チームビルディング ②受容ステップを乗り越えるために

受容ステップを乗り越えるためのポイント
①まずは自尊心を持つ
 自尊心は、人間関係に良くも悪くも強烈な影響を与えます。自尊心とは、傲慢さや自惚れを言うのではなく、ありのままの自分を尊重し愛する心情を言います。ありのままですから、優れた自分もそうでない自分も、そのすべてをありのままに許し、受け入れる必要があります。自分には、欠点があることを受け入れ、それを正面から言い訳せずに受け止め、よりよく成長していくことができる能力を自尊心というのです。

 逆に傲慢さは、自分の中の愚かさ、弱さ、醜さを許すことができません。そのようなものは私にはないと主張し、悪いの他人だと転嫁します。それは、自信に由来する言動ではなく、むしろ、劣等感や恐れに由来するものであり、決して自尊心とは言えないものなのです。

 リーダーの自尊心の在り方は、チームメンバーに強烈に影響を与えます。自尊心の低いリーダーは、自分の欠点や弱さを嫌い、攻撃し、無きものにしようとするように、他人の欠点や弱さも嫌い、攻撃し、無きものにしようとします。

 常に強い不安があり、保守的でリスクのあるチャレンジを好まず、部下にも逸脱や冒険には厳しい態度を取ります。時に、やたらに挑戦や変化を求める場合もありますが、自分の気の弱さ、臆病さにあがらいたいがための反動であり、喜びや愛に基づくものではなく恐怖や不安に基づくものなので、時に無謀だったり、的外れで独りよがりだったり、時にメンバーに限度を超えた重い負担を強いるものだったりします。

 また、チャレンジによって失敗したらそれを成功へのステップとは見ずに、落胆し、嘆き、責任追及をしがちです。

 逆に、自尊心の高いリーダーは、基本的に前向きであり、明るく健康的で楽しい雰囲気をもたらします。ありのままの自分を愛せるように他者の弱さにもおおらかで、多様性を尊重すると同時に、リスクのあるチャレンジも奨励し、たとえ失敗しても、成功へのステップを一歩進めることが出来た側面を尊重し、その勇気をたたえます。

 どちらのリーダーが良いチームを作れるのかは、自明のことでしょう。そもそも、自分を大切にできない人は、他人を大切にはできません。自分を愛せない人は、他人を本当の意味で愛することはできません。そもそも、自分すら信用できない人が、どうやってよくわからない他人を信じることができるのでしょうか。

 リーダーとしてチームを導いていくために必要なことは、頭の良さでもテクニックでも超能力でもありません。それは、シンプルに自分に対する愛、他者に対する愛なのだと思います。逆に愛が無ければ、どんなに小細工で取り繕っても真のリーダーにはなりえません。良きリーダーを志すならば、まずは、自尊心を持つこと。自虐で自分を非難攻撃するのではなく、傲慢さで自分の弱さから逃げるのではなく、勇気をもって自分を受け入れること、腹を決めて自分を愛し大切にすることが大切なのだと言えましょう。

②メンバーへの批判心を静め、親しい仲間と思ってみる
 人は、相手の良いところを見出し愛することもできますが、相手の欠点を見つけて非難することもできます。しかし、普段自分の心の中で、無意識的に相手にしていることは、意外なことに後者の非難することではないでしょうか。

 私たちは、基本的に人間関係の中で警戒モードが発動しており、他人の美徳や善性を見るというよりは、相手と距離を置き、相手の弱さや欠点に目が向きがちとなります。それは、自己防衛のために必要なステップでもあり、決して非難すべき態度ではないのですが、チームビルディングの良きリーダーを志そうとしたときには、そのような無意識的に現れる態度は、注意しなければなりません。防衛力や免疫力は必要ですが、だからと言って、相手の良さを全く見れないほどの過剰な警戒は慎まなければなりません。無意識的に起こりがちな相手への批判心を静め、まずは自分から相手を仲間として迎え入れる度量が必要です。

 距離感を縮め、親しみを増そうとする努力を、メンバーに依存するべきではありません。そうした努力には勇気が必要であり、リーダーこそがそうした勇気を担うべきなのだと言えましょう。

③メンバーに関心を持ち、理解を深める努力をする
 人は、実は、自分のことで精一杯で、他人のことに関心を持つことは意外にできていません。時に、警戒心から他者を観察することはありますが、それは、相手の悪意を探っているのであって、相手のすばらしさや可能性に興味を持とうとする関心とは違います。ですから、他人に関心を持つためには、意識的な努力が必要なのです。

 優れたリーダーには、他者に対して意識的に積極的に関心を持つように心がける人がとても多く存在します。彼ら彼女らの手帳には、出会った人の仕事上の記録はもちろん、仕事とは関係のない出身や生年月日、家族、家族の誕生日、趣味、食べ物の好みなど、驚くほど多くの事柄について書かれているものです。そのような情報をもとにクオリティの高いアドバイスや関係性を持つことができるのです。

 チームビルディングのリーダーをこころざすならば、メンバーに積極的に意識的に関心を持つ努力をすること、メンバーノートを作成して、メンバーに関して知りえた情報をしっかりとメモをしておくことをお勧めします。

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