自尊心を回復するための方法②自灯明法灯明

 「自灯明、法灯明」

 お釈迦様が入滅される直前に弟子たちに伝えられた教えと言われています。

 「他を頼るのではなく、自らを頼りとしなさい。自然(真理)の法を頼りとしなさい。」という意味だと私は解釈しています。

 自尊心を回復するための方法を考える際に、真っ先に指針とすべき言葉なんだろうと私は思っています。自分を大切だと思うために他を当てにすべきではないと考えているからです。

 もし、自分自身を大切だと思うために、他人の称賛が必要だとしたら、その人は、他人の称賛に依存して生きなければいけません。他人の称賛だけではなく、優しさや愛情にしても同じです。

 また、豊かな資産があるからこそ自分の尊さを実感できるという人は、自分の価値を認識するために豊かな資産に依存することになります。資産だけではなく、地位や名誉、権威やお金にしても同じです。

 さらに、自分のアイデンティティを国家や宗教、理想的な人物に委ねるとしたならば、自分を信じて生きるのではなく、外部の権威を笠に着て生きることになり、依存的な生き方となってしまいます。

 自分の価値を実感するために、他人の働きかけや他の権威、力に依存すると、それが得られているときには、比較的安定していられるでしょうが、減少し、欠乏感を感じ始めたら、自分自身が無価値であるように感じてしまい、大変な苦痛を体験することになってしまうでしょう。

 自分を癒し、自尊心を回復するコントロールセンターは、自分自身の内面にあるべきです。

 コントロールセンターが、自分自身にないとしたら、それは、外部にあるということであり、結果的に外部のパワーに自分自身が支配されることになってしまうでしょう。そのような生き方は、決して自尊心に裏付けされた自分らしい生き方とは言えません。

 自分らしく力強く生きようとこころざした場合には、まずは、自分自身に依って立つという覚悟が必要です。自尊心を回復しようとこころざした場合には、まずは、一切の依存心を手放し、自分で何とかしようとする覚悟が必要なんだろうと思います。

 これは、かつて体験した不条理、過酷な痛み、悲惨な体験においても同じなのだろうと思います。そのような心の傷があるからこそ自尊心を損なってしまい、回復できないという状況においても同じことが言えるのだろうと私は思います。

 かつて自分に仇をなした他者に謝罪してもらう、自分を傷つけた奴に報復し痛い思いをさせる、愛されなかったことによって空いた心の空虚さを誰かの愛で埋める、・・・、

 もし本当に意義のある自尊心の回復を図ろうとする場合は、過去のトラウマをいやすために他を頼ろうとするあらゆる企図を放棄する必要があるでしょう。

 なぜならば、そのような試みは、まさに、他者依存の混迷を深めると同時に、例え実現できたとしても、本質的な心の痛みは癒えることはないからです。

 たいていの場合、心の中には、痛みが先に存在しており、さまざまな出来事は、その痛みを顕在意識で体験していくためのトリガーにすぎないからです。

 また、心の中にある痛みは、他者から植えつけられたのではなく、自らが受け入れたからこそ存在しているのであって、痛みが自分の内面に存在することの責任を他人に押し付けるのではなく、自分ですべてを引き受けなければなりません。

 そして、自分の内面の傷を癒し、手放すことができる人は、自分だけであり、自らの意志と努力によって、自分の内面を健全化する必要があるのです。

 逆に言えば、人には、自分自身を癒すための十分な力があるのだろうと思います。

 仏教では、「人は、生まれながらにして仏である」とも言われています。

 人の内面には、自らを浄化し、自由に生きるための十分な力が、生まれながらにして宿っているということなんだろうと私は思います。

 自尊心を回復するために必要なことは、まず第一に、そうした、自分の内面にある力を拠り所とするのだという覚悟なのだろうと言えるでしょう。

 

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 私は、企業研修や大学の講座などにおいて、自尊心の重要性を訴えてきているわけですが、かく言う私自身が確固たる自尊心をもっているかと言えば、決してそうだとは言えません。

 私は、もともとは、決して自信と誇りを十分に持っていたわけではありません。

 私自身は、高校生、大学のころまでは、自分が好きではありませんでした。

 『本当の自分はだらしなく醜くいやな奴であり、自分の本性がばれたら、必ず人に嫌われる』と思い込んでいたので、人と関わるときは、本音を隠したり演技をしたりして生きていました。

 『本当の自分は、劣っており、弱くて人に勝てる要素なんかない』と思い込んでいたので、そんな自分をさらけ出さないように逆に強がって生きていました。

 自分と同様に、他人も嫌いでした。当時の私にとって、他者は、信頼のおけない怖い存在であり、たとえ友人であっても、心から気を許すことはありませんでした。私にとって、人間関係は、楽しくなく、疲れるものであり、苦痛以外の何物でもなかったのです。

 ですから、私は、まったくと言って良いほど人間関係が苦手で下手くそでした。驚くほどKYであり、そもそも空気を読むとはどういうことかもわかりませんでしたから。(もっとも今でもよくわかっていないのですが。)

 そんな私でも、人生における様々な出会いや体験を経て、少しずつ固さが取れ、不安と絶望が解けていって、少しずつ楽になり、少しずつ自信と他者に対する信頼が回復してきた様に思います。

 現在では、自分も捨てたものではないことを知っており、家族や友人たちも、信頼に値する大切な存在であることを理解しています。人間関係においても、他者に対して少しずつ正直に、素直になり、心を開けるようになってきたように思えます。

 こうした変化は、まさに、すばらしい体験や家族や友人のおかげであり、今あらためてそのありがたさに感謝したいところなのですが、そのような変化は、たしかに周囲の愛や温かさが重要な要素ともなりますが、決定的に重要なポイントは、まさに本人の自尊心であると思います。

 人は断じて無力な存在ではありません、その潜在性や可能性は、想像をはるかに超えて大きいものがあります。

 もし人が輝けていないとしたら、それは、その人の能力や才能がないからではなく、封じ込められているからです。

 太陽が照っていないからではなく、雲が遮っているからなのです。

 だから、立ちこめている暗雲を払い、絶望を癒し、出来ないという呪いを解くことができれば、もともと持っているその人の素晴らしい潜在性が、見事に開花するのだろうと思います。

 そして、立ち込める暗雲を吹き放つものこそが、自尊心なのです。

 私は、自分についての不自然な思い込みや勘違いを解きほぐし、自分自身の素晴らしい輝きに気づいていくための基盤こそが自尊心なのだと考えているのです。

 このシリーズでは、この大切な自尊心をどう回復していくのかをテーマとしていきたいと思います。
 自分自身の体験を交えながらその方法を探求していけたらと思っております。

 願わくば、これを読んでくださっている方々の体験談や方法、考え方も紹介していければとも願っております。

 何しろ、このブログは、コメントをするための設定が面倒くさいのですが、不可能ではありませんので、よろしければ、投稿をお願い致します。

 

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いろいろと始まりました

 春ですね。とうとう4月に入りました。

 4月に入ってから、新入社員研修など、いくつかの案件が動き出しています。

 私自身が研修を担当するものだけではなく、プログラムをご利用いただいて、ご担当者の方々が実施していただけるものも走っており、研修が大成功することをお祈りしている次第です。

 さて、大学も、授業が始まりました。

 
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写真は、大学に関係があるお寺の境内にある桜です。昨日(4/7)とったのですが、すでにずいぶん桜吹雪となってしまっていますが、きれいですね!

昨日の授業では、私の友人で、ずいぶん長くお付き合いさせていただいているお客様が、授業の応援に来てくださいました。友人は、もともと人事部で採用も担当されており、現在では数万人規模の組合組織のトップをお勤めになっていらっしゃいます。

第一回目の授業では、就職活動に勝利するために必要な要件を学ぶというテーマで、自尊心と志の重要性について学びましたが、友人が、それにまつわる採用の具体的な事例を話してくださって、学生たちも、とっても喜んでいました。私は、本当に友人に恵まれている。Sさん本当にありがとうございました。

先日は、庭に今年初めてのちょうちょが飛んできました。これからどんどんあたたかくなって、季節が変わってきますね。

冬の時代に仕込んだいくつかの新商品などが今後どう動いていくか、とても楽しみです。

 

アトランティックプロジェクトの英語版

 グローバル人材育成プログラムとして、アトランティックプロジェクトの英語版を発表しました。

 ⇒Global Training Program “Atlantic Project”

 コミュニケーションとチームビルディング、グローバルリーダーの養成をテーマとした総合プログラムとなります。

 全体で2部構成となっており、狙いと組み合わせによって、3時間から1日のプログラムとなります。

 従来のアトランティックプロジェクトは、おかげさまで好評をいただいており、多くの研修の場で高い評価をいただいております。その実績を踏まえて、今回、そのグローバル版を開発した次第です。

 以前、外資系の企業さんで、全社員を対象にアトランティックプロジェクトを実施したことがあり、その際に参加されたイギリス人の方から、「このプログラムは、すばらしいよ。本国でも、見たことがないよ。」と、うれしい感想をいただいたことがあります。

 自画自賛で恐縮ですが、アトランティックプロジェクトは、世界を舞台にしても、決して引けを取るようなプログラムではないと思っております。というか、世界一のプログラムなんだろうと思っております。

 そんなプログラムを、世界中の人たちに体験していただきたい。世界中の人たちが、このアトランティックプロジェクトを通して、相互理解を深め、よき仲間となり、よきチームとして、平和で幸せな地球の未来に向けてよき仕事をするお手伝いをしたい。

 そんな志をもって、Global Training Program “Atlantic Project”を広めていきたいと思います。

Exercise “Mt.Bottle Gourd” Facilitator’s Manual(English version)を出版しました。

実習「ひょうたん山」ファシリテーターズマニュアルの英語版、Exercise “Mt.Bottle Gourd” Facilitator’s Manual(English version) を出版しました。

それに伴って、弊社のwebも、一部修正しました。

グローバル教育ページ

Exercise “Mt.Bottle Gourd” 

 

実習「ひょうたん山」は、体験学習による問題解決型の実習であり、長年にわたって弊社の教育教材として活用してきた実習です。

弊社も、今後、グローバル教育への参入をこころざしており、本マニュアルは、その方向性への第一歩の試みと言えます。

グローバルな舞台におけるコミュニケーション教育に、実践的な語学教育に、など、効果的に活用してもらえると思います。

願わくば、本書籍が、世界を舞台とした多くの場で活用されますように!

ヴィーナス通信2004年春号

弊社より定期的にリリースしているヴィーナス通信を転載します。

以下、ヴィーナス通信2004年春号です

<2004年ヴィーナス通信春号>

梅の花も咲き始め、春の足音がしてきました。みなさんお変わりありませんか、

ヴィーナスアソシエイションの手塚美和子です。

三寒四温、早く暖かい季節になるといいですね。

これから忙しい時期に突入されることと思います。

ひとときヴィーナス通信で息抜きしてください。

 そして春にふさわしい新しいお知らせが4つあります。

 ①ヴィーナスアソシエイション オンラインショップをオープンしました!

 ⇒ http://venus-association.com/shop/

②コンセンサス実習「高価な薬」講師用マニュアルを発刊しました!

 ⇒ http://venus-association.com/shop/products/detail/24

④体験学習実習集「ダイアローグコミュニケーション」を発刊しました!

⇒ http://venus-association.com/shop/products/detail/16

今回、2014年春号のテーマは、「分離感について」です。弊社代表手塚芳晴の寄稿です。

それでは、気分も新たに2014年春号の発信です!

☆☆☆ テーマ「分離感について」 ☆☆☆

1.分離感とは

分離感とは、他者と私が分離しているという感覚である。

人は、多かれ少なかれ、誰もが分離感を持っている。それがなければ、自分を認識できないからだ。

「私は、背が高い」と認識するためには、背の低い他人が必要であり、

「私は、強い」と認識するためには、弱い他人が必要であり、

「私は、正義である」と認識するためには、悪である他人が必要であり、

「私は、私である」と認識するためには、私ではない他人が必要である。

  分離感は、寂しさの原点でもあるが、自己認識の原点でもある。さまざまな悲しみの原点でもあるが、個としての成長の原点でもある。ネガティブとポジティブ、裏腹な性格を持つ分離感。やっかいではあるが、絶対に避けるわけにはいかない分離感について、考察を進めていきたい。

分離感にはどんな特徴があり、どのようにかかわればいいのか?そんなテーマに挑戦したい。

 

2.分離感の状態

分離感は、境界の性質とその状態の2つの視点から特徴を捉えることが出来る。

 (1)境界の性質

自他の境界は、時と場合に応じて変化する。自分と大変親和的で自分が受け入れやすい対象に対しては、境界線は柔軟であいまいになる。例えば、自分の大好きな食べ物は、自分の口の中に受け入れ、ついには自分の体と同化し、自分の一部になる。自分の大好きな人とは”もらい泣き”のような共感が起こり、自他の感情の共鳴と相互理解が起こる。逆に、自分と親和しない受け入れづらい対象に対しては、境界線は固くはっきりと浮き上がり、まるで戦争当事国同士の国境線の様に緊張と対立が起こる。

 (2)分離感の状態

①戦いの状態

 “他”に対して脅威や反感を感じ、”自”を守ろうとする状態であり、”自分”が、 “他”の脅威にさらされて萎縮し弱い犠牲者のように感じる。自他の境界線は厚くなり、固く、高い壁ができた状態となる。個の状態になると、基本的に”他” は、どんな存在であれ、潜在的な敵であり、どんなフレンドリーな装いをしていてもいつかは攻撃に回る信用のならない拒絶すべきよそ者となる。だから、他からの働きかけは、どんなにそれに愛があるように見えようが、それは何かを奪おうとしている操作や攻撃に感じ、あらゆる働きかけにプレッシャーを感じる。結果、人間関係は、競争とサバイバル、戦闘と防衛の関係となる。

②日常生活の状態

社会的に常識とされている人と人との間の距離感の状態。表立って戦い合っているわけでもなく、かといって、肉親のように親しく感じているわけでもなく、お互いに、社会的な関係を維持できる関係性の状態である。自分と他人の境界線は、比較的はっきりとしており、自分と他人の関係性は、協力関係というよりはむしろ取引関係である。自分対他人を比較的平和的に体験できる場であり、自我の成長の場ともなる。しかし、分離感の反映である疎外感や孤独感は絶えることなく、主要な社会性の特徴の一つとなる。

③共感の状態

他者に強い親しみを感じ、気持ちを分かち合うことができる状態である。もはや、”自”は、”他”と異なるものというよりは、本質的には同じものと感じる。 “他人”のいたみは”自分”のいたみであり、”他人”の喜びは”自分”の喜びである。人間関係において、相互の感情や意向など、ノンバーバルの領域について、共感的にはっきりとわかるので、そこには、うそやごまかし、隠し事の入る余地はない。関係の中で起こっている様々なあらゆることが、オープンとなり、受け入れられ、誤解なくありのままに理解される。そのような関係性の中では、隠し事、演技、うそ、ごまかしで自分を演出する必要はまったくない。自分は、他人から、ありのままを受け入れられ、すべてをそのまま愛される。愛されるために自分を変える必要が全く無いのだ。他者に対しても同様であり、自分は他者の中で起こっていることを、客観的にではなく、体験的に理解できる。他者の悲しみを自分の悲しみとして体験し、他者の喜びを自分の喜びとして体験する。そのような体験にケチをつけて、”本来ならばこうあるべきだ”などと説教しようなどとは思いもよらない。そのような体験をそのまま受け入れて誤解なく理解し、そのままを心から愛することができるのだ。このような共感の状態において、人は初めて自分らしさを自由に謳歌し表現することができる。そのような関係性に一体化した自分自身を初めて心から幸せと感じることができるのだ。

 3.分離感にまつわる思い込み

現代社会は、分離感がその基盤の一つとなっていることは、間違いないと言えよう。以下、分離感の哲学を提示していこう。

 <以下「共感の時代」フランス・ドゥ・ヴァール著より引用>

・「自然の尽力はもっぱら、そのような人(競争に負けた不適者、貧乏人)をつまみ出し、世の中から一掃し、もっと優れた者たちのための余地を作ることに向けられている」ハーバード・スペンサー(「適者生存」という言葉を生みだした政治哲学者)

・エンロンのCEO、ジェフ・スキリングは、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』の大ファンで、自分の企業内で冷酷無比な競争をあおり、意図的に(彼らの信じ込んだ弱肉強食の)自然をまねようとした。・・・従業員はエンロンの社内環境で生き延びるために、たがいにせっせと蹴落とし合い、その結果、内部はぞっとするような不正行為、外部では情け容赦ない搾取を特徴とする社風が生まれた。

・(行動主義心理学の父ジョン・ワトソンは)母性愛の意義に関しては特に懐疑的で、それを危険な道具と考えた。・・・社会はこれほどの温かさは不要で、もっとしっかりした仕組みが必要だというのだ。・・・ワトソンは、自らが「キスされすぎた子供」と呼ぶものの撲滅運動を展開し、1920年代には非常に世評が高かった。」

上記の引用文献である「共感の時代」の著者フランス・ドゥ・ヴァールは、動物学者である。彼の幾多の動物研究によれば、自然界は、上記のようなゆがんだ競争社会ではなく、もっと愛と思いやりと自己犠牲と社会性のあるものであり、上記のような考え方は、自然界のほんの一部の暗い側面だけを取り出して、人間社会のひずみを正当化しようとした詭弁であると語っている。フランス・ドゥ・ヴァール氏の考えは、正しいのだろうか?その答えは、今の日本や世界を見れば一目瞭然であろう。諸国間のいがみ合いと戦争、飢餓、格差問題、自然破壊・・・、分離感の哲学が生み出した社会は、自然の美しさを反映した社会であるとは、決して誰も言うことはできない。

5.自然本来の社会性

一方、動物学者フランス・ドゥ・ヴァ―ルは、動物たちが自然に持っている社会性を研究している。以下、動物たちの共感の力が発揮された事例をご紹介しよう。

・たとえば、二匹のサルに同じ課題をやらせる実験で、報酬に大きな差をつけると、待遇の悪いほうのサルは課題をすることをきっぱりと拒む。・・・どんなに少ない報酬でも、もらえないよりはましなので、猿も人間も利潤原理に厳密に従うわけではないことが分かる。(サルの不公正を嫌う性格について)

・野生の馬やジャコウウシは、オオカミに襲われると、幼い者たちの周りをぐるっと囲んで守ってやる。

・アルゼンチンのブエノスアイレスでは、あるメス犬が、捨てられた人間の男の子を自分の子たちと一緒に世話をして救って有名になった。オオカミに育てられたという双子、・・・このような異種間の養子関係は、動物園ではよく知られている。ある動物園のベンガルトラのメスは、豚の子供たちを引き取って育てたという。母性本能は、驚くほど寛大なのだ。

・人間や動物は、利己的な理由からしか助けあわないということにはならない。・・・たとえば、人間が見知らぬ人を救うためにレールの上に身を投げ出したり、犬が子供とガラガラヘビの間に飛び込んで重傷を負ったり、サメが出没する海域で泳ぐ人の周りをイルカが囲んで守ったりする。

・猫のオスカーは、・・・老人用診療所で、毎日アルツハイマー病やパーキンソン病などの患者のために回診する・・・オスカーは、部屋から部屋へと回りながら、患者を一人一人注意深く観察し、その匂いを嗅ぐ。誰かがもうすぐなくなると判断すると、その傍らで身を丸め、ゴロゴロと喉を鳴らしながら、そっと鼻を押し付ける。そして、患者が息を引き取ると、ようやく部屋を後にする。オスカーの見立ては正確そのものなので、病院のスタッフにすっかり頼りにされている。・・・彼が患者の脇で番を始めると、看護師はすぐに家族に電話をかけ、家族は・・・急いで病院に駆けつける。オスカーはこうして25人以上の死を予測してきた。・・・スタッフは、彼が救いの手を差し伸べているのだと解釈している。

・私(動物学者コーツ博士)が泣きまねをして、目を閉じ涙を流すふりをすると、ヨニ(チンパンジー)は、自分のしている遊びなどの活動を直ちにやめ、興奮して毛を逆立てながら、急いでかけてくる。家の屋根や織りの天井といった、家の中でも特に離れていて、しつこく呼んだり頼んだりしても降りてこさせられなかったような場所からやってくるのだ。・・・私の周りをせわしなく走る。私の顔をじっと見て、一方の手のひらで優しく私の顎を包み、指で顔にそっと触れるのは、何が起きているのかを理解しているかのようだ。・・・・私がいかにも悲しそうに、絶望したように泣くほど、ヨニはますます同情を示す。・・・ヨニは、(両手で目を覆う)その手を取りのけようとし、彼女の顔に向けて唇を突き出して、じっと見入り、かすかに唸り、鼻を鳴らす。

・ラブラドール・レトリバーのマーリー・・・ジョン・グローガンの『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』に出てくる暴れん坊でお騒がせの札付き犬だが、グローガンの妻ジェニーが、流産したのがわかって泣いていたときは、頭を彼女のおなかにぴったりと押し付けて、微動もせずに立っていた。

 事例にもある通り、人間を含めた動物には、生来の正義感、思いやり、共感の力を持っている。

・弱い者は、滅びるままにすべき。

・強いものが弱いものを犠牲にして成長することが正義

・思いやりや愛は、不自然であり、間抜けな人の特徴

前述の分離感の哲学は、必ずしも真実ではない。強欲の資本主義が間違っており、反省すべきだと考えられてきたのは、つい最近のことではないだろうか。むき出しのエゴイズムが暴露・糾弾され、業績悪化につながると同時に、自制心と思いやりのある高い意識の経営が台頭する傾向が強まってきている。

6.人と組織の新しい可能性

人には、他者と共感し、一体感を感じることができる能力がある。その力は、他者とは他人であるという強い分離感があるときには潜在化してしまい、機能不全となるが、凝り固まった分離感の思い込みから自由になり、肩の力を抜いて、素直に他者と向き合おうとしたときに自然に発動する。

サッカー場で応援する人たちの一体感、

共に協力し合って目標に立ち向かう職場、

コンサートホールで共に歌い、踊り、楽しむことによって増幅される感動、

旧友と分かち合う楽しいひと時、

結婚する二人をみんなで祝福する聖なる瞬間、

愛し合う2人の間で起こる言葉の必要ない相互理解。

 そのような状態の中では、人は他者をもはやどうでもよい他人とは思えない。他者の痛みは、自分の痛みであり、他者の喜びは自分の喜びである。他者がほほ笑むと、私も微笑み、他者が悲しみで涙を流す時には、自分の胸も悲しみが満ちて涙が流れる。

他者が苦しんでいた時には、見返りがほしくて助けるのではない。他者の苦しみが自分でも体験できるから手を差し伸べざるを得ないのだ。

 こうした共感の能力は、人間の新しい可能性である。それらの体験は、日常的ではないかもしれないが、不自然ではない。

 もしも、すべての人が、自分と他人とが違う人ではなく、本当に体験を分かち合える同士であることを直覚したならば、強いリアリティと喜びの中で、すべての人や世界と一体感を感じながら生きることができたとしたならば、世界は、途方もない変容を遂げることだろう。そんな認識の中では、うそや詐欺、犯罪や搾取、独裁や支配、自然破壊や戦争は、もはや不可能である。

人の新しい可能性、大いなる夢、わくわくする未来を感じることができる。  そんな未来は、不可能ではない。分離感と言う幻想に迷い込んだら見えなくなる境地がある。分離感の幻惑を見極めて、素直になれたとき、その時にこそ、人の本来の偉大なるあり方が開花するのかもしれない。それこそが、人と人の社会の新しい可能性なのではないだろうか。そんな大いなる可能性を信じてみたい。

kindle本「自尊心の重要性」を出版しました

 Amazon kindle向けに電子書籍「自尊心の重要性 」を出版しました。弊社のコンセプトとなっているいくつかエッセンスを網羅した、まさに弊社にとっての考え方の基幹本となります。

 

【電子書籍「自尊心の重要性 」目次】

第1章 自尊心の重要性
 1.自己イメージの心理学
  ①自分らしく輝く人生の基盤となる自尊心の重要性
  ②自己イメージとは
  ③自己イメージが人生に与える影響
  ④自己イメージとリアリティ
  ⑤認知のゆがみ
  ⑥自己イメージのチェック
  ⑦日本人の自己イメージ
  ⑧自己イメージの健全化に向けて

 2.自尊心とは
  ①いにしえから伝えらえれてきた自尊心の重要性
  ②自尊心は現代においても重要なテーマ
  ③自尊心を巡る誤解
  ④自尊心とプライドの違い
  ⑤自尊心の重要性
  ⑥欠点は直らない
  ⑦カマスの教え
  ⑧絶望を信じてはいけない
  ⑨自尊心の重要性

第2章 前向きな生き方
 1.認識の心理学

 2.学習性無力感
  ①心理学をこころざす
  ②きっかけとなった心理実験
  ③学習性無力感
  ④学習性無力感の教え

 3.楽観主義と悲観主義
  ①ものの見方、考え方が生き方を決める
  ②楽観主義と悲観主義
  ③Be→Do→Haveの原則

 4.エクササイズ「私のものの見方・考え方」

第3章 志を定める
 1.D動機とB動機
  ①D動機
  ②B動機
  ③D動機の生き方
  ④B動機の生き方
  ④B動機の時代がやって来る

 2.ハートに熱い志をもとう
  ①志とは
  ②志の構造

 3.基軸となる志
  ①どうありたいか(BE)
  ②どう活躍したいか(DO)
  ③何を得たいか(HAVE)

 4.ヴィジョンを定める
  ①ヴィジョンに関する名言集
  ②ヴィジョンの重要性
  ③リアルゴールとしてのヴィジョン
  ④まずは大きな夢をもとう
  ⑤効果的なヴィジョンの作り方
  ⑥自分のヴィジョンを作ろう
  ⑦ヴィジョンに向けて一歩踏み出そう

勇者と暴君
 1.勇 者
 2.暴 君
 3.自分を生きる勇者となるために

 

 多くが、すでにブログなどで発表されている文章ですが、今回の本は、それらを加筆修正し、自尊心をテーマにまとめ上げたものであり、整理統合されて読みやすい形になっています。

 きっと、人の本当にそう生きたい生き方を後押しできる力のある本だと思います。

 願わくば、この本が、かつての(今もときどきそうですけど)私のように自信を持てなくて困っている多くの人たちの参考、糧となることができますように!

オンラインショップ開店

昨日、弊社のオンラインショップを開店しました。
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以前からネットショップを開きたいと願っていたのですが、ネットショップは、基本的に複雑なプログラムで作られており、私が従来から組んでいたhtml文書とは全く性質の違う難しいものなので、手を出せないでいたのです。

しかし、今年に入ってから、個人向けの商品もどんどん出していきたいし、グローバルにも展開していきたいとの思惑があり、インターネット店舗開設に向けて、挑戦した次第です。

このオンラインショップは、業者に頼ることなく、自前で作成しています。eccubeというすぐれたオープンリソースがあり、それをもとに作り上げました。一部、カスタマイズのためのソフトを購入、利用していますが、総額で4万円弱程度であり、相当の低コストで完成させることができました。

もしこうしたサイトをはじめから業者に依頼して作るとしたら、よくわかりませんが、数十万、数百万かかるのではないでしょうか。

実は、数年前にも挑戦したことがありますが、当時は、プログラムのあまりの難しさに、さじを投げてしまっていましたが、今回、eccubeをはじめとするいろんな出会いがあり、運よく開店にこぎつけることができました。

とてもうれしいです。

今後、店舗を生かしながら、より大きく仕事を広げていきたいと思っています。頑張ります!

大変な大雪です!

こんな雪は、関東では初めてではないでしょうか。

DSCF2131.JPG

自宅兼事務所の庭の様子ですが、これはもはや雪国です。

まだふりやんでいませんので、もっと積もるかもしれません。

こんなときは、観念しておとなしくしているに越したことはありませんね。

皆さんくれぐれもお大事になさってくださいね。

 

大学サークルリーダー講座(20140206)

都内大学のサークルリーダー講座を担当してきました。概要は以下の通りです。

【大学サークルリーダー講座概要】

(テーマ) 「自分らしく輝くサークルリーダーとなる」

(ねらい)

   ①リーダーシップの原点となる自信と誇りの重要性を学ぶ。

   ②コミュニケーションのスキルを学ぶ。

    ・コミュニケーションの重要性

    ・コミュニケーションの改善ポイント

   ③リーダーシップのスキルを学ぶ。

    ・チーム力を引き出す前向きな生き方

    ・信頼関係をはぐくむ

       ④サークルリーダーとしての志・目標をつくる。

 

 新たに任命されたサークルリーダーであり、どんなことをすればよいのか、そもそも私でいいのかといった不安を抱えている人も中に入るわけですが、本講座で、リーダーとしての心構えやすべきこと、スキルを学び、自信と勇気をもってリーダーとして活躍していくための基礎を固めることが本講座のテーマとなります。

 50名程度の学生たちが集まってくれましたが、すばらしいメンバーのおかげで、すばらしい学びの場となりました。

 研修後、アンケートを書いてもらったのですが、すばらしいコメントもあり、以下、学生たちの感想をご紹介します。

【大学サークルリーダー研修感想】

・コミュニケーションが大切だと知れたが、短い時間の実習後の打ちとけさに驚いた。コミュニケーションや人と触れ合う大きさに時間は関係ないと感じた。

・今回、このプログラムに参加したことで、これから新サークル部長として、どのようにメンバーと接していくべきか、どうしていくべきか、またサークルだけではなく、人生のことについても知って行けたと思う。

・資料もそうでしたが、説明がとても聞きやすかったです。話が全部直接心に入ってくるようでした。私たちのように今後のヴィジョンに迷いがある人にとっては救いのような機会です!またお願いします!

・今後どのように行動していくべきか、目標がハッキリ見えました!!

・今日一日でコミュニケーション力が身に付き、多くのことを学べた。他人の意見を聞くことで自分では気づかなかったことも気づくことができ、新しい発見ができた。グループメンバーにほめられた部分は伸ばしていきたいと思う。

・サークルリーダーとして、同活動していくか不安でしたが、自尊心を持つことや目標を持つことなど、具体的なアドバイスがあり満足しました。

・様々な発見がありました!自分に少し自信が持てるようになりました。リーダーとしても、これからの私としても、今日学んだことを思いっきりいかしていきたいです!!

・今、就職活動中で、就職できる気がしない、や、社会人としてやっていけるかという不安でいっぱいでした。しかしそんな不安は無用だと今日の研修を通して思いました。長時間本当にありがとうございました。

・リーダーに必要な資質というより、人生についての考え方が変わるきっかけとなりそうです。

・話が全部自分が悩んでいることと重なり、全部が印象的でしたが、「幸せになるために生まれてきた」や「ミラクルは起こる」というお言葉が印象的で勇気づけられました。

・新2年で代表、人員不足など、さまざまな懸念があったが、他にも同じ境遇の団体がいることを知り、少し安心した。そして、これから、運営面をしっかりし、より大きく、より充実したサークルになるよう努めていこうと思った。

 

すばらしいメンバーのみなさん、共に学べて、とても楽しかったです。皆さんなら、かならずや素晴らしいリーダーとしてチームをよく引っ張っていけるでしょう。応援しています共にがんばりましょう!