緊急入院顛末記

 先日、3月15日の日曜日、救急車で搬送され、そのまま1泊入院することになりました。
 4月の新入社員研修シーズンの準備で、教材類をセット組して出荷できる準備をしている最中に、腰をかがめてダンボールの中を探している最中に、突然、強烈なめまいに襲われたんです。
 それはもう、人生の中で体験したことのないようなめまいで、通常言われているようなめまいとはぜんぜん違う、桁違いにひどい最凶最悪のめまいに襲われたんです。
 壊れたロボットのように目が勝手に動いて、よく目が回るっていうじゃないですか、文字通り、目が勝手にぐるぐる回るのです。
 止めようとして止まらないもので、目が動くとおりに、景色もぐるぐる動いて、とても立っていられないし、目を開けていられない状態になってしまったのです。

 おどろいたなぁ、こんな体験はしたことがないし、こんなに激烈なめまいが存在するとも思ってもいなかったので、何が起こっているのかさっぱりわからなかったのです。
 結論から言うと「良性発作性頭位めまい症(りょうせい はっさせい とうい めまいしょう)」という病気だそうです。
 人は、姿勢の制御や運動の際の身体バランスを整えるための器官として、内耳に前庭という部分があるそうです。そこでは、耳石という炭酸カルシウムが固まった極小の石が、ゼラチンのようなもので前庭にくっついており、その石の加速度や位置で、自分のバランスを整えているそうです。
ところが、その耳石は、はがれてしまう事があるそうです。
 耳石がはがれると、前庭に直結している三半規管というカタツムリのような器官に入ってしまうことになり、三半規管は、平衡感覚や回転を感知する敏感な感覚器であるので、実際は回転してないにもかかわらず、体が回転しているって勝手に解釈して、目や平衡感覚に異常が起こるそうです。

 吐き気もひどかったなあ。脳は、姿勢や回転の異常事態を毒物のせいかもしれないと判断して、食べたものを全部嘔吐させるそうです。まったくその通りで、何度も何度も、胃の中のもののみならず、小腸に入ったものまで出尽すような状態だったんです。

 当時は、そんな知識もなく、ただただおどろいて、内耳の問題と言うよりは、脳神経や脳血管の病気を疑ったので、至急救急車をよんでもらい、搬送してもらった次第です。

 なんていうのか、トラブルは、泣きっ面に蜂のようにやってくるもので、実は、昨年の年末から、思いもよらない困難やけがやトラブルが頻発していて、しかも、そのどれもが簡単には解決できないものばかりで、ちょっとストレスがたまっていたのです。
 問題があるからと言って、ただただ落ち込んで休んでもいられない状態で、と言うのも、この4月~5月は、創業以来初めてのたくさんのお仕事を頂いており、その準備(テキスト印刷や製本、教材のセット組、梱包や出荷作業、お客様との打ち合わせやプログラム作り、研修の予習など)で大忙しで、くじけそうな心に鞭打って頑張っていた次第です。

 無理に無理を重ねていたのだろうと思います。とどのつまりは、劇症のめまいが起こって、強制ストップ、強制休養をとらざるを得ない、というかとらせていただくことになった次第です。

 現在は、退院が16日ですので、7日目となり、おかげさまでめまいはずいぶんおさまってきました。
 本当は、車を使った用事やお約束が何件かあったのですが、キャンセルをさせていただき、こうして、自宅で待機、体のならし運転を始めたところです。

 本事件をふりかえってみて、こうした出来事は、決して偶然の不運で起こったわけではないんだなあということがよくわかります。
 そのままでいたらもっと大きな問題が起こるから、神様が強制的に一時休止させるべく、病気をプレゼントしてくれたような気もします。
 私は、ピンチや逆境になると、焦りなのか負けん気なのかはわかりませんが、というか両方なんだろうと思いますが、ますます頑張ってしまうんですよね。頑張ることはやぶさかではありませんが、頑固になって人の意見を聞かなかったり、体の悲鳴を無視したり、的外れなことをやったり、事を急ぎすぎたりなど、流れに呼応するのではなく、強引に進めてしまうのは問題で、私には、実はそうした課題が未解消で、時々顔を出すのです。

 ネガティブケイパビリティというスキルが最近話題になっています。問題があってもすぐに安直な結論に飛びつかないで、不安の中にいて、不安と戦わずに不安を受け止めながら、じっくりと問題の本質に目を向け、本質的な解決策を探ろうとする能力で、シェークスピアなどの天才的な創造や、達人の優れた仕事をする人が持っている特有のスキルと言われています。

 私は、このネガティブケイパビリテイは、知識では知っていましたが、多分まったく実践できていなかったのだと思います。問題や不安が立ち上がると、1分1秒でも早くその問題から抜け出したいと思って、拙速に手を打って強引に解決しようとする。そんなところが、人生の中でもよくあったし、いまでもよくあるのです。

 今回、妻にも本当にとんでもないほどの負担と迷惑をかけてしまって、頭が上がりません。
 救急車を呼んでもらって、入院手続きをしてもらって、搬送から入院までの長い時間をずっとただひたすら寒い病院の廊下でまっててもらって、ちょっとだけ病室に顔を出して私を元気づけてくれた後で、夜中の病院で道に迷って出口を探して、ようやくタクシーで家に帰ってきたのです。
 多分、こんな冒険は、生まれて初めてだったと思います。
 そういえば、その妻の意見を、実は最近あんまり聞いてなかったなぁとつくづく感じました。と言うのも、妻は、以前から、私に無理しすぎていると指摘していたのです。「そんなこと言ったってやんなきゃいけないことはやんなきゃいけないだろう、プロなんだから!」なんて言って、警告を無視し続けてこの結果です。

 多分、ネガティブケイパビリティでいう、プロセスを信じて身を任せてみると言う勇気、度量が足りなかったんだろうと思います。だから、焦って、自分のやり方にこだわって、妻の意見も拒絶し、ただひたすら体力勝負の対応をしていたんだろうと思います。

 実は、不思議なことに、強制ストップによってエゴの独走が止まり、コントロールを手放し、なるようになるしなかないさ!なんてうそぶいて少し流れに身を任せたら、ここ数日で、今年に入ってから絶望視していた問題が、次々と好転し、解決、または解決の糸口をつかめたのです。
 あんなにいそがなければと思っていた研修の準備も、3日~4日休んだのに、昨日から慣らし運転をして妻と二人で協力し合ったら、何と、あっという間に処理出来て、本日、ほぼ終了となりました。

 本当に不思議なものです。狭い了見の危機感(エゴ)で何とかしようとして、無茶苦茶頑張っても一向に目標に近づけないのに、一旦緊張をほぐして、意固地にならずに人に協力を募り、正直に弱みを告白して相談し、プロセスに身を任せたら、あっという間解決していく、ある意味、奇跡のような変化が起こってくる。
 まさに、ネガティブケイパビリテイ、達人達の秘密、を体験を通して学べた気がします。

 4月の本番に向けて、あと1週間。もちろん、無理をすると奥さんから叱られてしまうので、50%~60%の無理をしない仕事ぶりをしばらくは続けるつもりです。
 病気はとてもとても苦しくて、つらいものではありましたが、それに勝る勉強をさせていただいた気がしています。
 これから、4月の本番に向けて、ちょっとだけ反省し、ちょっとだけ成長した自分で立ち向かえそうです。

 共に危機を乗り越えてくれた妻と、心強く助けてくださった救急隊員の皆さん、心配そうに救急車を見守ってくれていたご近所の方々、献身的に看病してくださった病院の看護師さんと先生、そして、この大事件に感謝!

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