徐々に変わる風向き

       朝日新聞 天声人語. 2011年10月10日(月)付

 震災後、ひどい略奪が起きない日本を世界は称賛したが、人影が消えた被災地は出店荒らしや空き巣にやられていた。どさくさこそ稼ぎ時とみるのは、こそ泥ばかりではない▼「人々が精神的なよりどころも物理的な居場所も失って、無防備な状態にあるそのときこそ、彼らにとっては世界改変の作業に着手するチャンスなのである」。近刊『ショック・ドクトリン』(ナオミ・クライン著、幾島幸子・村上由見子訳、岩波書店)の一節だ▼彼らとは、戦争や内乱、災害などの混乱に乗じ、改革と称してひともうけを企(たくら)む勢力を指す。筆者のカナダ人ジャーナリストは、イラク復興に群がるグローバル企業を取材して執筆を決めたという▼茫然(ぼうぜん)自失の人々をよそに、彼らは権力に取り入り、白紙に好きな絵を描く。惨事便乗の商売は途上国に限らない。財政難で強まる官から民へ、市場任せの風潮も好機らしい。俗耳になじんだ「小さな政府」への異議に、ざらりとした読後感が残った▼震災も「彼ら」には商機だろう。そこには生活と街と産業の再建にもがく住民がいて、予算がつけば総額十数兆円の復興計画が動き出す。東北3県は、スーツ姿の火事場泥棒にもご用心である▼「強欲の自由」は、各国で貧富の差を広げ、職なき若者の怒りは本家本元の米国にも広がった。自由競争の功は多々あれど、過ぎた市場信仰は社会に不安定の災いをもたらす。すでに深手を負った被災地ぐらい、部外者の金もうけとは無縁の場所でありたい。 (以上、朝日新聞より引用)

 

 今月10日の朝日新聞天声人語からの引用です。文中、ショックドクトリンについての言及がありますね。ショックドクトリンとは、『「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことであり、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から覚める前に、およそ不可能と思われた過激な経済改革を強行する(『』内amazon商品案内より引用)』政治手法を言うそうです。ナオミクラインさんとおっしゃる方が、岩波書店より新刊を出版しており、その中では、アメリカとグローバル企業などが進めてきた手法とのこと。

 戦争や自然災害、政変などの危機に付け込んで、あるいはそれを意図的に招いて、自分の都合の良い施策を強引に押し通そうとする。まさに悪魔的な手法です。本によるとこのような手法をアメリカやグローバル企業等が多用してきており、現代社会の混乱の元凶ともなっているとのこと。

 以前ならば、こうした話は、陰謀論などのレッテルを貼られて、異端扱いされており、大マスコミで取り上げられることなど全くなかったのですが、今回は、新聞の天声人語に引用されるようになっている。時代は変わってきたのですね。

 こうした、今までは闇に隠されていた悪意や強欲さが明るみに出てきて、広く知れ渡ることは、本当に素晴らしいことだと思います。こうした話は、以前から数多くの名著があり、勇気ある少数の先駆者が告発してきたのですが、背景に必ず利権や権力の問題があり、マスコミは、それに楯突くことを恐れて、関与していなかったように思えます。しかし、次第次第に風向きが変わってきたのでしょう、勇気あるプロが発言するようになってきたように思えます。

 こうした流れは、若者たちが立ち上がり世界に広がっている格差問題のデモ、中東の政権交代、原発の闇の告発、などなど、すべてにかかわっているように私には思えます。一見、混乱の様相を深めている世界情勢ですが、意外に本当の民主主義の未来は近くにあるのかもしれません。願わくば、平和的に、ジェントルに真実がオープンになっていくこと、変化が進行していくことを願いたいと思います。

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