米コダック破綻 事業は継続 デジタル対応遅れ
東京新聞 TOKYO WEB 2012年1月20日 朝刊 より引用【ニューヨーク=青柳知敏】経営危機に陥っていた米写真用品大手イーストマン・コダックは十九日、米連邦破産法一一条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨーク州の連邦裁判所に申請したと発表した。ロイター通信によると、昨年九月末の負債総額は六十七億五千万ドル(約五千二百億円)。約百三十年の歴史を持ち、写真用フィルムで世界を席巻したコダックは、デジタル化への対応の遅れで事実上の経営破綻に追い込まれた。
発表によると、破産法の申請はコダック本体と米国子会社で、日本の子会社は含まれていない。米シティグループから九億五千万ドル(約七百三十億円)のつなぎ融資を受けて事業を続ける一方で、不採算部門のリストラ再編や保有特許の一部売却を通じ、裁判所の管理下で再建を急ぐ。
米国を代表するブランドのコダックは一八八〇年創業。一九三五年には業界標準となったカラーフィルム「コダクローム」を発売、フィルム全盛期を支えたが、戦後は富士フイルムなどに激しく追い上げられた。七〇年代に世界初のデジタルカメラを開発したものの、高収益のフィルム事業に経営資源を集中し、競合メーカーのデジタル化に大きく出遅れた。
経営トップが交代した二〇〇五年からはプリンター事業を改革の柱に据えたが、業績は改善されず〇八年の北京五輪を最後に五輪の公式スポンサーを降板した。同年以降は赤字が重なり、一一年七~九月期決算は純損失が二億二千万ドルに拡大。株価は一ドルを下回り、ニューヨーク証券取引所(NYSE)はコダックに対し、上場維持に関する警告書を出している。
コダックが破綻するとは、信じられない思いですね。一時代の隆盛を知っているので、さびしい思いもあります。しかし、どんなに名門で大企業であっても、終わりはあるんですね。
こうしてみると、企業の存続と成長を保障するものは、人でも物でも金でも情報でもないことが良く分かりますね。だって、コダックほど優秀な人材はいなかったでしょうし、お金だってたくさん稼いでいたはずですし、技術力商品力たるや素晴らしい輝きがありました。情報にしても、いち早くデジタルカメラを試作したのはコダックだったのですから。
どんなに優秀な経営資源をもっていても、会社の存続を図ることはできない。企業の存続を保証するものは、人もの金ではなく、戦略であり、戦略を支える企業風土である。私どもは、そんなことを考えており、これから、そうした考え方をまとめていこうと考えていた所です。今回のコダックさんの事例は、その良き教訓とさせていただけると思います。
企業の存続と成長を保証する企業文化とはどのようなものか?今後、しっかりと探求していきたいと思います。