「不確定なことに導かれることは良いことなんです。
貴方は不確定なことを受け入れることができますか?
貴方の人生に何が起こるのかを知っているべきだと決め込まないで、わからないこと、不確定なことを受け止めるのです。」
エックハルトトール
年別アーカイブ: 2010年
新卒切りに気をつけて
「新卒切り」に気をつけて 甘い採用計画、新人が「調整弁」 2010年5月24日 朝日新聞
4月の入社時期の前後、内定学生や新入社員が理不尽な要求をされ、内定辞退や退職を迫られるケースが目立っている。「新卒切り」とでも言うべき事態だ。専門家は「きちんと採用計画も持たず、新人を調整弁にする企業もある」として、就職活動をする学生に注意を呼びかけている。
■怒鳴られ続け、9日目「自主退職」
今春、京都市の私大大学院を卒業した男性(25)は、入社9日目で「自主退職」した。
神戸市に本社を置くITコンサルタント会社に内々定が決まったのは昨年5月。東京に配属されたため都内に引っ越し、4月1日に入社した。
初日。少し早めの15分前に出社した。いきなり上司から「他の人はもっと早く来ている。意欲が足りない」と叱責(しっせき)された。その後も、電話の応対や退社時間をとがめられ、「落ちこぼれ」「分をわきまえろ」「君が劇的に変わらなければ一切仕事はさせない」と怒鳴られ続けた。
出社3日目からは、連日反省文を書かされた。
そして4月9日の夜。上司から会議室に呼び出され「もうしんどいやろ?」と退職を迫られた。「まだまだ頑張れます」と反論したが、上司は「給料だけもらって居座るのか」とたたみかける。2時間近くたって疲れ果てた頃、退職届が目の前に差し出された。ぼうぜんとしたまま「自己都合」としてサインした。
男性は先月末、この会社に復職するつもりはないものの「無理やり書かされた退職届は無効」として、社員としての地位確認と3年分の給与支払いを求める労働審判を東京地裁に申し立てた。
「入社までに配属予定先が二転三転したり、同期4人が入社直前に内定辞退したりと、いま思えばおかしい点が多かった」と振り返る。当面、実家か親類宅に身を寄せて職を探す。「今度こそ注意深く選びたいが、新卒でもなく、えり好みできない現実もある」
この会社は朝日新聞の取材に「コメントすることはない」としている。
NPO法人「労働相談センター」(東京都葛飾区)には4月以降、「この業界に向いていない」「協調性がない」などの理由で解雇通知や退職勧奨を受けた新入社員からの相談が10件以上あった。
相談員の須田光照さんによると、景気が回復せず採用計画の見込みが外れたという企業もあれば、とりあえず多めに採用し、後から適当に切っていくつもりだったとしか思えない企業もあるという。「(即戦力にならず)目算が狂ったと簡単に切り捨てる企業が増えている。人材を育てる意識が薄い」と指摘する。
■3月入社強要/「四つ資格取れ」
内定学生が入社直前に、辞退に追い込まれるケースも。都内の私大女子学生(23)は昨秋、人材派遣会社の内定式で突然「3月に入社して下さい」と言われた。
卒業旅行の日程を変えて「入社」。特別に休暇がもらえた卒業式の日と土日以外、毎日午前9時から午後6時まで、パソコンの使い方を覚えるというメニューだけで拘束された。大学に相談すると「あまりに異常」。悩んだが内定辞退した。同期120人の5分の1が辞めていくことを後で知った。「人を育てる姿勢がなかった。多く辞めることを見込んで採用しているとしか思えない」
留年し、元後輩たちに交じって就職活動を続けている。
都内の私大の元女子学生(24)の場合は、「内定切り」に遭い、昨年度留年して就職活動をした。
内定していた都内のITコンサルタント会社からメールが来たのは一昨年10月。「入社前に取得して下さい」と四つの民間資格が示されていた。年明けの2月には直接呼び出され、いきなりIT知識を問うテストがあった。結果を見た執行役員から「君の大学では一生上に上がれない」「クズと同じだ」と面罵(めんば)された。涙が出た。
卒業式前日、「情報を一切漏らしません」と署名し、内定を辞退した。大学のキャリアセンターは「内定取り消しと同様の悪質な事例」と判断し、会社に正式に抗議してくれた。1年間10万円で在籍できる特例措置も認められた。
再就活中は、キャリアセンターの相談員と常に連絡を取り合い、圧迫面接を受けたことや内々定後にどの程度拘束されたかを逐一報告した。「後輩のためにも、会社の情報は大学に伝え、共有することが大切だと思った」。今春、別のIT系企業に就職。2回目の就活は「納得できた」という。
元女子学生が内定辞退した会社は朝日新聞の取材に、事実関係を認めた上で「内定切りや新人切りではない。ゆとり世代の学生は甘いところがあり、厳しく接するのは教育」としている。
■内定期間も「労働者」、相談を
内定期間や試用期間であっても、正当な理由のない解雇や退職勧奨は無効だ。だが、「自主辞退」や「自己都合」の場合、企業側の責任を認めさせるのは容易ではない。
一昨年に内定取り消しが社会問題化し、厚生労働省は09年3月卒の学生2143人が取り消しに遭ったとして、悪質な企業15社を公表した。しかし、今春の卒業生については厚労省は「ごく少数」として公表しておらず、公表企業も出ていない。
全国247私大の就職支援部署の責任者で作る「全国私立大学就職指導研究会」の土橋久忠会長は「取り消しという形で表面化した事例は一部。内定切り批判が高まり、むしろ企業の対応は巧妙化した」と指摘する。
「首都圏青年ユニオン」(東京都豊島区)の河添誠書記長は心得として次の3点を挙げる。
一つは、納得できない書類にはサインしないこと。退職届を書くよう迫られても「家族と相談したい」などと言ってとにかくその場を逃れる。二つ目は、内定期間や試用期間であっても「労働者」としての権利があると認識する。解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念に照らしても妥当だと認められない場合は無効で、使用者と交渉する権利がある。三つ目は、いざという時の相談窓口を把握しておくことだ。(三島あずさ、石川智也)
◇
■主な相談窓口
◇大学生の場合は、まず大学の就職課などへ
◇全国の労働基準監督署
所在地や連絡先は厚労省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html)から確認できる(平日8時半~17時15分)
◇首都圏青年ユニオン
03-5395-5359(平日10~18時)
◇NPO労働相談センター
03-3604-1294(平日9~17時)
◇連合の労働相談ダイヤル
0120-154-052(平日9時半~17時半)
企業は、営利目的で活動しているとはいえ、これはひどいですね。入社させたはいいけれども、その後都合が悪くなったからといって、自己都合の退職を装うために、何日にもわたって終日どなり、罵倒し、脅し、退職強要する。これは、もはや人の道を外れている。正義を全く失ったえげつない会社の振る舞いに怒りを禁じえません。こうした扱いを受けた若者は、記事にある通り、相談に乗ってもらって、少しでも補償を獲得し、次のステップへの糧にしたほうがよいと思います。
現代社会は、インターネットで、どんな情報でも得られる時代となりましたよね。テレビで報道されなくとも、こうした極悪の所業は、野火のように広まっていく。「ばれなければ何をやってもいい」と思い込んでいる企業は、それがとんでもない思い違いだと思い知らされることと思います。新聞では企業名はさらされていませんが、ネットの世界では、ばればれなのですから。正義に反する強引な所業であっても遂げたいとおもったことよりも、イメージダウンで失ったことのほうがはるかに大きい。悪徳を積むことに躊躇しない企業は、よくよく世界中から非難の矢面になることを覚悟したほうがよいでしょう。
大卒就職率、過去2番目の低さ
大卒就職率91・8%、過去2番目の低さ 2010年5月21日 読売新聞
大学を今春卒業した就職希望者の就職率(今年4月1日現在)が、前年同期を3・9ポイント下回る91・8%で、過去最低だった2000年卒(91・1%)に次いで低かったことが厚生労働省の調査でわかった。
前年同期を下回るのは2年連続で、下げ幅は過去最大。厚労省は、「08年秋のリーマンショックの影響で『就職氷河期』並みの就職難となった」と分析している。
調査は、全国各地の62大学を抽出して実施。男子の就職率は、前年同期比で3・9ポイント減の92・0%、女子は同3・9ポイント減の91・5%で、男女共に過去最大の下げ幅となった。
就職率が、過去2番目の低さだったとのこと。大学のキャリア教育に携わる担当者として、その厳しさは、肌で感じておりましたが、確かに去年の事情は、最悪の状況と言えたんだろうと思いますね。
そんな年にめぐり合わせてしまった学生がかわいそうです。苦難が人を育てるとはいえ、一生懸命に頑張った末に、どこからも内定を得られずに、卒業後も、ハンデを背負いながら就職先を探している若者たちの苦難を思うと、胸が痛みます。でも、人生は不思議なもの。苦難の後には幸せがあるということは本当のことだと思いますね。自分の幸せをあきらめずに、志をハートにしっかりと持って、粘り強くことに当たってほしいと思いますね。きっと今は想像もできないようなチャンスが必ずやってくると思います。
さて、今年の就活事情ですが、確かに厳しいことには変わりはありませんが、なんとなく、昨年とは違った雰囲気を感じますね。学生も焦っていますが、企業も思い通りの成果を出せていないような雰囲気です。少し求人数が回復してきているのかもしれませんね。きっと学生たちにもチャンスが増えてくると思います。希望を持って粘り強くアタックしてほしいですね。頑張る学生たちに心から応援していきたいと思います。
悲観主義は間違っている
悲観主義は間違っている。
だって、すべてが可能だからだ。
「アミ 小さな宇宙人」(エンリケバリオス著)より抜粋
社長との距離感が業績を左右する
社長との心の距離「火星と同じぐらい遠い」 asahi.com 2010年5月16日
社長との間に感じる心の距離は火星と同じぐらい遠い――。人事コンサルティング会社のJTBモチベーションズ(東京都港区)が実施したアンケートで、こんな会社員の心持ちが浮き彫りになった。従業員500人以上の会社に勤める全国約500人を対象に、社長との「気持ちの上での距離」を調査。「違う星にいる(4億キロ)」「違う国にいる(1万キロ)」「すぐそば(1メートル)」など八つの選択肢から選んでもらった。一番多かったのは「違う星」で、20.4%。4億キロは、地球と火星が最も離れた時の距離にあたる。
このほか、「違う都道府県にいる(500キロ)」が20.2%、「違う国」が19.4%と続いた。「一心同体と感じる(0メートル)」を選んだ人は0.2%にすぎなかった。
社長を遠く感じる理由は、「コミュニケーションが少ない」「こちらの仕事や状況を理解していない」が多かった。距離を遠く感じる人ほど、別の質問で「自分の仕事に対するモチベーションが低い」「会社の業績は悪化」と答える比率が高くなった。
調査を担当した菊入みゆきさんは「社長が社員とコミュニケーションをとることは、社員のモチベーションや会社の業績の向上につながる有効な手段といえる」と提言している。(山根祐作)
とてもユニークな意識調査ですよね。社長の心理的な距離感が、火星くらいに遠く感じるとは、それはずいぶんと遠いんですね。大声で呼んでも、とてもとても届きません。
原因は、コミュニケーション不足と無理解無関心。社長さん、社員は、自分たちにどうかかわるのかにはとても敏感で、よく見ているんですよ。火星に追いやられるということは、好かれているというよりは、明らかに嫌われている。でも、それは、社員の性格が悪いからではなくて、社長さんの態度が悪いからだそうです。どうぞどうぞお気を付けくださいませ。
社長との距離感が大きい人は、モチベーションも低く、会社の業績も悪化しているとのこと。恐ろしいことです。会社の業績は、まさに、コミュニケーションによるところが大きいのですね。調査を担当された菊入さんのおっしゃる通り、コミュニケーションを改善することがやるきと業績アップの秘訣なのだということが改めてわかります。なんだかんだ言っても、経営には、愛と心意気が必要だっていうことですね。
勇気ある報道
5月16日の午後2時から、テレビ朝日のザ・スクープで、検察の裏金問題にまつわる様々な闇についての報道がなされましたね。私も以前から興味があったテーマでもあり、色々とネットなどで情報を集めていましたが、私が思うに、番組は、問題の本質から逃げずに、ごまかさずに、はっきりと真正面から検察の問題を指摘した勇気ある報道だと思いました。ご覧にならなかった方は、こちら(http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/)で映像をダウンロードできますので、ぜひ見られることをお勧めします。
もと大阪高検公安部長という高い地位にあった三井環さんが、検察内部で行われている裏金問題(捜査協力者への謝礼金の領収書をねつ造して、検察官の飲み食いに使っている)に嫌気がさし、それを8年前に告発しようとしました。すでに、匿名では、週刊誌に内部告発をしていたのですが、テレビで実名でディスクローズしようとしたのです。しかし、テレビ収録取材の3時間前に、職場である検察庁から検挙され、逮捕されてしまいました。三井さんは、公明正大な人であり、犯罪行為などしてないので、逮捕されるいわれなどないのですが、逮捕され身柄を確保されてしまったのです。検挙された罪の内容は、「住んでいないマンションに、あたかも住んでいるように転入届を出して脱税をした詐欺罪」というもの。三井さんは、当時、マンションを購入し、そこに住もうと考え、徐々に生活用品も搬入し始めたところでした。転入届は、ちょっと早まったけれども、住むつもりであり、単なる引越しの手順の手違いなわけであって、検察の主張する「住むつもりもないのに転入届を出して脱税をした」という認識は、いいがかりであり、でっち上げなのです。それがたとえ罪だとしても、修正届を出す程度の微罪であり、検察庁が大挙して逮捕劇を演出するようなものではないのです。まさに、検察の都合による口封じ逮捕、国策逮捕と言えましょう。
しかし、その後、三井さんは、どんどん言いがかりをつけられて、検察からマスコミへのリーク情報をもとに、極悪非道の、日本始まって以来の恥ずべき検察官だとマスコミで報道され、極悪人に仕立て上げられていきます。そして、単なる記述ミスが、実刑判決を下され、執行猶予のない重罪犯罪者となってしまったのです。私は、日本は平和でいい国だと思っていたので、こんな良い日本で、こんなえげつない陰謀がまかり通るのかと、少々恐怖を感じましたね。
今回の報道は、事件後8年経過し、三井さんも出所して、活動を再開されて実現したものです。インターネットが発達して、こうした事件が暴露され、興味関心を持つ人がどんどん広め、本当のことを知る人が相当数増えていったので、検察もそうそう無理やごり押しを繰り返すことができなくなったのでしょう。前回は、インタビュー直前の逮捕で邪魔をされましたが、今回は、何の妨害や抵抗もなく報道を遂げることができました。
今回の報道に携わった人たちは、本当の権力の恐ろしさを十分に知っていらっしゃる人たちだと思います。権力の闇は、自分の意を通すためなら、どんなに汚く強引で違法なことでもやってのけるということを身にしみて知っている人たちだと思います。そんな人たちが、リベンジとして、真正面からこの問題を取り上げて、見事報道しきったことは、本当にすごいことだと思います。三井さんや鳥越さん初め、スタッフの皆さんに、大きな拍手を送りたいと思います。
それにしても、石川知裕議員の大げさ逮捕、小沢一郎議員に対する悪意があるように見える捜査、厚生労働省元局長の村木厚子さんの不当逮捕(でっち上げである証拠が裁判の中で次々に明らかになっている)など、最近の検察のやることは、一市民の立場から見ると、全く信用に値しないように思えます。あり方を猛烈に反省して、自身の罪は罪として認め(裏金も認め、国庫に返金すべき)、本来のあり方である正義を追求する組織になってほしいと強く思います。
自尊心の重要性⑤(最終回) カマスの教え
魚のカワカマスを使った実験があります。カワカマスと餌になる小魚をガラスで仕切ってしまうと、餌を取ろうとしたカマスが何度もガラスにぶつかってしまい、最終的には、捕食をあきらめてしまうのですが、仕切っていたガラスを取り外した後でも、カマスは、餌に食いつこうとはしなくなるのです。
度重なる不快な痛みを体験すると無力感を感じうつ状態となり、普段できることができなくなるという学習性無力感の典型的な実験です。
このことは、かますだけではなく、私たちにも当てはまることなのではないでしょうか。私たちは、多くの痛みを体験して、どんどん萎縮して、小さく小さく回遊するようになってきたのかもしれません。チャンスが目の前にやってきても、「どうせだめだから」「どうせ罠だから」と思い込んで飛びつくこともせずに、ただ、日常の習慣を繰り返してしまっているのかもしれません。
今、私たちは、「自分はこんなもんだ」と思っている自分は、もしかしたら、もっともっと大きい壮大な存在、地球大、宇宙大のスケールなのかもしれません。本来の姿は、想像をはるかに超えるくらいに明るく、元気で、大胆かつ勇敢で、楽しく、思いやりにあふれ、自由で壮大なのかもしれません。
私たちは、自分にしろ他人にしろ、萎縮し、恐怖でトゲトゲしくなった、ちっぽけな姿をその人そのものだと思い込んでしまっていないでしょうか。そのような欠点は、そのひとの本質ではありません。傷つき追い込まれた結果として現れてきた一時的な生傷やかさぶたであって、その人そのものの姿ではありません。人は断じて欠点だらけの無力な存在ではありません。人の可能性や潜在性は、今見えているちっぽけな姿とは比べようもないほど大きく、想像をはるかに超えて壮大なのですから。
では、どうすれば、どうすれば、他人の欠点ではなく長所を見て、長所を伸ばすことができるのでしょうか?心理学の真理としてこんな言葉があります。
「他人を変えようとするならまずは自分から」
まずは、自分の欠点ではなく、長所を大切にしませんか。欠点をなじるのではなく、長所を伸ばしていきませんか。自分を大切にしませんか。自分を愛を持って受け入れて尊重しませんか。
自分を大切にできるからこそ、他人も大切にできる。自分を愛せるからこそ、他人も愛せる。自分を信頼できるからこそ、他人も信頼できる。本当のところ、自分の潜在性や可能性は、今の想像をはるかに超えて大きいのですから。自分の人生の力強さ、可能性の大きさを大切にしませんか。そんな生き方をお勧めします。
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①自尊心とその影響
②自尊心とプライドの違い
③日本における自尊心の現状
④自尊心と生き方
自尊心の重要性④ 「欠点は治らない」
伝説の打撃コーチと呼ばれる高畠導宏さんは、自分のコーチ体験を踏まえて、「欠点は治らない」と断言されています。彼の指導方針は明確であり、欠点を矯正しようとするのではなく、長所を伸ばそうとするのです。長所を褒め、選手の長所を引き出すことができる的を得た練習方法を工夫し、勇気づけて、ともに練習を繰り返すことで、見違えるように選手が力をつけて、結果的に30人以上のタイトルホルダーを育てることができたのです。
基本的に、人材を育成する方向性として、欠点を矯正するよりも長所を伸ばすこと、自信を砕くのではなく自尊心をはぐくむほうが、結果的に大きな成果につながるといえましょう。影は、目立つので、つつきたくなりますが、日のあたる側面のほうが圧倒的に大きいのです。人は、確かに欠点を持っている完ぺきではない存在ですが、断じて無力ではありません。その人の可能性や潜在性は、人の見立てや思い込みよりも、はるかに大きいのです。それをちっぽけにしか見れないのは、リーダーの器量のなさ、自身の勝手な絶望から来る偏見と言えましょう。自分自身に絶望している人は、他人にも可能性よりも絶望を見出します。自分自身を嫌っている人は、他人にも愛すべき長所よりも憎むべき欠点を見出します。リーダーとして、そんな偏見の罠に陥ってはいけません。自分にしろ、他人にしろ、人は、断じて欠点だらけの無力な存在ではありません。影よりの光のほうが圧倒的に大きく、その潜在性と可能性は、想像をはるかに超えて、壮大なのですから。(続く)
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①自尊心とその影響
②自尊心とプライドの違い
③日本における自尊心の現状
④自尊心と生き方
自尊心の重要性③ 「自尊心とプライドの違い」
日本では、この自尊心と傲慢さは、同じようなものと同一視されてしまっているようですが、英語では、自尊心と傲慢さは、はっきりと言葉で違えて認識しています。自尊心は、Self-esteemであり、傲慢さは、Prideと表現されて、それぞれは、全く違うものであると認識されているのです。
Self-esteem(自尊心)とPride(プライド)の違いを整理してみると、 次の事が言えると思います。
<Self-esteem(自尊心)>
・自信に由来する
・自分の存在そのものを尊いと感じる
・欠点も含めて自分を受け入れられる
・失敗にめげずチャレンジング
・基本的に安心
<Pride(プライド)>
・劣等感に由来する
・他者と比較して、自分が上(下) と感じる
・自分の欠点の存在を許せず責める
・失敗を恐れて防衛的、保守的
・基本的に不安
○Self-esteem(自尊心)は、自信に由来するのに対して、Pride(プラ イド)は、自信の欠如=劣等感に由来する。
だから、本当の自尊心は、決して傲慢ではない。礼儀正しい紳士淑女であり、自分も大切にすると同時に仲間も大切にする。 一方、プライドは、本当の自分は欠点だらけで弱く、嫌な奴だと思い込んでいるので、それがばれないように隠したり、逆にあたかも強くふる まったりするので傲慢、うぬぼれとなる。
○Self-esteem(自尊心)は、自分の存在そのものに価値があると感じる のに対して、Pride(プライド)は、他者との比較において、自分が上(また は下)と認識する。
だから、プライドは、自分の価値がいつも他者との比較の中で決定する ので、自分の価値は、常に揺らいでおり、脅威にさらされている。 一方、自尊心は、自分の価値を認識するのに他者は必要ない。 他者がどうあれ、自分の尊さには揺らぎがないのだ。
○Self-esteem(自尊心)は、欠点も含めて自分を受け入れて尊重すること ができるが、Pride(プライド)は、自分に欠点があることを許せない。
自尊心は、発展途上の自分が好きであり、自分が完璧ではなくともそれを自然に受け入れることができる。だから、他人にも完璧さを求めないし、欠点ある他人を快く受け入れる。 一方、プライドは、自分に欠点があることを許せないので、他者から欠点を指摘されると猛烈な恐怖と怒りを感じる。だから、完璧になどなれるわけが ないのに、完璧ではない自分でいることが不安であり落ち着かなく、欠点を隠そうとして傲慢になる。自分の欠点を憎むように、他人の欠点にも敏感で それを嫌う。だから、他人にも完璧さを求め、基準を押し付け、矯正しようとする。
○Self-esteem(自尊心)は、失敗にめげることなく、前向きにチャレンジングに生きるが、Pride(プライド)は、失敗を恐れて防衛的、保守的に生きる。
だから、プライドの人生は、壁を作り、分離感を強め、引きこもり、攻撃的に被害者又は加害者として生きるが、自尊心の人生は、壁を乗り越え、分かち合い、知恵と愛と勇気をもって創造者として生きる。
○したがって、Self-esteem(自尊心)は、日常が安心と喜びであるのに対して、Pride(プライド)は、日常が不安と恐怖との戦いである。
だから、自尊心の人生は、基本的に明るく元気で信頼に満ちている。健康的で、平和で、クリエイティブ。自分らしく勇気を持って人生の冒険に乗り出すことができる。一方、プライドの人生は、素晴らしい自分の潜在性や可能性よりも醜い自分の欠点の存在に焦点が当たり、それを克服することがテーマとなるので、基本的に後ろ向きであり、戦いであり、不安である。本来の自分らしさ、明るく大胆で温かい側面が封じ込められ、生き残りをかける猛々しい本能の側面で生きることになる。本来そうあるはずではなかった痛くみじめな自分らしくない生き方を選ぶことになるのだ。
<プライドではなく自尊心を持って生きよう>
基本的に、人が成長する方向性として、欠点を矯正するよりも長所を伸ばす事、 自信を砕くのではなく自尊心を育む事の方が、結果的に大きな成果につながると言えましょう。
影は、目立つので、つつきたくなりますが、日のあたる側面のほうが圧倒的に大きい事を忘れてはいけません。人は、確かに欠点を持っている完璧ではない存在ですが、断じて無力ではありません。その人の可能性や潜在性は、人の見立てや思い込みよりも、はるかに壮大です。
それをちっぽけにしか見れないのは、そう認識す るエゴの器量のなさ、自身の勝手な絶望から来る偏見と言えましょう。そんな勘違いの罠に陥ってはいけません。人は、断じて欠点だらけの無力な存在ではありません。本気を出せば、どんな人でも素晴らしい仕事を成し遂げる力を持っています。
そんな自分に自信を持って生きてみませんか。
完璧な存在になどなる必要はまったくありません。
「もう少し背が高ければ自信がもてるのだけど・・・」
「もう少し頭がよければ自信が もてるのだけど・・・」
などとけちくさい事を言ってはいけません。
人は、皆、発展途上の存在であり、完璧になどなることは、そもそもできません。
発展途上の自分を大切にしましょう。
発展途上の自分を信じてみましょう。
発展途上とは言え、あなたには今のあなたの想像をはるかに超えた可能性がまどろんでいます。
あなたの人生は思っている以上に頼もしい力があるのですから。
そんな力と可能性を大切にしてみませんか。(続く)
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①自尊心とその影響
②自尊心とプライドの違い
③日本における自尊心の現状
④自尊心と生き方
自尊心の重要性②「自尊心を巡る誤解」
このように、自尊心は、人の人としての生き方、コミュニケーション、人間関係、職業選択、仕事に取り組む姿勢、生きる態度、健康、人生そのものにとても大きな影響を及ぼす重要な要素であるといえます。
しかし、この自尊心についての教育は、実にお粗末であり、ほとんど手が打たれていない現状です。こうした自尊心教育がなされていない原因の一つとして、自尊心をめぐる大きな誤解があるのではないかと私は思っています。
自尊心は、よく、傲慢さや、うぬぼれと誤解されることが多いのではないでしょうか。自尊心を高く持つことは、鼻もちならない生意気で傲慢な危ない人間になることだという勘違いがあり、だから、自尊心はよいものというよりは、悪いもの、持つべきではないものという思い込みがあるように私には思えます。
本当の自尊心は、自分を尊い存在と思えると同時に、相手も大切な存在と感じるので、謙虚であり、思いやりがある紳士淑女として生きることにつながります。一方、傲慢さやうぬぼれは、自分を尊いとは思えないので、欠点を他人に隠そうとしたり、欠点などないふりをしようとしたりする無理からやってくるものであり、むしろ、自尊心の欠如からやってくるものと言えましょう。
日本では、この自尊心と傲慢さは、同じようなものと同一視されてしまっているようですが、英語では、自尊心と傲慢さは、はっきりと言葉で違えて認識しています。自尊心は、Self-esteemであり、傲慢さは、Prideと表現されて、それぞれは、全く違うものであると認識されているのです。(続く)
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