着実に成長していく学生たち

 毎週火曜日は、大学でキャリアアドバイザーを担当しております。毎週、多くの学生たちが相談に来てくれるのですが、回を重ねるごとに、学生たちの成長度合いが増してきて、しっかりした就活戦士となっていく様子に、感動しています。

 もともと相談に来る前は、不安に押されて仕方なく就活をしている様子だったものが、自分の将来について真剣に考え、自分の幸せを実現するための職場を積極的に探すのだという主体性を身につけてきています。しかも、企業にぶつけていくことになる自己PRや志望動機も練られてきて非常に強力な武器と防具となってきており、もはや、他校の学生たちと引けを取らない立派な就活戦士です。

 一人の学生は、自分のプレゼンを録画して練習するようになったとのこと。お姉さんから録画の機械を貸してもらったら、お姉さんが、その練習の立会いをしてくれたとのこと。さらに、お母さんも練習を手伝い、ダメ出しやコメントをしてくれたとのこと。こうして、自分で何かを真剣にやっていこうと一歩踏み出したら、不思議に協力者が現れて、ますます成功に近づいていくものですよ。まさに、踏み出す勇気が奇跡を呼び起こすということなんだろうと思います。

 まだまだ厳しい戦いは続いていくでしょうが、こうした努力は人を裏切らない。学生たちは、必ず戦いに勝つだろうと思います。その後押しができるように、こちらも頑張りたいと思います。

襟川陽一氏のドラマ

 襟川陽一氏は、1950年10月生まれの栃木県出身です。実家は、栃木県足利市で染料の問屋を営んでいました。大学卒業後、襟川氏は、大阪の染料販売会社に就職し、将来経営を継ぐ者として、修行に励んだのでした。

 しかし、4年半にわたる大阪での修行を終えて実家の家業を継ぐべく、帰省したところ、襟川の入社3ヵ月後に廃業へと追い込まれてしまったのでした。
 染料業界は、構造不況業種であり、しかも競争が激しく、父親の奮闘むなしく、会社をたたまざるを得なくなってしまったのです。襟川が父親に呼び戻されたのは、その残務整理のためでした。

 一通りの手続きを終え、襟川は、新たな一歩を踏み出すべく、会社を設立することになります。しかし、その会社は、何と、廃業した会社と同じ染料を販売する会社だったのです。襟川としては、見通しや勝算があったわけではありませんが、父親の弔い合戦をしたかったのでした。
 創業後、襟川は、一生懸命になって営業活動を展開し、様々な研究をして経営にエネルギーをつぎ込んでいったけれども、如何せん、構造不況業種だけあって、なかなか思い通りにはいきません。そのうちに、家族の生活費に事欠くようになり、また、取引先の倒産、手形の回収不能、貸し倒れなどが起こり、事態はどんどん悪くなっていきました。

 奥さんの遺産相続資産を処分しながら運転資金を調達し、何とか経営を維持しながら苦闘している間、その苦しみの中で、様々な経営書、哲学書を読むようになり、そんな中から、現状の問題が明確に浮き彫りになってきたのでした。その問題とは、存在意義ということ、現在の染料の仕事には、もはや現代においては価値は少なく、もっと存在意義のある仕事に鞍替えしなければならないと言うことだったのです。
 しかしながら、そんなに都合よく簡単に存在意義のある儲かる仕事に商売換えできるはずがありません。襟川は、悶々としながら苦しい経営を続けていったのです。

 2年後、将来への希望を持てず、目標も無く、生きる張り合いも無い中で、30歳の誕生日を迎えた襟川は、奥さんから、誕生日のプレゼントにシャープ製のパソコンをプレゼントされます。
 襟川は、パソコンにとっても興味を持っており、かねてからのどから手が出るほどほしかったのでした。深刻に落ち込んでいる襟川を心配した奥さんが、へそくりをはたいて買ってくれたのでした。

 その後、襟川は、うまく行かない会社経営の欝憤をはらすかのように、パソコンに没頭していくことになります。もともと大好きなパソコンでしたので、上達は速く、まもなく独学で、会社の在庫管理や販売管理のプログラムを作ってしまいました。それだけに飽き足らない襟川は、台頭し始めたゲームを作ろうと思い立ったのです。
本来であれば、会社経営を立て直すために工夫したり、対策を真剣に考えていかなければならなかったのですが、ある意味で現実逃避ともいえる、1銭の得にもならないゲーム作成に熱中するようになってしまったのです。

 本業がままならない中、ゲーム作成に取り組み始めて1年後、襟川は、「川中島の合戦」と「投資ゲーム」を作り上げることになります。川中島の合戦は、歴史が好きな自分自身のために、投資ゲームは、幼いころに父親の遺産を相続した奥さんのために作ったものでした。

 しかし、せっかく作ったゲームでもあり、家族だけで楽しむだけではなく、食費のたしにでもならないだろうかと思い、雑誌『マイコン』に、5万円で小さな広告を出したところ、お客さんから大きな反響があり、手紙や電話が殺到し、郵便局から山盛の現金書留が配達されるようになりました。

 何と、そのつもりもなく作り上げたゲームが、予想外の大きなヒットをもたらしたのです。本業で苦労に苦労を重ねながらも結果が出なかった時代が続いていた襟川にとって、このヒットと忙しさは、何よりの喜び、生きがいとなりました。

 早速、染料の販売会社からゲームソフトメーカーへの転進を図り、徹夜で作り上げた新作が『信長の野望』であり、記録的な大ヒット商品となりました。

 このシミュレーションゲームのヒットをきっかけに、染料販売会社光栄は、ゲームメーカー光栄へと大きな飛躍を遂げ、全国に名をとどろかせることになりました。
光栄は、その後、「青き狼と白き牡鹿」「三国志」「三国無双」など大ヒット商品を次々と発表し、いまや代表的なゲームメーカーとして活躍しています。

 勝利の女神は意外なところで微笑むものです。しかし、これも、悪戦苦闘時代にあっても決してあきらめずに、絶望の中でも経営を続けていったこと、その苦しみの中で、経営について、人生について、深く考え、探求していったこと、そして、普通では体験できないような苦労を体験したことが見事に糧になって、成功につながっているのだろうと思いました。

 数限りない敗北のあとにこそ勝利の女神がやってくること、意味のない苦労などないということ、意味のない出会いなどないということ、チャンスは意外なところにあるということ、やっぱり好きなことにこそビックチャンスが潜んでいることなど、襟川さんの事例は大切なことを教えてくれているような気がしました。(旧ブログより転載)

    参照文献 「どん底から這い上がった男たち」すばる舎出版 鈴田孝史著

われとなんじ

 私どものラボラトリーメソッドの哲学的な骨格のひとつとなっている実存哲学者マルティン・ブーバーの考え方をご紹介します。ブーバーの主著は、「我と汝」という名著です。その中で、高邁な”関係性”の哲学を展開しており、今回は、その考え方の一部をご紹介したいと思います。

 本書の中で、ブーバーは、世界は人間のとる態度によって2つとなるとしています。
ひとつは「われ-なんじ」の世界であり、もうひとつは「われ-それ」の世界です。

 「われ-なんじ」の関係は、われとなんじが、個別な存在と言うよりは、本質的に同じ存在として認識しあえる関係であり、われがなんじと全人格的に関わり、関係性に生きる実存の世界です。
 一方、「われ-それ」の関係とは、われとそれが異なった対象と認識する関係であり、われがそれを利用し、われに取り込もうとする分離と対立に生きる現象の世界となります。
その際、「われ-なんじ」のわれと、「われ-それ」のわれとでは、まったく異なった<われ>となります。

 「われ-それ」の<われ>は、個的存在としてあらわれ、他を利用し経験する主観として自己を意識します。
 一方「われ-なんじ」の<われ>は、人格的存在としてあらわれ、真実の関係を生きる主体として自己を意識することになります。

 ブーバーによると、「われ-なんじ」の関係こそが、リアリティの世界であり、『人間や人類が「われ-それ」の個的存在に支配されればされるほど、われは、一層非現実の深みに落ちていく。現代のような(「われ-それ」の)時代には、人間や人類の中にあるわれは、再び呼び起こされるまで、地下に隠れ、いわば、無価値な存在となってしまう。』としています。ブーバーによると、現代文明の危機は、「われ-それ」の途方もない支配の結果によるものとなります。
 「われ-なんじ」の全人格的な関係性を通して、「われ-それ」を癒し、自然を取り戻し、人格的存在となり、人間の全きを回復させていくことこそ大切と言えるのでしょう。

 ブーバーの視点は、きわめて現代社会の問題点の本質をついているように思えます。行き詰っている現代のさまざまな問題を解きほぐしていくためのヒントや大切な指針となるのではないでしょうか。

新入社員研修アトランティックプロジェクト打ち合わせ

 今日は、4月の新入社員研修の打ち合わせです。プログラムは、アトランティックプロジェクトをご利用いただいてますが、今年で早くも4年目となるお客様です。長く続く新入社員研修の中で、このアトランティックプロジェクトが、毎年新入社員にとって最も印象に残ったプログラムになるとおっしゃっていただいております。弊社としてはこの上ないお言葉であり、本当にありがたく、光栄に思っております。

 今年も、昨年同様に、充実した良き学びの場となれるように一生懸命に頑張りたいと思っております。今年は一体どんな出会いとドラマが展開していくのでしょうか。とっても楽しみです。

自信を育む

「自信を持てなくなるのはしょうがない。

 でも、いかに自分を信じることができるか。

 そういうことが大切になってくると思う。」

 石川遼

 3回目の世界マッチプレー選手権に向けて

 朝日新聞朝刊(2011/2/22)

新刊本が完成しました!

とうとう待ちに待った新刊本が刷り上がり、本日たった今到着しました!

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開封したところ、こんな素晴らしい仕上がりです!

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 印刷は、前著からのお付き合いで、有限会社ニシダ印刷製本さんにお願いしているのですが、期待以上の素晴らしい仕上がりです。西田さん良い仕事をありがとうございました。

 肝心の本は、この通りです。

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 自画自賛ですが、親バカですが、なかなかかっこいい仕上がりではないですか。この仕上がりに恥じないように、しっかりと販売を頑張っていきたいと思います。願わくば、この本が、多くの学生たちに届き、本当に幸せなキャリアを形成する力強い助っ人となれますように!

日本人の自己イメージと現実のギャップ

    国際アンケ「日本のイメージは世界最高」…中国で「なぜだ!?」
                          サーチナ 1月28日(金)17時44分配信

 中国の軍事情報メディア「鼎盛軍事網」は27日付で、「なぜ日本の国際イメージは世界トップなのか?」とする記事を掲載した。米タイム誌が実施した「国家イメージ」の結果を受け、日本が世界的に評価されている理由を分析した。

 タイム誌は56カ国に住む12万人を対象にアンケートを実施し、世界の主要20カ国の国際イメージをランク付けした。トップは日本で77点を獲得。以下、ドイツ(72点)、シンガポール(71点)、米国(64点)の順で、中国は62点を獲得して第5位だった。日本は2007年から4年連続で第1位だった。

 「鼎盛軍事網」は、「中国のイメージの方が日本よりもよいとしたのは、中国とパキスタン人だけ」という米国における研究調査を紹介。同調査によると、その他に調べた14カ国すべてで、日本のイメージの方が中国よりもよかったという。

 記事は、「歴史問題や領土問題などから、中国人の日本人に対する評価は常に揺れている。中国側は過去の日本軍国主義が中国に与えた傷を非難しているが、他の国には影響を与えていないようだ」と分析した。

 現在の日本がイメージを高めている理由のひとつとして、中国および東南アジア諸国連合(ASEAN)の大部分の国などに多額の援助を続けており、そのほとんどが無償援助であることを挙げた。

 日本が世界から評価されるもう1つの理由として、日本の経済力や科学研究への積極的な姿勢を挙げた。その土台にある教育レベルについて「初等教育の入学率は100%、中等教育の入学率は99.5%と世界トップ。1911年の時点で、6年間義務教育の就学率は98%を達成。基礎教育の着実な浸透が民度の高い日本国民を作りだし、経済発展へとつながったのだろう」と分析した。(編集担当:畠山栄) 

以上、サーチナニュースより引用

 

 弊社では、自己イメージが与える大きな影響に注目しており、自己イメージの健全化が、自分らしく力強く輝いて活躍していくための最も基本的で重要なテーマであると考えております。自己イメージは、良くも悪くも魔法のようにその人の生き方に強力に作用するのですが、必ずしも、真実であるわけではないのです。単なる勘違いであり、思い込みであることが多い。この記事も、まさにそのようなことを端的に教えてくれます。

 日本人の自己イメージは、世界の中でも、もっとも貧しく矮小で否定的だといわれています。要するに、日本人は、世界一自信がないのです。どういうわけだか分りませんが、さまざまなアンケート結果から分析すると、謙虚さとは違う自虐としての自信の無さが浮き彫りになってくるのです。そんな自己イメージが真実かというと、実はそうではない。今回のアンケート調査のように、世界で最も良い印象を持たれている国民が日本なのですよ。このギャップは、相当大きいものがありますね。

 現実は、愛され良く思われているにもかかわらず、嫌われておりバカにされていると思い込んでいると、相当勘違いの世界の中で生きざるを得なくなり、せっかくのチャンスを台無しにする可能性が大きくなります。もっとリアリティを見る必要があるのです。

 良く研修の中で言わせていただいておりますが、人は確かに欠点はあるけれども、断じて無力ではない。本気を出せば、どんな人でも、本当に素晴らしい仕事をやり遂げる力がある。だから、勝手に自分はダメ人間だなんて思いこんではいけないのです。自分の潜在性や可能性を大切にすべきなのだと私は思います。

 この記事にもある通り、日本人は、自分で思っている以上に評価されている。だから、もっと自信を持つべきだと思いますね。堂々たる紳士淑女として世界に向けて自らを発信していくべきだと思いますよ。日本人にとって必要なもの、それは、英語力やプレゼンスキルの前に、自信と誇りなんだろうと思います。