対話の5つのレベル
~創造性とイノベーションにつながる関係性とは~
レベル1「対立関係」
お互いにお互いを受け入れておらず、お互いの分離感が強く、結果的に意思疎通が難しい対立的な関係性となる。
話し手は、本音を語らず、言葉少なく、分かりづらく、時に嘘がある。聞き手は、相手の話を聞く意欲や意思を持っていない。相手の話を聞こうとはせずに自分の主張を押し通そうとする。
レベル2「演技の関係」
お互いに近づこうとするものの、相手に対する懸念が強く、警戒しており、相手と関わることについての不安が強い。ただ、関係性を壊したくない意向もあり、自分の本音や不安を知られたくないと同時に相手に与える自分の印象を良くしたいと言う意図のもと、操作的に相手と関わる演技的な関係性となる。
話し手は、慎重に礼儀正しく(時に慇懃に)当たり障りのない表面的な事を話す。聞き手は、相槌を打つなど、聞く意欲見せるが、それは聞くふりであって、実際は相手の話に関心がない、または受け入れてない、または考え事をしている、または反論を練っている、などの理由で聞けていない。
レベル3「取引の関係」
相手を利用しようとする意志をもって(秘めて)関わる。お互いに日常的な関係性を育めるけれども、それは相手を道具として利用できる範囲内に限られる。
話し手は、ある程度の本音を開示するものの、自分の不利益にならない程度のものに限られる。聞き手は、聞く姿勢は見られるものの、聞きたいところだけ集中して聞く、返答を考えながら聞く、話を途中でさえぎって自分のことを話す、などの限界がある。
レベル4「相互理解の関係」
お互いに信頼関係を育もうとする意志をもって関わる。相互理解が深まり、信頼関係が育まれる。協力関係ができることによって生産性、効率が高まる。
話し手は、相手に分かりやすく伝わるように思いやりをもって話そうと努力する。聞き手は、聞く意思をもって聞く。相手が何を言いたいのかを注意深く聞く。ただ、自分の欠点や弱み、本音の部分などの自己開示が難しく、対話は論理性が重んじられる。
レベル5「共感の関係」
信頼関係をベースに、リラックスと集中を元にしたエネルギーの高い場ができており、相手の話の内容のみならず、相手の感情に対する気づき、共感的理解が起こっている。
話し手は、本音や真実のみが語られ信頼に値する。聞き手は相手を尊重し、相手の立場になって聴く。相手を他人とは思わずに親しい家族と思って聴く。
自分の弱み、不都合、時に不利益となる自己開示も含めて、開示される情報は正確で正直であり、誤解のない真実の関係性が構築されており、高度な問題解決や創造性の源泉となる。