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暗黒物質の謎

         謎の2粒子、正体は同じ! 大阪大教授が新理論

  ノーベル賞を受賞した南部陽一郎博士の理論からその存在が予測されたヒッグス粒子が、宇宙を満たす謎の暗黒物質(ダークマター)と同じものであるという新理論を、大阪大の細谷裕教授がまとめた。

 ”二つの粒子”は、物理学の最重要テーマで、世界中で発見を競っている。暗黒物質は安定していて壊れないが、ヒッグスは現在の「標準理論」ではすぐに壊れるとされており、新理論はこれまでの定説を覆す。証明されれば宇宙は私たちの感覚を超えて5次元以上あることになり、宇宙観を大きく変える。

 ヒッグスは、質量の起源とされ、普段は姿を現さないが、他の粒子の動きを妨げることで、質量が生まれるとされる。一方、衛星の観測などから宇宙は、光を出さず安定した暗黒物質で満ちていると予想されている。細谷教授は、宇宙が時間と空間の4次元ではなく、5次元以上であると考え、様々な粒子が力を及ぼしあう理論を考えた。その結果「ヒッグスは崩壊せず、電荷を持たない安定した存在」となった。

 欧州にある世界最大の加速器(LHC)では最大の課題としてヒッグスの検出実験が行われる。ヒッグスが不安定なら、崩壊時に観測が可能だが、細谷理論のように安定だと観測できない。ただ、新たな実験手法で検証は可能という。

 一方、暗黒物質候補も09年末、「発見の可能性」が報告されたが、細谷理論と矛盾しないという。

 細谷教授は昨年8月に欧州の物理学誌に新理論を発表。秋に来日した南部博士にも説明した。南部博士は「今まで誰も気づかなかった見方で、十分あり得る」と評価したという。

 小林富雄・東京大教授(素粒子実験)の話「美しく素晴らしいアイデア。数年で新理論を検証できる可能性がある」

 ◆標準理論 物質や力の成り立ちを説明する理論。宇宙の四つの力のうち重力を除いた電磁気力や弱い力、強い力を説明する。物質になぜ重さがあるのかを説明する南部博士の理論などが基礎になっている。

(2010年1月5日03時07分  読売新聞)

 

 物理学の世界では、私たちが目で見て認識している物質=私たちが認識できている素粒子は、宇宙全体の数%に過ぎず、70%以上が暗黒エネルギーと呼ばれる未知のエネルギーによって、20%以上が暗黒物質と呼ばれる未知の物質によって占められていると考えられています。

 この物理学的な世界観は、一般的な世界観を吹き飛ばしてしまうくらいの迫力がありますね。なぜなら、私たちが世界だと認識している世界は、全宇宙の数%であり、その大半が、現在私たちでは認識できない謎にみちているということなのですから。 もしかしたら、宇宙は、私たちの全く理解の及ばないところで、多くの世界が広がって、そこでいろんなドラマが繰り広げられているのかもしれないのですよ。

 このような視点から考えると、私たち人間は、科学技術も進化していろんなことを知っているように思いこんでいるけれども、宇宙的な視点からすると、幼稚園児にもなっていない状況なのかもしれませんね。なにしろ、 宇宙の90%以上の存在が、私たちからは見えないので、分からないのですから。

 いつも私は思うことがあって、それは、「なぜ宇宙はこんなにも穏やかで平和で美しいのに、地球上では、醜い争いと搾取と虚偽がまかり通っているのか?」という問いなのですが、その問いの答えは、シンプルに、「私たちが真実を知っていないから」なのかもしれません。全宇宙の数%の知識を基盤に政治や生き方、常識が構築されているということ、これは、もしかしたら、とんでもない勘違いや思い込みを私たちの常識、哲学としてしまっていることになるのかもしれません。

 私たちは、もっともっと謙虚になるべきなのだろうと思います。なにしろ、宇宙全体の数%しかわかっていないのですから。すべてを知っているような思いでいる人は、まさに井の中の蛙、そんなちっぽけな思い込みを基盤に、すべてを裁いたり、批判したり、ばかにしたり、攻撃したりする愚は、きっとすべきではないんだろうと思います。

 願わくば、私自身、柔軟でしなやかな心を持って、世界の様々な真実に対して理解を深めていくことができますように、今年は、そんな、学習の年としていきたいなぁ、などと思った次第です。