澤田秀雄氏という20代の青年がいた。
福岡の古くうす暗く狭いマンションの一室でヒデインターナショナルという格安航空チケットを販売する会社を経営していた。
澤田氏は、GパンとTシャツでおおよそ社長らしからぬ恰好をしており、事務所は、貧乏そうな雰囲気であるが、言うことだけは大きかった。
「将来は、旅行業界で日本一の会社になって、ホテルも航空会社もやるよ。海外にも支店をつくるし、移動は自家用ジェット機だ。」
現実と言うことのあまりの格差に、この人は大ぼら吹きだ、誇大妄想病か詐欺師だと思った。しかし、何度会ってもいつも同じことを熱っぽく語った。
(参照:逆転バカ社長 石風社)
このヒデインターナショナルは、この5年後(1990年)株式会社エイチ・アイ・エスと社名を変更し、1996年にスカイマークエアラインズを設立し、2004年に東証で一部上場し、2006年ついにJTBを抜いて国内旅行業界で一位となる。
ありえなかった澤田氏の夢は、20年後にはすべて実現したのである。