体験学習の目指すもの、そのねらいは、主に、個人の領域と集団の領域に分けることができます。
1.個人の領域
体験学習は、ありのままの現実を良く観察することを通して、本質や可能性を探究してく方法であり、個人が本来持っている自然でリアルで限りない力や可能性と出会い、本当にそう生きたい生き方や自分らしく輝いて生きる生き方を後押し、支援ができる優れた方法です。
体験学習を通して個人が学ぶことができる要素の代表として、私どもは以下の項目を考えております。
①主体性
自分自身が感じたことや気づいたことを信じ大切にして、その体験をもとに学ぶことを繰り返すことで、自分のコントロールセンターを、他者の権威に置くのではなく、自分自身でつかみとり、ついには自分の人生を自分らしく輝いて生きる主体性を獲得することにつながります。
②自己信頼と自尊心の回復
等身大で、ありのままの自分自身を探求することを通して、自分の注意すべき点に気づくと同時に、思ってもみなかったような輝かしく大きな存在としての自分自身に気づくことが多く、自分の中に深く根付いている否定的な自己概念が解かれて、よりリアルで自然で健康的で偉大な存在としての自己を回復することにつながります。
③落ち着きと集中力
ありのままを一旦受け止めてみること、現実をそのままで観察してみることを繰り返すことで、その場で起こっているありのままの現実を嫌ったり恐れたり拒絶したりすることによる内面の騒がしい反応が静まり、落ち着いてよく場や現実を観察する能力や集中力が格段に向上します。またその落ち着きと集中力は、個人の潜在化しているさまざまな能力やスキルを表に出す強烈な力となるのです。
④創造性(Creativity)
内面で起こった気づきやひらめきやアイデアを大切にして、それを書とめて、実際に表現していくことを通して、次第に個人の表現力のスキルが高まり、個人の創造性も同時に開花していくことになります。
⑤チャレンジ精神
体験学習は、実践を通して学ぶ方法であり、試みる学習方法でもあります。
ですから、個々人のさまざまな挑戦や試みは、守られ奨励される風土の中で、新しい自分を発見し、その可能性に挑戦していくスキルも身につけることができます。
2.集団の領域
体験学習は、リアルに起こる人間関係のプロセスを通して、そのより効果的なあり方を探究していく方法です。ですから、人間関係(チーム、組織)のより良いあり方を学ぶと同時に、実際に場のメンバーのコミュニケーションの改善やリーダーシップスキルの向上が起こり、受講チームの生産性や創造性が大幅に高まることが多いといえます。
学習と改善が同時に起こる体験学習方式は、職場ぐるみで実施するなどを通して、実際の現場を改善していくことができる実践的な現場変容のツールともなるのです。
①コミュニケーションの改善
コミュニケーションは、安全性や生産性、創造性に大きな影響を及ぼす要素ですが、体験学習は、この職場のコミュニケーションを改善し、開放的でオープンな風土を醸成することにつながります。
②チームビルディング
チームとして協力し、チームパフォーマンスを高めるための実践学習を通して、チームの優れた可能性を引き出すことにつながります。
③基本的な信頼関係の育成
深くて正確なコミュニケーションを通して、メンバー相互の懸念や誤解を解消し、相互理解を促進すると同時に、共に協力し合って課題を成し遂げるために必要な基本的な信頼関係を育成することができます。
④生産的、創造的な組織風土の醸成
体験学習の学習目標である、オープンなコミュニケーション、相互に信頼しあえる関係、共通のヴィジョン、自己実現に関する学習を通して、組織全体としての力、生産的で創造的な組織風土の育成につながります。