カテゴリー別アーカイブ: ⑧事例

任天堂が世界ベストカンパニー

任天堂が世界ベストカンパニー

                                      IBTimes2009年10月05日

 
 2009年の「世界ベストカンパニー」ランキングが、米誌「ビジネスウィーク」から発表され、1位は任天堂となった。

 このランキングは販売高が100億ドル(約8900億円)以上で、しかもその収入の4分の1以上を海外市場から得ているグローバル企業が対象。成長性や付加価値を基に算出している。任天堂は過去5年間、売り上げは平均36%増、付加価値は38%増。

 以下ランキング
1位 任天堂(日本)
2位 グーグル(米国)
3位 アップル(米国)
4位 斗山重工(韓国)
5位 現代重工(韓国)

 米紙「ビジネスウィーク」で任天堂が世界ベストカンパニーの1位にランクされました。日本にもまだまだこんなに素敵な会社があるんだと誇らしく思いますね。

 任天堂は、もともとは花札から始まったカードゲームの会社であり、経営topが、このままでは会社の将来がないと考えて、さまざまな多角化を試みた時期がありました。タクシー会社、インスタント食品事業、ラブホテル事業など、本当にいろんな事業に果敢に挑戦し、見事に失敗し、それでもあきらめずにベンチャー精神を発揮した結果、電子ゲームのヒットにであい、その後破竹の勢いで業績を伸ばしてきたのです。成長の背景には、人を大切にする社風もあるといわれており、私が注目する会社でもあります。

 私もつい最近、とうとうWii-fitを買ってしまいました。やはり、シンプルで楽しく、体に良さそうなゲームでしたよ。

 こうした時代をリードする素敵な会社は、これからも文化を大切にして、大きく活躍してほしいなぁと思います。

家具の宝島

 弊社の応接室を整えようと、応接セットを買いたく、埼玉の家具の宝島に行ってきました。家具の宝島は、少し傷の付いた家具を破格の値段で販売している家具屋さんです。関西に本社を持つ会社で、その安さぶりが有名になって、テレビでもよく取材されています。実際に行ってみると、本当に安かった!市価の半分から3分の1くらいの価格じゃないでしょうか。少し傷が付いているといっても、神経質になって探さなければよく分からない傷で、本当に気になるようならば、換えてくれるとのこと、おかげさまで、ずいぶんよいものを、とても安く買うことができました。
 こちらの会社の方針なのでしょうか、店員さんは、全員バイキングのコスチュームに身を固めて、顔には太い眉毛と真っ赤な丸い頬紅で化粧を施し、何とも面白い迫力があります。しかし、買い物をしながら気づいたのですが、単に奇をてらっているのではなく、店舗全体に気配りがされ、筋が通っているものを感じました。キズものではあるけれども、大切に扱われているのでしょう。また店員さんの商品知識の豊かなこと、決してひけらかしませんが、押さえるところはしっかりと押さえるキレがありましたね。きっとよく勉強されているんでしょう。ホームページを見たら、週に一日は、朝7時半から9時まで商人(あきんど)塾と題して、いろんな勉強をされているとのこと。社長が、熱いものをもっているのでしょう。それが社員にしっかりと伝わっていると感じました。
 こうした時代でも伸びる会社は、良い美徳を持っているなぁと感じました。

リッツカールトンが大切にする「サービスを越える瞬間」を読みました

“リッツカールトンが大切にする「サービスを超える瞬間」”(高野登 著 かんき出版)を読みました。
リッツカールトンは、世界的に高い評価を常に獲得しているホテルであり、時に神秘的とまで言われる顧客満足を提供していると言われています。
本書は、リッツカールトン日本支社長を務める高野登さんによって書かれたものであり、そのすばらしさの秘訣が、わかりやすい文書で惜しみなく書かれており、新しい時代の経営哲学、マネジメントスタイル、会社のあり方などを学ぶ上で大変参考になる本だと思いました。
今回は、特に私が参考になった部分を抜粋して、ご紹介したいと思います。

○従業員満足から始める経営哲学
リッツカールトンでは、従業員を”内部顧客”と呼び、お客様としてお互いを理解し、尊敬してもてなすと言ったサービス哲学があるとのことです。
ちなみに、”リッツカールトンで学んだ「仕事でいちばん大事なこと」”(林田正光 あさ出版)によると、年に数回、全世界のリッツカールトンで「従業員満足度調査」が実施されるとのこと、無記名のアンケートで、毎回変わる80から90項目の設問に答えることになっており、従業員は正直に心境を回答していきます。アンケート結果は、すべてアメリカの本社に送られて、ホテルごとやセクションごとの満足度一覧が明らかになり、その結果によって、セクションマネージャーが、コミュニケーションやリーダーシップの問題を指摘され、改善命令を受けることになるそうです。
弊社でも、従業員満足が新しい経営哲学の骨子のひとつと考えておりますが、その点、リッツカールトンはそれをすでに実践し、定着させていることになり、進化した会社のすばらしい事例といえましょう。

○コミュニケーションからすべてが始まる
リッツカールトンでは、「紳士淑女にお仕えする我々も紳士淑女です」と言うモットーがあり、お客様と同じ目線で、積極的にコミュニケーションをとっていこうとする風土が根付いているとのこと、通常は、「失礼にはならないだろうか」などの懸念で、自分から進んでお客様に声を掛けることが苦手とする人が多いのですが、そのようなことでは、お客様との間に壁を作ってしまい、逆にお客様からも「こんなことまで頼んでもいいのだろうか」と言う遠慮を生んでしまうので、安心感の持てる親しさで、かといってなれなれしくなく、程よい距離感の中で声をかけ、信頼関係を築いていけるように心がけているとのことです。
このような人間関係の機微、かかわりを持つときにどうしても生じる懸念を上手に乗り越えていくためのスキルは貴重であり、簡単そうに見えて、とても精妙で繊細な気持ちを取り扱っていくと言った高度なスキルでもあると思います。また、出会いの瞬間の出来事なので、あまり意識的に丁寧には取り扱われることは一般的にはありませんが、この瞬間を雑で乱暴に過ごしたり、背を向けてさりげなく避けていったりすることと、リッツカールトンのようにこの難しさに直面し、逃げずに丁寧に挑戦していくこととでは、やはりお客さんの感じる信頼感はまったく違ってくるでしょう。このスキルは、目立たなく瞬間的であるがゆえに、とっても大切なことであり、今後、他のあらゆるサービス業の差別化につながっていく重要な要素となっていくと思います。

○チームワークの良さが最高のサービスをつくる
コミュニケーションが大事なのは、お客様に対してだけではなく、従業員同士のコミュニケーションがサービスに大きく影響するとのこと、従業員同士の小さな心配りが、「神秘的」とも呼ばれるリッツカールトンのサービスを生み出すとのことです。

○誇りと喜びを持てば意欲が湧く
従業員とお客様の心温まる出来事を「ストーリー・オブ・エクセレンス(別名 ワオ・ストーリー)」と称して週に二回朝礼の中で全従業員に紹介しているそうです。
このような逸話を配信することを通して、リッツカールトンの求めるサービスのあり方を教育すると同時に、従業員に誇りと喜びを感じてもらうことを働きかけているとのことです。
従業員の仕事ぶりを尊敬し、称えるからこそ本当の意欲が湧いて来るのであり、従業員の本気は、きっと最高のサービスをもたらすことにつながるのでしょう。

本には、まだまだすばらしいヒントが書かれているのですが、今後またチャンスを見てご紹介していきたいと思います。
リッツカールトンは、間違いなく進化した新しい時代の企業モデルだと思います。
今後も注目していきたいと思います。

ムスタンで起こした近藤享さんの奇跡

10月5日、日本テレビ「笑ってこらえて」で、近藤享さんとおっしゃるすばらしい生き方をされている方の活躍ぶりが放送されていました。私自身とても勇気をもらったので、ご紹介します。

近藤さんは、1921年新潟県の生まれで、ずっと農業に携わってこられたのですが、70歳のときに、「白い米を腹一杯食べさせてやりたい」という志のもと、ネパールの奥地ムスタンに単身乗り込み、何年もの失敗の後、不可能と言われた不毛の土地での稲作に成功し、貧しかったムスタンの人々にそのすばらしい農業技術と成果を提供しています。

ムスタンは、ヒマラヤのふもと、標高約3,000mに位置するところで、冬はマイナス40度になり、台風なみの強風が吹き付けます。また、雨はほとんど降らず、水は、ヒマラヤからの雪解け水に頼る状況で、ほとんど木がなく、植物もまばらにしか生えていません。
ムスタンに暮らす人々は麦、粟、蕎麦、わずかに生えている草の根や茎を食べる貧しい生活を強いられており、厳しい環境のもと、ネパール政府や各国援助機関もなんとも手の打ちようがなく、半ば見放されてきた状況にあったとのことです。

そんな中、貧しいムスタンの人たちにおいしい米を食べさせてあげたいと願い、反対を押し切って、なんと70歳という年齢で単身乗り込み、稲作に挑戦したのです。
70歳です。車も入り込めない不毛の山岳地帯の秘境で、まったく不可能と思われていた稲作に挑戦すること自体、大変な勇気が必要であるにもかかわらず、70歳にして立ち、大変な労力を承知の上でそのような不可能に挑戦するということは、なんという大胆な挑戦でしょうか。私は、いたく感動してしまいました。

いずれにしても近藤さんは、ムスタンに赴き、単身稲作に挑戦します。しかし、雪解け水の冷たさ、不毛の大地、強風や過酷な寒さなどで、失敗が続き、3年間は、努力が実らず、稲穂を実らせることが出来なかったそうです。しかし、あきらめることなく作業を続けていく近藤さんの努力を見て心を動かされたムスタンの村人の協力が加わったり、ビニールハウスなどの数々の工夫を凝らすことなどによって、4年目にしてようやく奇跡が起こったとのことです。
それ以来、毎年ムスタンでは、農作物に恵まれるようになり、ムスタンの村人に喜びと笑顔をもたらしているとのことです。
近藤さん(と国際NGOボランディア団体”MDSA”)のムスタンへの支援は、農業指導だけに限らず、学校や病院、橋の建築などの地域に密着した援助を行い、現地の人々からは、心から慕われ愛されている様子が放送されていました。

近藤さんの生き方は、凄みがあります。強烈な意思と努力と勇気の必要な偉業の割には、自然で飄々としており、偉業を自慢することなく謙虚で質素に暮らし、現地の人たちとともに本当に楽しそうに生き生きと生活し、本当にうれしそうに笑っているその笑顔に私は参ってしまいました。

このようなすばらしい人がいること自体が、私には奇跡のように思えるし、とっても大きな勇気をくれるようです。私もこんな美しい生き方がしたいなぁと、改めて願ったしだいです。

素晴らしい会社

「今、世間では成果主義が問題になっているようですが、あんなものは私にしてみればまさに問題外。人は自動車とは違います。評価項目を設定して測れるような存在ではありません。だからおもしろいのです。何が出てくるかはわからない。人とは、まさに無限の可能性を秘めた存在であると私は信じています。また、これまでその信念を裏切られたこともありません。この無限の可能性を秘めた仲間とともに、樹研工業を世界のJUKENにすること──。それが今の私の目標です。」(DISCO Human Resource Plazaより引用
http://www.hrplaza.com/webmagazine/person/13/page01.html)

この言葉は、愛知県豊橋市に本社がある株式会社樹研(じゅけん)工業の代表取締役、松浦元男氏によるものです。
樹研工業は、1965年に松本氏によって設立された工業用プラスチック製品製造メーカーで、ミクロ精密部品ではトップクラスの技術を誇り、2002年には、世界最小となる100万分の1グラムの極小歯車を開発し、業界の話題となった会社です。
現在、従業員約70人で、売上高は約28億円。国内に金型製造など関連会社6社、英国やタイなど8か国・地域に10社を展開しています。

松浦社長は、独特の経営哲学を持って会社を経営されています。
「会社は、社員の安心のよりどころ」と言う考え方のもと、人事諸制度は、終身雇用を前提とする信頼関係を重視するものであり、定年はありません。
商品開発に関しても、社員の発案やアイデアを大切にし、本気で聴き応え、高いリスクがあっても莫大な投資を厭いません。ちなみに、「100万分の1グラムの歯車」の開発について、松浦社長の当初の意向は「100万分の5グラムの歯車」の開発だったのですが、それに逆らって、頑固に「100万分の1グラムをねらうべきだ」と主張して譲らなかったのは、元暴走族の若手社員であり、結局、何億円もの投資をして100万分の1グラムを開発することになったそうです。
また、採用もユニークであり、「採用してからどうなるかなんて誰にも分からない」ということで、先着順で、来た順に無試験で採用するそうです。時には、金髪にピアスと言った子も入ってくるそうですが、誰もがそれぞれのスピードで一流に育っていくとのことで、入社時は、採用を後悔したような社員も、数年後は天才と思えるような働きをする例がたくさんあるそうです。

実に気持ちの良い経営であり、何とすばらしい経営者でしょうか!まさに21世紀型の最高の企業と言えるのではないでしょうか。
このような会社を見ると、世の中も決して捨てたものではないと感じ、うれしくなります。
樹研工業のご活躍を心からお祈り申し上げます。
人間を大切にすることを通して、組織パフォーマンスを高めるお手伝いをしようと挑戦している弊社としても、樹研工業さんのマネジメントのあり方からたくさん学び、これからも、注目していきたいと思います。