経営管理の視点からこの欲求理論を考えた場合、D動機とB動機のそれぞれのマネジメントの特徴を整理すると、以下のとおりである。
<D動機によるマネジメントの特徴>
1.強み
・コントロールしやすい
恐怖と不安による動機付けなので、経営の意図に確実に従うことを期待できる。
・見通しが立ちやすい
命じたことに関して、ある程度確実に成果を期待できる。
・計画を立てやすい
したがって、将来の計画を立てやすい。
2.弱み
・低いモチベーション
脅されてすることで、生きがいと情熱を感じることはあり得ない。
・官僚主義的体質
言われたことしかやらない。保身が優先事項であり、官僚主義的となる。
・低い生産性
結果、生産性は頭打ちで、低調にとどまる。
<B動機によるマネジメントの特徴>
1.強み
・高いモチベーション
人の本音の喜びに働きかけるので、情熱と強い意欲を引き起こす。
・クリエイティブとイノベーション
新商品の開発、新規販路の開拓、新機軸の誕生など、過去からの延長ではない全く新しイノベーションを創造する。
・健康でエネルギッシュ
総じてネガティブなストレスは低く、健康であり、元気である。結果、高い生産性や創造性を生み出すことにつながる。
2.弱み
・不安定
いつも好調とは限らない。好不調の波は決して小さくない。
・見通しが立ちづらい
見込みとはまったく異なる方向性、イノベーション、失敗(成功のもととなる)、出会い、創造などが起こり、それを予測することは不可能であり、計画を立てづらい。
・成功の保証がない
人を大切にして、人間主義的なマネジメントを貫いたからと言って、必ず成功するという保証はない。
(続く)
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