このように、自尊心は、人の人としての生き方、コミュニケーション、人間関係、職業選択、仕事に取り組む姿勢、生きる態度、健康、人生そのものにとても大きな影響を及ぼす重要な要素であるといえます。
しかし、この自尊心についての教育は、実にお粗末であり、ほとんど手が打たれていない現状です。こうした自尊心教育がなされていない原因の一つとして、自尊心をめぐる大きな誤解があるのではないかと私は思っています。
自尊心は、よく、傲慢さや、うぬぼれと誤解されることが多いのではないでしょうか。自尊心を高く持つことは、鼻もちならない生意気で傲慢な危ない人間になることだという勘違いがあり、だから、自尊心はよいものというよりは、悪いもの、持つべきではないものという思い込みがあるように私には思えます。
本当の自尊心は、自分を尊い存在と思えると同時に、相手も大切な存在と感じるので、謙虚であり、思いやりがある紳士淑女として生きることにつながります。一方、傲慢さやうぬぼれは、自分を尊いとは思えないので、欠点を他人に隠そうとしたり、欠点などないふりをしようとしたりする無理からやってくるものであり、むしろ、自尊心の欠如からやってくるものと言えましょう。
日本では、この自尊心と傲慢さは、同じようなものと同一視されてしまっているようですが、英語では、自尊心と傲慢さは、はっきりと言葉で違えて認識しています。自尊心は、Self-esteemであり、傲慢さは、Prideと表現されて、それぞれは、全く違うものであると認識されているのです。(続く)
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①自尊心とその影響
②自尊心とプライドの違い
③日本における自尊心の現状
④自尊心と生き方