、呼吸が浅く最低限となり擬死状態(死んだふり状態)となります。

ポージェス博士によると、この「不動」「徐脈」「無呼吸」による擬死(死んだふり)は、太古の脊椎動物の防衛機構だと考えられます。

爬虫類を観察するとこのことは良くわかると思います。じっとしてあまり動きません。爬虫類にとっては、この不動状態が基本的な防衛体制なのです。

このことは哺乳類においても良くあることです、草食動物などが捕食者に襲われて倒れると、動かなくなります。運よく難を逃れた後も、しばらくはそのまま不動の状態にありますが、間もなく呪縛が解けたようにブルブルっと身震いし、後交感神経系の逃走モードとなり走って逃げていくのです。

こうした擬死状態になるのには2つのメリットがあります。一つは捕食される可能性が低下するということ。死んで腐敗した食べ物を捕食者が嫌い、よりも活きのいいもの選ぶ可能性があるので、消極的ではあるものの生き残る可能性が高まるのです。

2つ目は、たとえ捕食されたとしても、擬死による“無感覚”という変性意識状態(又は、解離状態)にあり苦痛を感じなくて済むというメリットです。切ないメリットではありますが、最悪の状態における慈悲の状態ともいえるでしょう。

新生児の生命を危険にさらす可能性のある徐脈(脈が遅くなる)や無呼吸は、この背側迷走神経の危機対応反応が原因となっているとポージェス博士は考えたのです。

「不動」「徐脈」「無呼吸」は、魚類や爬虫類にとっては有効です。前述の危機対応となると同時に、数分呼吸が停止しても十分に回復することが出来るからです。しかし、哺乳類は酸素を大量に必要としており、この状態が長く続くことは危険です。ですから、太古の防衛機構は、必ずしも哺乳類にとって適応しているとは言えないのですが、生命を脅かすような危険にさらされたときには、そうした反応が起こるのです。

もちろん大人でも、同様に危機的状況にさらされたときには不動化の反応が起こります。人は、最新の社会交流システムと言う進化した神経ネットワークと同時に、闘争逃走を司る動物的なシステム、更には太古の脊椎動物の防衛機構も同時に宿しているのです。

【参考文献】

・「ポリヴェーガル理論入門」ステファン・W・ポージェス 著 春秋社

・「身体はトラウマを記録する」べッセル・ヴァン・デア・コーク 紀伊国屋書店

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ポリヴェーガル理論①「ポリヴェーガル理論とは」

近年、大脳生理学、心理学、神経生理学などの進化が目覚ましく、今までにはなかったような新しい人間観、真実、深い人間理解を助ける本質的な真相が明らかになってきました。

その中でも、ポリヴェーガル理論は、現代の精神医学やセラピー、教育の分野で、まさにコペルニクス的なイノベーションをもたらしています。私自身も最近詳しく学ばせていただき、その深さと真実味にとても驚き、感動し、現在探求を深めております。さらに、また自分自身の研修や教育のあり方にも大変参考になっており、今後もますますプログラムに生かしていきたいと思っております。

このブログでも、数回に分けて考え方、ポリヴェーガル理論の理論と考え方、人間観をご紹介していきたいと思います。

ポリヴェーガル理論とは、米イリノイ大学教授、ステファン・ポージェス博士が1994年に発表した理論であり、従来の脳神経に関する常識を覆すような精神医学上、大きな革命を起こすきっかけとなりました。

ポリヴェーガルのポリとは、複数と言う意味であり、ヴェーガルは、迷走神経と言う意味です。

いわゆるポリヴェーガルとは複数の迷走神経と言う意味です。

迷走神経とは、その大部分が副交感神経であり、肺、心臓をはじめとして多くの臓器に広く影響をあたえている神経ネットワークです。

従来、自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類であり、相互に補完しあいながら生体のバランス(ホメオスタシス)を整えていると考えられてきました。

しかし、ポージェス博士は、副交感神経が大半を占めている迷走神経は1種類ではなく、2種類(複数)あることを発見し、人は、この2種類の副交感神経と交感神経の合計3種類によって、生命活動が営まれているということを提唱したのです。

次回以降、この発見の重要性と意味、もたらす変革についてご紹介していきましょう。

【参考文献】

・「ポリヴェーガル理論入門」ステファン・W・ポージェス 著 春秋社

・「身体はトラウマを記録する」べッセル・ヴァン・デア・コーク 紀伊国屋書店

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システム思考の特徴

<システム思考の特徴>

・悪者を決め付けない

システム思考の特徴は、問題の原因を安直に特定しないことと言えます。

システム思考では、問題は、その原因として一直線に特定することはできずに、複雑なシステム行動の結果としてあらわれていると考えており、その複雑なシステムを丁寧に紐解き、ありのままを理解することが最も大切なことと考えているのです。ですから、全員参加で、現状のシステムの仕組みを分析することを徹底的に行っていくのです。

 

・すべてを明らかにする

複雑なシステムを構築する要素は、その構成員の心理状態をも含まれています。ですから、普段は潜在化して表には出ていない様々な感情や思い(込み)、考え方などが明らかにされていくことになります。もちろん内面をオープンにしていくためには、信頼関係の構築が必要となりますが、そのような関係性のない状況で強引に開示されていくわけではなく、コミュニケーションを通して、お互いに内面をオープンにすることを許すことができる風土の元で、顕在化のプロセスはゆっくりと進んでいくことになります。

また、システム思考においては、不可侵の領域や治外法権領域を作ることはできません。ですから、問題解決に当たって、ありのままを明らかにしていくこと、部門や階層を越えた全社的な問題解決を図ろうとする試みであることを、事前に経営トップと合意し、許可や協力を取り付けておく必要があります。

 

  • 全員参加型

一部の特定のエリートによる問題解決ではなく、関わるすべての人が参加することが望まれる問題解決法です。組織内のシステムの現状やダイナミックスを明確にしていくためには、システム思考による問題解決を図る場合には、あらゆる階層から、あらゆる機能から、できれば全員が、少なくとも立場や機能を代表する人が参加する必要があります。

 

  • メンタルモデルの解除

表面化している問題は、たいていの場合、システム全体の問題(限界)によるものと言えますが、システムの問題は、たいていの場合、それが構築されたときのメンバーのメタルモデルと呼ばれる思い込みや勘違い、狭い意味での信念、世界観が元になっていることが多いといえます。その意味では、問題解決の本質は、その古くて機能しづらくなっている過去の世界観や信念体系、メンタルモデルを解除して、より現状に即したより持続的成長が可能となる自然で健康的なシステムに移行することといえましょう。