「ひとの人格は一つではない」
こういわれると、どうお感じになりますか?そんなことはない、私は私だよ、なんと奇妙なことを言い出すのだろうかと思われるかもしれませんが、実はこの見識は、現代心理学の共通認識、一般的な知見となっています。
現代心理学では、大脳生理学の発達にともなって、人は、実はたくさんの副人格ともいえる、独立、または半独立の反応の主体が存在していることが分かっており、私とは、一つの人格によって成り立っているのではなく、たくさんの副人格が寄り集まった総体であると考えられているのです。
現代心理学を代表する理論の一つである内的家族システム(リチャード・C・シュワルツ)の考え方によると、普段私が私だと認識している私は、実は、私にとっての管理者、他者に対するスポークスマン的な働きを持った“私”を代表する副人格であり、実は、私そのものではないと考えられています。
内的家族システムの考え方によると、わたしそのものはSelfと呼ばれる主体であり、私の中心的存在で、副人格の癒やし手であり導き手であると考えられています。
心身ともに健康でありSelfが本領を発揮できている場合は、本来の自分らしい生き方、あり方ができるわけですが、ストレス下にある場合は、Selfが、騒がしい副人格の働きの背後に隠れてしまい、本来の自分らしさ、能力や魅力が隠れてしまいます。ですから、本来の自分の生き生きとした健康な生き方をするためには、Selfと副人格の関係性を整え、内なる調和をもたらす必要があると考えられているのです。
<「内なる瞑想者を育む」シリーズ関連>