(引き続き 2.分離感の状態)
②日常生活の状態
社会的に常識とされている人と人との間の距離感の状態。表立って戦い合っているわけでもなく、かといって、肉親のように親しく感じているわけでもなく、お互いに、社会的な関係を維持できる関係性の状態である。自分と他人の境界線は、比較的はっきりとしており、自分と他人の関係性は、協力関係というよりはむしろ取引関係である。自分対他人を比較的平和的に体験できる場であり、自我の成長の場ともなる。しかし、分離感の反映である疎外感や孤独感は絶えることなく、主要な社会性の特徴の一つとなる。
③共感の状態
他者に強い親しみを感じ、気持ちを分かち合うことができる状態である。もはや、”自”は、”他”と異なるものというよりは、本質的には同じものと感じる。”他人”のいたみは”自分”のいたみであり、”他人”の喜びは”自分”の喜びである。人間関係において、相互の感情や意向など、ノンバーバルの領域について、共感的にはっきりとわかるので、そこには、うそやごまかし、隠し事の入る余地はない。関係の中で起こっている様々なあらゆることが、オープンとなり、受け入れられ、誤解なくありのままに理解される。そのような関係性の中では、隠し事、演技、うそ、ごまかしで自分を演出する必要はまったくない。自分は、他人から、ありのままを受け入れられ、すべてをそのまま愛される。愛されるために自分を変える必要が全く無いのだ。他者に対しても同様であり、自分は他者の中で起こっていることを、客観的にではなく、体験的に理解できる。他者の悲しみを自分の悲しみとして体験し、他者の喜びを自分の喜びとして体験する。そのような体験にケチをつけて、”本来ならばこうあるべきだ”などと説教しようなどとは思いもよらない。そのような体験をそのまま受け入れて誤解なく理解し、そのままを心から愛することができるのだ。このような共感の状態において、人は初めて自分らしさを自由に謳歌し表現することができる。そのような関係性に一体化した自分自身を初めて心から幸せと感じることができるのだ。(続き)
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