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アメリカの15%の家庭が十分な食事を取れない

米世帯の15%が十分な食事取れず 農務省統計で過去最悪

2009.11.17 CNN
 

ニューヨーク(CNNMoney) 米国で十分な食事を取れない世帯が統計を取り始めて以来最悪となる1700万世帯に達したことが、米農務省が16日に発表した2008年の統計で分かった。

それによると、十分な食事を取れない世帯は全体の14.6%に上り、07年の11.1%(1300万世帯)から増加。95年に統計を取り始めて以来、最も多かった。

中でも、食べる量や回数を減らすなど安定的に食事ができなくなった世帯は全体の5.7%を占め、こちらも過去最悪。子供がいる世帯でも、全体の1.3%に当たる50万世帯強が食べる量を減らしていることが分かった。

この背景には貧困があると農務省は分析。オバマ大統領も対策を強化する必要があるとの認識を示し、「雇用回復などを通じて家計が圧迫されている状況を緩和し、飢えの増加傾向を食い止める」と表明した。議会に対しては、子供の飢えを食い止めることを目的とした「児童栄養法案」を通過させるよう促している。

 

 全世帯の15%が十分な食事を取れない貧困状態にあるとは、驚異的な状況です。しかも、世界一栄華を誇るアメリカにおいてです。

 食事を取れずに、将来の不安の中で一生懸命に働き、ときにはリストラされて働きたいのに働けずに、それでも頑張って生きようとしている人たちがいる中で、一方、そんな人から集めた税金を使って資金援助をされたにもかかわらず膨大なボーナスを強奪する恥知らずの金融機関の経営者たちもいる。まさに、こうした矛盾が、多くの貧困を生んでいるのだと思います。強欲の資本主義、恥知らずの資本主義の闇の典型だと思います。

 地球の生産性は、想像以上に大きく、市場に出回っているお金も、総額は天文学的な数字です。ただ、そのような富を数%の富裕層が独占支配していることによって、貧困問題や餓死の問題が生まれてしまう。

 よく、適者生存、自然淘汰、自由競争などの考え方の中で、こうした格差問題や貧困問題は必要悪であると思われている節がありますが、5秒に一人の子供たちが飢えで死ぬことは、必要悪なのでしょうか?もしそんなことを普通に考える人がいたとしたら、とてつもなく残酷で冷たい人だと私は思いますね。

 世界の中では、多くの国民が幸せを感じる社会の在り方を実現している国が、たくさんあります。ブータン、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、など、格差のない成長を遂げている見本となる国々がある。それらの国々は、社会主義でもないし、むき出しのエゴによる資本主義でもない。新しい国としての在り方をさし示しているように思えます。

 こうした国々を見ていると、貧困や不安や恐怖は、人としての生き方の必須条件ではない。そんなものはなくとも、成長もできるし幸せになることもできる。むしろ適者生存の名のもとに多くの犠牲を出す恐怖による社会のほうが、よっぽど不自然でゆがんだ、おおよそ本来の人間の在り方からずれてしまった醜いシステムだと確信しますね。こうしたシステムを好んで作ってきたリーダーたちは、猛反省して、多くの貧困に苦しむ人たちに謝罪すべきですよ。

 ディスクローズの時代、かつての支配層たちの悪行がどんどん暴露される時代となってきました。これからも、きっと、こうしたシステムを作ってきた悪趣味の支配者層がどんどん裁かれる時代となると思います。そして、できる限り早く、多くの人たちが、本当の幸せを感じる社会の在り方が実現できることを祈る気持ちです。

製造現場リーダー研修を担当しました(20091204)

 H社で、若手製造現場リーダー研修を担当しました。弊社の組織実習アトランティックプロジェクトをメインとしたプログラムであり、概要は以下の通りです。

 

<研修名>リーダー研修「アトランティックプロジェクト」

<テーマ>製造現場におけるリーダーとして、より力強く輝く魅力的なあり方を学ぶ。

<ねらい>
①製造現場リーダーに必要なコミュニケーションとリーダーシップのスキルを学ぶ。
②部下のやる気を引き出し、現場を活性化するために必要な要素(目標設定とマネジメント、意識改革、前向きな風土、モチベーション等)を学ぶ。
③製造現場リーダーの役割を学ぶ。
④経営センス(ヴィジョン設定、収益性の管理、意思決定、等)について理解を深める。

 受講メンバーは、12名で、普段は、現場で陣頭指揮をとられているリーダーの皆さんです。
 中には、よく顔を合わせる知り合いもいましたが、多くが初対面が多いメンバー同士でもありました。そうした初対面のメンバーとともにグループワークを主体とする研修を受講されることは、初めての体験でもあり、心配と戸惑いもあったろうと思いますが、研修の進行とともに研修の趣旨と方法を受け入れて頂き、とても早い段階で、コミュニケーションの活性化、チームとしてのまとまりができたと感じております。

 今回のプログラムは、チーム活動の結果として、損益計算書を作成し、決算をする形になりますが、今回は、全てのチームが1千万円を超える純利益を出す素晴らしい決算となりました。これは、ひとえに、メンバーの皆さんの底力、本気を出した時の実力が出たのだろうと思います。

 今回のメンバーの皆さんは、落ち着いており、穏やかで集中していながら、熱いハートを持っている素晴らしいリーダーの方々だと感じました。

 グループワークも、総じて効果的であり、集中しており、穏やかに丁寧にしかも一生懸命に携わっていらっしゃる様子がとても印象的でした。

 今回のプログラムを通して、そのようなご自身の素晴らしさに改めて気づくと同時に、組織運営の基盤としてのコミュニケーションの重要性、リーダーとしてときには勇気をもって事態を切り開いていくことの重要性、自信と誇りの重要性、そしてメンバー同士の信頼こそが生産性と創造性の原点であることを学ぶことができたのではないかと思います。

 厳しい時代ですが、今回の体験と出来上がったご縁を大切にしていただいて、少しでも皆さんの今後の素晴らしい未来に貢献できればと願っております。

空飛ぶタイヤ

連続ドラマ「空飛ぶタイヤ」を見ました。レンタルビデオ店で、3本まとめて借りてみました。

三菱自動車の起こしたリコール隠しをモデルとしたドラマであり、トラックの脱輪による死亡事故を発端として、当初は犯人扱いされた運送会社の社長が、さまざまな逆風下の中で事件に立ち向かい、しだいに事実を明らかにしていくにつれて、自動車メーカーの隠し事とうそとでっち上げを暴き、自らの潔白を証明すると同時に自動車メーカの経営者の逮捕に至る一連のドラマを描いています。

私自身も、サラリーマン経験があり、こうした理不尽かつ不条理な世界の中で苦労した体験もあるので、このドラマは、とても入り込んで感動しました。

主人公は、当初犯人扱いされていた運送会社の社長であり、脱輪したタイヤによって起きた死亡事故が整備不良によるものだったと疑われて、警察から家宅捜索を受け、亡くなった被害者の遺族からなじられ、民事訴訟を起こされます。事故を知った顧客から次々と仕事を干されて、経営が行き詰る中、1億5千万円の訴訟を起こされてしまうのです。事件をきっかけに社長の子供も学校で陰湿ないじめにあい、奥さんも地域社会の中で肩身の狭い思いをすることになります。なんという逆境でしょうか。私が同じ立場になったらと思うとぞっとすしますね。しかし、社長は、絶望する気持ちを奮い立たせて、社員の主張を信じて整備不良が原因ではなかったと主張し、本当の原因を探しに行動を起こしていくのです。

結論は、自動車メーカーが、本来ならばリコールすべき自動車メーカーの過失を隠し、それを運送会社の整備不良のせいにしようと、様々な策略を練ってついていたうそを暴く展開になるのですが、何しろ相手が巨大な力を持つ企業であり、弱小中小企業のしかも倒産を目前に控えた会社社長が立ち向かうのは並大抵ではありません。度重なる挫折と逆風に幾度も絶望しそうになるのですが、そのたびに従業員や家族、友人から勇気づけられ、支援を受けて、一丸となって企業の巨悪に立ち向かっていくことになるのです。

私は、三菱自動車のリコール隠しの詳細については正直全く分からないのですが、このドラマは、素人目に、とてもリアルに感じます。こういうことが本当に起こっていたように思えます。事実、三菱自動車のトラックの脱輪事故の直後、運送会社の整備不良が原因だと報道されて、私はそれを鵜呑みにしてしまい、しばらく悪い奴は運送会社なのだと思い込んでいましたから。ドラマとはいえ、こうして改めて丁寧に振り返ってみると、報道を信じて人を悪者に思い込んでしまうことはとても怖いことだと改めて感じましたね。

不器用で真っ正直で、情熱的ではあるがやさしく、あまり難しい策略を考えられないけれども直球勝負で真正面から問題解決を図ろうとする運送会社社長に私はとっても共感してしまい、他人とは思えない気持ちになり、ドラマを見ながら、「そんなこと正直言っちゃだめだよ!」「負けるな!」「そうだそうだやっちまえ!」など、お酒を飲みながら、妻と2人で声をあげて応援してしまいました。

最後に、真実が明らかになり、企業の巨悪が暴かれて、身の潔白が証明された時には、とてもすっきりした気持ちになりました。

これは明らかに三菱自動車の悪を暴いたドラマであり、テレビで放送するには様々な問題があったと思いますが、そんなドラマを作成し放送したWOWOWの見識と勇気に拍手を送りたいと思いました。これからも、こうした権力に擦り寄らずに真実を伝えようとするドラマや番組がどんどん増えていけばいいのにと思った次第です。

空飛ぶタイヤ、すごいドラマです。お勧めです!

善悪の真相

 普遍意識の視点では、自我意識がその限られた視野の中で、実際には存在していない出来事から様々な感情や想念を造り出して、それらを現実であると思い込み、それに振り回されている状況の全貌が、ただ明確に観えています。それは光によって映し出された影のようなものであり、また一枚の紙切れに書かれた絵のようなものであって、見えてはいますが、それに現実感や否定的な意味が伴うことはありません。実相として在るのは、さまざまな出来事を通して進化しよう、成長しようと唯ひたすら努力している純粋な魂の姿のみであって、それは、ただただ全面的な愛で包むしかないものです。

 

黎明(下巻) 葦原瑞穂著 より引用

火星から来た隕石に命の痕跡

     「火星からの隕石 微生物の痕跡」  2009年11月28日朝日新聞朝刊

 【ワシントン=勝田敏彦】英紙タイムズ電子版など英メディアは26日、米航空宇宙局(NASA)の研究チームが、火星から地球に飛んできた隕石(いんせき)に微生物が存在した痕跡を見つけた、と報じた。同じチームはかつて「勇み足」とされる発表もしているが、「今回は信頼性の高い証拠だ」としているという。

 チームは、南極で見つかったソフトボールほどの大きさの隕石に含まれる磁鉄鉱の結晶を電子顕微鏡で調べ、結晶構造の約25%は細菌が作り出す化学物質と見なせる構造を見つけたといい、「やはり微生物による構造という考えに戻ることになる」という結論に達したという。

 チームがこの隕石から見つけて1996年に発表した「生命の証拠」は現在は疑問視されているが、タイムズの報道では、NASAが新発見を30日に正式発表するという。そこで示される証拠の信頼性が焦点になりそうだ。

 

 これが本当だったら、地球外に生命が存在することを公式に証明する初めての発表となるのではないでしょうか。今まで、地球以外には命は存在しないといわれてきたので、ある意味で、コペルニクス的な発表となると思います。

 最近、NASAが、月に水があること、しかも結構大量に存在することを公式に発表しましたが、しだいしだいに、今までは否定されてきた宇宙に関することが、肯定される公式発表がなされるようになってきましたね。真実が明らかになってくること、思い込みが修正されていくことは、とても素晴らしいことだと思います。

 個人的には、夜空を見上げた時に空一面に光る星星の中で、こんなに無限とも思える大宇宙の中で、生命が存在しないだとか文明が存在しないと思うことのほうが無理があると思いますね。

 かつては、地球が丸かったと主張した人たちが、地球は平らだと信じ込んでしまった(信じ込ませたかった)人たちから迫害され、殺されたことがありました。科学は進歩し、技術は驚くほど進化した我々は、この世の多くをわかったようなつもりでいますが、実は、わからないことだらけであり、逆にわかったと思っていることでも、単なる思い込み、信じ込みである可能性もかなり大きいのです。かつて地球は平らだったと思いこんだ人達の愚を再現してはいけません。心を柔らかにして、未知な宇宙のいろんな可能性を考えてみることも素敵なことだと思います。

 

短大で就活支援講座を担当しました(20091126)

J短期大学で、就職活動支援講座「就活に役立つコミュニケーション講座」を担当しました。概要は以下の通りです。

【就職に役立つコミュニケーション講座】

<目的>

1.就活におけるグループワーク面接のスキルを高める。

2.就活に必要なコミュニケーションスキルを高める。

 

<内容>

第1講「オリエンテーション」
  ?就職活動とは
  ?就職活動に向けての心構え=自信と誇りの重要性
  ?私のヴィジョン
第2講「コミュニケーションの重要性」
  ?面接とは
  ?コミュニケーションとは
  ?コミュニケーションと創造性

第3講「効果的なコミュニケーション」
  ?グループワーク面接対策とは
  ?効果的なコミュニケーションに必要なこと
第4講「3人寄れば文殊の知恵」
  ?意思決定の実習について
  ?ダイアローグについて

第5講「答えのないコンセンサス」
  ?価値観について
  ?価値観の対話について

第6講「ディスカッションスキル①」
  ?グループディスカッションについて
  ?グループディスカッション演習

第7講「ディスカッションスキル②」
 ?プレゼンテーションについて
 ?グループディスカッション演習

 

 毎週水曜日、4時30分から6時に開催される講座で、全7回、7週間にわたって担当しました。

 本講座は、当校において、初めての試みとなる講座でしたが、温かいキャリアセンターのスタッフの皆さんのご支援と、真剣に本講座に長丁場にわたって受講してくれた素晴らしい学生たちのおかげで、本当に素晴らしい講座として終了することができました。本当にありがとうございました。

 最終講では、「未来に向けて成長する企業の要件」と題して、今後成長するであろう企業に必要な要素についてグループディスカッションをするエクササイズがあったのですが、このグループワークとプレゼンテーションが素晴らしかった!

 回を追うごとにコミュニケーションのスキルを高めてきた学生たちは、最終回には、今までに学んだすべてをいかんなく発揮して、最高の形でチームワークを発揮してくれたと思います。最終セッションは、初回のそれと比べて、発言や言動、自由さや大胆さ、作品のクオリティなど、格段の違いがありました。

 未来に輝く企業の要件として挙げてくれた学生たちの結論は、「エコや国際協調など、現在社会問題化している事柄に真剣に立ち向かおうとする企業が成長する」「顧客だけでなく、社内においてもコミュニケーションを活性化し、人を大切にする企業が成長する」。こうした結論は、企業経営者がまさに今学ぶべき重要なポイントだと思います。学生たちを先生にして、企業の役員や経営者は、謙虚に耳を傾けて学んだほうがいいですね!

 7回にわたって共に学んだ学生たちは、元気で明るく、正直で若い情熱に溢れています。こんなに素敵な子たちがこれから厳しい就職活動という戦場に立ち向かわざるを得ないのだと思うとかわいそうになりますが、こればっかりは致し方がありません。ちなみに、来年の3月には、全1年生を対象に、自己PRと志望動機の書き方の講座を担当する予定です。戦場でボロボロにされないように、始終有利に戦いを進められるように何とかバックアップしてあげたいと思います。

 悲しいけれども、人は、痛みから大きく成長できるもの。当面は、とてつもない試練と直面することになると思いますが、一生懸命に頑張れば必ず道は開けるもの。私も応援しますから、ともに頑張りましょう!

5秒に1人の子供が餓死している

2009.11.17 CNNwebより引用

 

餓死する子供、5秒に1人 食糧の不均衡分配が原因と

 世界では現在、多くの子供たちが飢餓状態にあり5秒に1人が餓死していると、潘基文(バン・キムン)国連事務総長が16日、同日開幕した世界食糧安全保障サミットで明らかにした。

 国連食糧農業機関(FAO)が主催する同サミットには、全世界の60カ国・地域から首脳が集まり、3日間の会期で世界の食糧問題を討議する。

 潘事務総長によると、世界で餓えに苦しむ人々は10億人以上に達し、子供の死者は年間6000万人。1日あたり1万7000人が死亡しており、5秒に1人の割合で餓死しているという。

 事務総長は2050年には世界の人口が91億人に増加すると予測されていると指摘。食糧の不均衡な分配が続けば、さらに餓えに苦しむ人々がさらに増えると懸念を表明した。

 また、地球温暖化の影響でヒマラヤ山脈の氷河がとければ、農作物の収穫量が減り、中国だけで3億人分の食糧に影響、アジア全体では10億人が食糧難になるとしている。

 人口の増加と急速な温暖化の面から、食糧問題は緊急の課題だとして、問題解決に向けた対策を話し合う。

 

 「世界で餓えに苦しむ人々は10億人以上に達し、子供の死者は年間6000万人。1日あたり1万7000人が死亡しており、5秒に1人の割合で餓死している」

 なんとも恐ろしい数字です。今こうしている真っ最中にも、飢えで苦しみながら子供たちが死んでいっていることになります。

 いったいなぜ、こんな悲劇が起こっているのか?よく思い浮かぶことは、「人口が多すぎるから」「不毛の土地にすんでしまっているから」「生産性が低いから」などの理由ですが、これらの理由は、単なる思い込みであって、本当の原因ではありません。地球の生産性は想像以上に大きく、世界の食料供給の総量は、今でも、地球の全人口を養うに十分な量が確保できているのです。餓死が起こる原因は、人口の多さや地球の生産性の問題ではなく、ひとえに分かち合うことができないシステムにあるのです。

「奴隷制やアパルトヘイトと同様に、貧困は自然のものではなく、人間から発生したものだ。よって貧困は人類の手で克服し、根絶できるのだ。Like Slavery and Apartheid, poverty is not natural. It is man-made and it can be overcome and eradicated by the actions of human beings.」ネルソンマンデラ

 マンデラ氏のおっしゃる通り、飢餓は、人間の作り出してしまったシステムに起因するものであり、決して自然なものではありません。
 たとえば、餓死が起こっている地域は、不毛どころか農業地域であることのほうが多いのです。農業従事者であれば、作物がふんだんにあるので、それを食べれば餓死するはずがないのですが、現実にはたくさん悲劇が起こっている。なぜかと言えば、せっかく作った作物を自分たちで食べることができずに、輸出に回さざるを得ない現状にあるからです。現代農業は、絶対にお金が必要な仕組みになっています。種苗会社や肥料会社などが、毎年お金をかけなければ絶対に作物を作れない仕組みを作っているからです。もちろん、100年前は、今年実った作物の種を植えれば来年の収穫も保障されたし、肥料もそれほど特殊なものは必要なく自然に作物が実るので、お金をかけずに農業を営めたのですが、営利企業が、種に処理を施して、単年しか実らない種を開発し、毎年種を買わなければならない仕組みを作ったので、昨年実った種を今年植えてももはや作物は実りません。新たに種を買わなければならないのです。また、品種改良と称して、特殊な肥料や農薬を使わなければ絶対に育たない品種しか販売していないので、種だけではなく肥料や農薬など膨大なコストがかかってくるのです。ですから、来年も農業を営むためには、どうしてもお金が必要であり、餓死する人を犠牲にしてまでも、作物を輸出に回さざるを得ないのです。

 そうして輸出に回された作物は、動物の飼料として使われたり、加工食品に使われますが、その膨大な量が毎日廃棄されていきます。ちなみに日本における2002年の食糧総廃棄量は、約二千三百万トンであり、世界の食糧援助の総量を上回っているのです。

 知らないとはいえ、私たちはとんでもない悪魔のシステムを構築してしまっています。このような仕組みは、何とかして変えていかなければなりません。そのためには、もっとこの飢餓の問題に関心を持つことが必要なのではないかと思います。私たちはどこかで、こうした飢餓問題は必要悪であり、弱い人たちが犠牲になるのは仕方がないという意識があるのではないでしょうか。だから、5秒に一人の子供たちが餓死しても普通でいられるのだと思います。もし、「豚インフルエンザで5秒に一人が死んでいる」となったら、私たちも普通ではいられないでしょう。大パニックが起こるはずです。

 5秒に一人の子供が餓死する必要悪などありません。そんなことが当たり前であるわけがないのです。そんな犠牲は必要ないし、たった今でもその問題を解決しようと思えばできるのですから。

 この問題、これからも注目していきたいと思います。

新しい時代の問題解決方法

 2009年 11月21日NHKの追跡!A to Zにおいて、「 なぜ増える?”ゴミ屋敷”トラブル」と題して、ごみ屋敷の問題を取り上げていましたが、その中のごみ問題に対する問題解決の方法としてユニークな事例が報道されていましたので、こちらで紹介します。

 事例は、豊中市のソーシャルワーカー勝部麗子の試みであり、勝部さんは、今まで50件以上のごみ屋敷問題を解決してきたとのことです。

 勝部さんによると、ごみ屋敷問題は、単に問題を起こしている人を説得してごみをかたずけるだけでは本質的な問題解決にはならないと考え、ごみ問題を起こしている人の元気と社会的な絆の回復を伴う必要があると活動を展開されています。

 番組の最中に紹介された問題解決の方針は、以下の2つがあります。

1.人任せの苦情は受け付けない

2.節度あるおせっかい

 

 私が特に感心したのは、1の人任せの苦情は受け付けないという方針です。この方針の背景には、「問題は、問題を起こしている本人だけにあるのではなく、地域全体の問題でもある。」という考え方があるとのことで、「問題を解決するためには、本人に変わってもらうだけではなく、地域全体が変わる必要がある。」という方向性を持っているとのことです。

 私たちは、ややもすると、問題が起これば、その問題を自分とは切り離し、分析し、取り除いたり交換したりして解決を図ろうとしますが、勝部さんの方針は、そうではなく、問題が起これば、自分もその問題の一部であり、自分も含めて解決に向けて変わっていく必要があると考えるのです。

 人と人との関係性が薄まってしまった現代社会では、他人に対して基本的に温かい関心を持つことは少なくなりましたね。ましてや、「隣がごみ屋敷」のような境遇に置かれたら、その迷惑は計りしれませんので、どうしても問題を起こしている人を「困りもの」「敵」「加害者」「悪」として裁き、非難攻撃する立場になってしまいます。その心境はよくわかりますし、私もそうするだろうと思いますが、ごみ屋敷問題を起こす人たちの心理状態に共通してあるものは「寂しさ」であり、近所の敵意や攻撃は、こうした寂しさを助長してますます問題を深みにはめてしまうという悪循環につながってしまいます。

 勝部さんは、問題を起こしている人を非難したり叱ったりするのではなく、味方になって応援したいという意向を言い続け、信頼関係をはぐくむというアプローチをとります。 そして、ごみ捨てに合意してもらったとしても、一気に解決するのではなく、一部屋一部屋期間をおいてゆっくりと解決していくそうです。そのプロセスの中で、絆をはぐくみ、問題を起こしている人の社会復帰を促し、元気の回復を応援していくのです。

 本当に意識の高い愛のある問題解決方法だと私は思います。なかなか出来ることではありません。その活動に本当に頭が下がります。

 こうした活動を通して解決できたごみ屋敷は、それ以降は、ごみ屋敷化することはないとのことです。厄介な問題、時には、自分に火の粉が降りかかる困った隣人を、敵視して排除しようとするのではなく、自分も含めた全体として問題をとらえ、ともに成長を計る。厄介者を悪として裁き、正義の立場から戦うのではなく、ともに問題解決を計る仲間としてとらえ、高い意識と愛を持って解決に当たる。まさに21世紀的な問題解決の方法なのだろうと思います。私自身とても勉強をさせていただいたなぁと思いました。できるかどうかは別として、そのような方向性がきっとより建設的で効果的な方法なのだろうという理解のもとで、一つの大切な目標としたいと思います。