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JAL破綻の原因

   日航破綻 経営者に要因  2010年8月16日 朝日新聞

 日本航空の破綻(はたん)原因を調べている同社の独立機関「コンプライアンス(法令順守)調査委員会」(委員長・才口千晴元最高裁判事)が、「(重大な事態に対する)歴代経営者の不作為が要因で破綻した」との結論を出したことがわかった。ただ、刑事と民事の両面での法的責任を問うのは難しいと判断した。近く報告書にまとめ、管財人に報告する。

 調査委は報告書で、歴代経営陣の経営判断の欠如や危機意識のなさを厳しく指弾。「親方日の丸」といった企業体質にも言及し、大がかりな組織改編と意識改革を促すとみられる。長年に及ぶ日航の問題が、外部専門家によって改めて浮き彫りにされる。

 調査委が問題としたのは、組織の肥大化に伴う意思疎通の欠如▽もろい財務体質▽政官とのもたれ合い▽経営者の経営判断や全社的な危機意識の欠落――など。

 具体的には、営業や経営企画、運航本部といった組織が「縦割り」で横のつながりが乏しく、現場と上層部との間で風通しが悪くなったと指摘。その結果、経営者が経営破綻に陥るような重大な事態に気づくのが遅れたという。

 また、テロや金融危機、新型肺炎のSARSなどで乗客が減って財政的な危機が生じたのに、緊急融資でその場をしのぐだけで、大胆なリストラなどをして財務体質を改善することを先送りした点も指摘。歴代の経営者が、こうした問題を抜本的に解決しようとしないまま放置し続けたことが経営破綻につながったと結論づけた。

 さらに、問題の背景として、「ナショナル・フラッグ・キャリア」(国家を代表する航空会社)という「おごり」があったと分析。「誰かが助けてくれる」といった無責任体質につながったとみている。

 調査委の関係者は「管財人が推し進める経営合理化も重要だが、社内の組織や意識改革をしなければ、再生しても同じことを繰り返す」と話している。(沢伸也、佐々木学)

 

 調査委員会によると、JAL破綻の原因は、意思疎通の欠如に起因する経営陣の不作為によるものと結論付けられました。縦割りの組織であり、横のつながりが乏しく、現場の声がTOPに伝わりづらい風通しの悪い組織になっていたことが、破綻の原因として指摘されています。やはり、コミュニケーションは、大切なのですね。弊社では、コミュニケーションは、21世紀の重要な企業戦略の一つであるといわせていただいておりますが、それを証明する良き事例となると思います。コミュニケーションは、経営に与える影響が絶大であり、良くも悪くも企業の存続と成長に大きな影響を及ぼすのだろうと思います。どんなに優秀な人材や技術や豊富な資産をもっていても、コミュニケーションの影響には勝てない。まさに、コミュニケーションは、企業の存続と成長のかなめなのだと思います。これからの子のコミュニケーションの改善を弊社の大きなテーマとしていきたいと思います。

社長との距離感が業績を左右する

  社長との心の距離「火星と同じぐらい遠い」  asahi.com 2010年5月16日

 
 社長との間に感じる心の距離は火星と同じぐらい遠い――。人事コンサルティング会社のJTBモチベーションズ(東京都港区)が実施したアンケートで、こんな会社員の心持ちが浮き彫りになった。

 従業員500人以上の会社に勤める全国約500人を対象に、社長との「気持ちの上での距離」を調査。「違う星にいる(4億キロ)」「違う国にいる(1万キロ)」「すぐそば(1メートル)」など八つの選択肢から選んでもらった。一番多かったのは「違う星」で、20.4%。4億キロは、地球と火星が最も離れた時の距離にあたる。

 このほか、「違う都道府県にいる(500キロ)」が20.2%、「違う国」が19.4%と続いた。「一心同体と感じる(0メートル)」を選んだ人は0.2%にすぎなかった。

 社長を遠く感じる理由は、「コミュニケーションが少ない」「こちらの仕事や状況を理解していない」が多かった。距離を遠く感じる人ほど、別の質問で「自分の仕事に対するモチベーションが低い」「会社の業績は悪化」と答える比率が高くなった。

 調査を担当した菊入みゆきさんは「社長が社員とコミュニケーションをとることは、社員のモチベーションや会社の業績の向上につながる有効な手段といえる」と提言している。(山根祐作)

 

 とてもユニークな意識調査ですよね。社長の心理的な距離感が、火星くらいに遠く感じるとは、それはずいぶんと遠いんですね。大声で呼んでも、とてもとても届きません。

 原因は、コミュニケーション不足と無理解無関心。社長さん、社員は、自分たちにどうかかわるのかにはとても敏感で、よく見ているんですよ。火星に追いやられるということは、好かれているというよりは、明らかに嫌われている。でも、それは、社員の性格が悪いからではなくて、社長さんの態度が悪いからだそうです。どうぞどうぞお気を付けくださいませ。

 社長との距離感が大きい人は、モチベーションも低く、会社の業績も悪化しているとのこと。恐ろしいことです。会社の業績は、まさに、コミュニケーションによるところが大きいのですね。調査を担当された菊入さんのおっしゃる通り、コミュニケーションを改善することがやるきと業績アップの秘訣なのだということが改めてわかります。なんだかんだ言っても、経営には、愛と心意気が必要だっていうことですね。

なぜコミュニケーションは重要なのか

 コミュニケーションは、パフォーマンスに大きな影響を与えると言われています。

 では、なぜ、そのような生産性の向上や創造性をもたらすのでしょう。
 社会心理学上で、この問題を上手に説明する理論で、「四つの懸念」(ジャック・ギブ)という理論があります。

 この理論では、人の「出会い」は、まさに未来を拓く「可能性」を意味することであり、すばらしい出来事でありますが、しかし、同時に、「出会い」は、「懸念(不安や疑いなどの総称)」をももたらし、それは、どんな人数や文化、集団でも避けることはできないされています。

 ギブは、チームの人間関係の実践研究をとおして、人間にはどのような懸念が発生するのかを調査しました。

 具体的データを集め、仕分けした結果、以下のような4種類の懸念に分類できたので、この理論は、「4つの懸念」と呼ばれています。

<四つの懸念(J.ギブ)>
1.受容懸念
 ・そもそも私は受け入れられるのか?
 ・相手は私を非難攻撃するだろうか?
2.データ懸念
 ・言葉を選ばなくては・・・
 ・ここではどんな話題が通用するのか?
 ・私はどのように振舞えばいいのだろうか。
3.目標懸念
 ・この対話の目的、目標は何か?
 ・自分の目的や目標は競合しないか?
4.統制懸念
 ・相手は私を強制するだろうか?
 ・私は、支配されないだろうか?
 ・誰が仕切るのだろう?
 ・またどのように仕切るのだろう?

 J.ギブによると、数々のグループの調査分析により、グループの成長は、懸念の解消のプロセスと等しいとされています。
 つまり、当初グループに強くあった懸念が解消されていくにつれて、信頼関係やメンバーの自由度が増し、チームとしての生産性や創造性が開発されていくと考えたのです。

 この理論では、チームのもともと持っている生産性や創造性はとても大きいのですが、その懸念が足を引っ張り、チームのもともとの力を麻痺させる阻害要因となっていると考えられます。
 チームの生産性や創造性の源は、チームの外にあるのではなく、チームの中、既に今ここにまどろんでおり、ただ、その懸念がチームの足を引っ張り、チーム力の発揮を阻害していると考えられるのです。
 ですから、私たちが、チームの潜在性を開発し、チームの創造性や生産性を高めるために必要なことは、チームの外にある新たな特別なものを取り込むことや不自然にりきんで特殊なことをするというよりはむしろ、懸念(誤解や不信)を解消すること、お互いに肩の力を抜くことこそ重要な要素であると言えましょう。
 その際、懸念を解消するための方法は、いろいろあるけれども、本質的で最も効果的なな方法がコミュニケーションであるといえるのです。
 なぜならば、懸念は、相互理解をすること以外には、解消されることはないからです。

 信頼関係は、取り繕ったり、テクニックを使ったりして作り上げるものではなく、コミュニケーションを通して懸念が解消されれば、自然に起こることであり、信頼関係が起これば、チームの閉ざされていた潜在能力の扉が開かれ、本来のチーム力が開花し、高いパフォーマンスを遂げることにつながっていくと言えましょう。

 このように、コミュニケーションは、懸念の解消を促進し、信頼関係を育成することを通して、私たちが本来持っている素晴らしい可能性を引き出し、チームの生産性や創造性を高めることにつながると言えるのです。

コミュニケーションの重要性

 最近、私どもの会社では、コミュニケーションに関わる研修が多くなってきております。
現実に、今伸びている会社は、地道にコミュニケーションに力を注ぎ、大切にしているところが圧倒的に多いのも事実でしょう。
 今回は、私たちが考えるコミュニケーションとその重要性についてご紹介したいと思います。

 コミュニケーションとは、2人以上の人たちの間で、互いに、考えや気持ち、意思などを伝え、理解しあう事です。
 ”コミュニケーション”は、個人としての生き方だけではなく、活気ある組織をつくるために、顧客満足、創造性の開発、生産性の向上、コーチング、人間関係、問題解決、効率の向上、など、仕事上のあらゆる側面に影響する大変重要な要素であると言えましょう。
 いつでもコミュニケーションが好いと大変素晴らしいのですが、時には”誤解”や”不安””疑い”の原因となります。

 逆に、さまざまな問題や非効率などの多くは、基本としてコミュニケーションの希薄さや誤解が原因となっていると言って過言ではないでしょう。
 では、なぜこのように通じたり通じなかったりと言った出来事が起こるのでしょうか。それは、コミュニケーションとは、心から心への伝達のことであり、その際、自分の心は、直接的に体験できるので、よく分かり、誤解がありませんが、他人の心は、直接には体験することができないので、それを理解しようとした場合、制約の多い言葉や記号を通して理解しなければならず、実際には、なかなかうまくはいかないからです。

 社会心理学者メイラビアンは、1971年、コミュニケーションの効果に関する実験をしました。その結果、言葉による効果は7%、話し方や抑揚などの聴覚効果が38%、表情やしぐさなどの視覚効果が55%という結果がでました。

 この実験によると、言葉の効果は、非常に低いと言えましょう。
 近年、私たちの人間関係は、概して表面的であり、Eメールなどの発達に伴い、言葉だけによるものが大変多くなっております。その際、実際に伝えたいことが伝わるのはほんの少しであり、圧倒的多数は、誤解や無理解、思い込み、勘違いが起こっている可能性があるといえるのです。

 これは、私たちの社会が、とても多くの勘違いや思い込み、無理解や誤解を基にしながら成り立っていることを示しており、分かり合えない苦悩に満ちた、非効率と間違いに満ちた、恐ろしい社会といえるのではないでしょうか。
 しかし、逆に言えば、このコミュニケーションを改善していくことは、今までは目を向けなかった広大な荒野を開拓していくことになるので、大変な宝を発掘することにつながると言えるのです。