若者 バカ者 よそ者によるイノベーション①

「若者、バカ者、よそ者 イノベーションは彼らから始まる!」(著者は真壁昭夫さん)という本が2012年に出版されました。それ以降、イノベーションを起こす条件の一つとしていろんなところでこの本のタイトルが語られるようになりました。Amazonのサイトにはこの本について次の解説があります。

行き詰まった日本を変えるにはどうすればいいか。その答えは、いままでのやり方を変えることだ。家電メーカーの業績不振は、中国や韓国メーカーの技術的なキャッチアップと円高によるものだろうが、変わらない企業の側にこそ問題がある。では、具体的にどうするか。人が変わらなければ、結果が変わらない。著者は、過去の成功体験に頼らないで組織を改革するには、「若者、バカ者、よそ者」の力が必要だと説く。つまり、強力なエネルギーを持つ若者、旧来の価値観の枠組みからはみ出たバカ者、組織の外にいて従来の仕組みを批判的に見るよそ者である。本書はシュンペーターのイノベーション理論をわかりやすく解説し、元気のない日本企業と社会を活性化することを目的にしている。新製品の発明・発見、新市場の開拓、新しい産業組織の実現など、いま日本に求められているのは、まさに創造的破壊なのだ。経営者、管理職層に読んでもらいたい一冊である。

そこで、「人事が起こすイノベーション」の締めくくりとして、3回に分けて「若者、バカ者、よそ者」について、それぞれ掘り下げて考えてみたいと思います。今回のお題は「若者」です。

友人のDさん(友人といっても20歳以上歳の離れた若者です)が最近転職をしました。以前勤めていた会社は全国的に有名な健康食品の通販会社なのですが、入社早々社内におかしなことたくさんあることが分かり心底呆れ返ってしまったそうです。例えば、出社すると全員が会長(亡くなった創業者の妻)の部屋の前で、ドアが閉まっていて姿の見えない会長に向かってお辞儀をして大声で挨拶をさせられるのだとか。そして、退職の直接的な原因は、上司が仕事の相談にまともに応じようとせず、放置されたことだったそうです。

そんな意欲を維持したくてもできないような環境に別れを告げて転職したDさんに久しぶりに会ったところ、一目見て表情も明るくイキイキしているので、転職がうまくいったのだと思いました。それで話を聞いてみると、とにかく「仕事が好きだし、楽しい」のだそう。毎日残業で忙しいけれど、全然苦にならない。とにかく楽しいのだそうです。そんなDさんの姿を見て、仕事は本来こうでなきゃならないと気づかされたのでした。でも、一体どれくらいの人がDさんと同じように「仕事が好きだし、楽しい」と思っているのか気になり始めました。

そこで関連する情報を調べたところ、2018年に米国のギャラップ社が実施した「エンゲージメント・サーベイ」の結果が目に留まりました。全世界1300万人のビジネスパーソンを対象としたこの調査によると、日本企業はエンゲージメントの高い「熱意あふれる社員」の割合がたったの6%で、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位だったとのこと。さらに「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達しておりいずれも調査対象国中最下位レベルだそうです。従業員エンゲージメントとは、従業員の企業に対する信頼関係や愛着心を意味する言葉ですが、田中道昭さん(立教大学ビジネススクール教授)によると、仕事や会社に対するワクワク感や幸福感とも言える概念であり、社員幸福度とみなすことが出来るそうです。ではなぜ、日本には熱意あふれる、幸福度の高い社員がこんなに少ないのでしょうか。

元キリンビール株式会社の副社長で、高知支店長時代に行った改革を「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え!」という本に著した田村潤さんは、熱意あふれる社員がごくわずかしかいない原因について、次のような見立てをされています。

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私は昭和48年入社ですが、少し上の世代は戦争経験者で「どんなことがあってもやる」という意気がありました。その世代がだんだんリタイアしてくると、それほど苦労しなくても業績が上がっていく時代に育ってきた人間が主流を占めるようになっていきました。日本企業の生産性が悪くなるのはアグレッシブさがなく、困難を乗り越えた経験がないために受け身になってしまっていると感じています。これは何とかしなければならないといろいろな改革が進んで新しいルールが次々と出来る。すると今度はそのルールを守ればいいのだということでそれを乗り越えようとする力が失われる。形式主義に陥っていると思うのです。

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田村さんは、ここで、精神力と形式主義が「社員の熱意の低さの原因」との見立てをされています。その考え方に基づいて仕組みと仕掛けをして高知支店の改革に成功されたわけですから、おそらく間違いないのだと思います。しかし、私はなんとなく引っかかるのです。熱意あふれる社員が少ないのは、世代とか時代とかそんなことよりも、もっと単純な理由ではないかと。

以前、ある調査結果を読んだ記憶があるのですが、それは職場における精神の健康度に関する考察で、役職者が非役職者と比較して高い傾向があることがはっきりしたという内容でした。そして、精神の健康度を決定する要因は「仕事の裁量度」、つまり、自分がやりたいことを誰からも邪魔されずに出来るかにかかっているとの結論が導かれました。私がこれまでに複数の会社で実施に関わったモチベーションや意識調査の結果を見ても、役職者の方が非役職者と比較してポジティブな傾向が出ました。さらに、その中でも業績が好調で、現場への権限移譲が進んでいる組織の方が、結果はさらにポジティブな方に振れていました。

以上を俯瞰すると次のようなことが言えるのではないかと思います。

「仕事の裁量が大きくなるにつれて、意欲と満足度、さらには幸福感までもが高まっていく。」

友人のDさんが、なぜそんなに仕事が楽しいのか、もっと詳しく知りたいと思ったので会社の様子について質問したところ、社長が社員の前で、皆さんの力を存分に発揮して欲しいと度々発言していて、細かいことには口出ししないのだそうです。それが社風になっていて、直属の上司も、あれこれ指図しないし、仕事を任せてくれるのでとてもやりやすいという返事が返ってきました。

イノベーションを起こすために「若者」を揃えたとしても、Dさんの会社のように、彼ら彼女たちが思う存分仕事に打ち込める環境を整えなければ、内に秘めたエネルギーを発揮できずくすぶってしまうでしょう。私の知る福岡県のある一部上場の電子部品メーカーでは、2019年4月、採用活動が功を奏して例年の倍の80名もの大学新卒社員を採用しました。しかし、一年以内に8割の新入社員が退職してしまったそうです。その理由は様々だったでしょう。ただはっきりしていることは、その会社が「若者」を揃えることには熱心だったものの、彼ら、彼女たちがイキイキと仕事をする環境を整えることまで配慮が足りなかったということです。想像ですがその核心には、仕事を任せて(全員一律ではなく一人ひとりできることを見極めてです)、やる気を高め、維持するという仕掛けが不足していたのではないかと思います。

では、「若者」の意欲が高まらない原因が、「仕事の裁量の低さ」だとすると、それを防ぐための手立てはどうしたらよいでしょうか。

「若者」は経験が浅く、多くの場合仕事に不慣れですので、当然周囲の先輩社員や上司に指導を仰ぐことになります。すると、自ずと口やかましく指図されることが多くなります。細かいことを要求され続けると「若者」の意欲は下がり、自分で考えて工夫することがなくなって徐々に成長にブレーキがかかり始めます。一方、仕事が不慣れな中でも、安易に答えを与えず、まず自力でやらせてみて、うまくいったこと、出来なかったことを振り返らせて、徐々にステップアップさせるような指導の下では、「若者」はぐんぐん成長していきます。ポイントは、既存社員達の「若者」に接する態度が決め手になるのです。

私がこれまでに出会った人の中には「若者」を成長させることが出来る人と、そうでない人がいました。その割合は前者が2、後者が8という感じです。さらに、後者の8には圧倒的に、経験豊富なベテラン社員が多かったと思います。人はだれでも、年齢を重ねるにつれて自分の経験を大きめに自己評価し、それを人に押し付けがちになります。指導を受ける側の立場、視点に立った「正しい接し方と指導方法」を身につけない限り、育成に関わろうとしない傍観者か、もしくは「若者」のエネルギーを殺す存在になってしまいます。

そこで、「若者」にとって悪い存在となっているベテランのイメージをはっきりするために、私が出会ったお三方について書きたいと思います。

一人目のSさんは、高校卒業後、某総合電機メーカーに入社し定年退職まで勤め上げられ嘱託再雇用となり、65歳で契約終了となると同時に、私が入社した商社に再就職しました。創業者である社長が大学を卒業してそのメーカーに入社し、Sさんにお世話になったことから顧問という肩書きが与えられ、さらにトヨタの高級車をプレゼントされるという厚遇で迎えられました。そんなSさんの社員に対する態度は常に高圧的でした。社員は、社長がSさんを大切にしていることを知っていたので、どんなに理不尽なことを言われても逆らわず、服従するような態度が固定化していました。Sさんは、朝礼等、社員の前に立つときは常に不機嫌で社員のこと、社内で見つけたことについて不平、不満を述べました。その内容ほぼ全て業務とは直接関係のないことばかりでした。例えば、ごみの捨て方が分別のルールを守っていないとか、お弁当の容器がきれいに水洗いされていないというようなことばかり指摘し、都度腹を立てました。注意だけならまだしも、Sさんはあろうことか、誰にも相談せず、個人のごみは一切捨ててはならないというルールを決めてしまいました。それ以降、社員はごみを自宅に持ち帰らなければならず不便な思いを強いられました。実施した意識調査のコメントに、「ごみを捨てることが出来ない会社など見たことも聞いたこともない」といった辛辣なものがありましたが、社員は皆、似たような感情を抱いていたと思います。Sさんは会社が導入した経費精算や勤怠管理のシステムに対しても社員向け説明会の場であからさまに拒絶する態度を見せました。まともに説明を聞かず「とにかく気に入らない」と発言しました。それでも他の社員は、社長の手前、それを咎めることもできず好き勝手を言わせるままになっていました。Sさんの中にはかつての会社の「道徳的規範」が強固に確立していて、それをあたかも絶対的正義のようにみなして、すべての場所で通用すると思い込んでいたのではないかと思います。Sさんのように頑なで自分の考えを絶対視し、人の意見に耳を傾けない人は、日本企業では決して珍しい存在では無いのではないでしょうか。そのようなベテランの存在が「若者」のやる気を奪い、イノベーションの妨げになっているということを、もう一度私たちは真剣に考え直すべきではないかと思うのです。

二人目のTさんは、某大手家電メーカーの経理部門を勤め上げ、定年後嘱託再雇用満了後に、私が入社した出版社の顧問を務めていました。週一回出社されて、社内の各部署から業務の報告を受け、適宜アドバイスをするという役割でした。社員が困っていること、悩んでいることへの解決策を提示することがTさんの役割だったはずですが、Tさんの存在自体が社員の悩みの種になっていました。Tさんが許可をしないと社長の決裁伺いが出来ないという暗黙の了解があり、Tさんを納得させることが社員にとって非常にストレスになっていたからです。私が苦心したことは、その会社では顧客情報の一元管理が出来ておらず、各部署で情報を共有して効果的な営業活動が出来ていないことをなんとかするということでした。そこで、クラウドサービスを導入して、短期間で、一気に抜本的な業務の枠組み改良を行うという問題解決の方向性を考えつきました。私が社長にプレゼンして決裁伺いをしようとしたところ、社長は、「Tさんに相談してから再度提案しろ」と指示しました。その時私は、入社して間もなかったことからTさんのことについて詳しいことを知りませんでした。Tさんに私のアイデアを説明しました。するとTさんは、アイデアの内容そのものについてコメントするのではなく「クラウドサービスには情報漏洩の危険性があるので導入は認められない」と言い出しました。私は、クラウドサービスの情報は暗号化されていて情報漏洩のリスクはゼロとはいえないまでも低い。その証拠に、多くの企業で採用、導入されていますと反論しました。しかし、Tさんは私の意見を頑として受け入れず「危険なものは危険」の一点張りを通しました。私は、Tさんが古い基準で物事を差配していることの問題点を社長に訴えました。そして、システムを導入することで業務効率が上がり社員の激務も解消されるので人事的側面からもクラウドサービスの導入は必要と主張しました。結局、私の必死の訴えが功を奏して社長から決裁を得て導入することが出来ましたが、導入後もTさん導入準備に横やりを入れて、ことあるごとに嫌味を言い続けました。Tさんの理解では、クラウドサービスは技術的にも未成熟で実用には耐えられないもの、という認識をもっていたのかもしれません。しかし、会社の持続的成長に貢献すべき顧問という役割を果たすのであれば、ご自身の経験を活かしつつも最新のテクノロジーに関する知識を実装して正しい現状認識と判断をしていただきたかったと思います。

三人目のGさんはバブル崩壊後に廃業した某大手都市銀行出身者で、私が入社したソフトウェア開発企業で、常務取締役として管理部門を管掌していました。この会社は、東証一部に上場していましたが、某大手メーカーの連結対象子会社でもあり、社長筆頭に同社から役員が天下ってきていました。Gさんがどのような経緯で取締役に就いたのかはよくわかりません。私が入社してしばらくした頃、急速に業績が悪化しました。赤字化することを避けたい経営の意向で50名程の雇用調整を実施することになりました。私はそれ以前の会社で雇用調整の実務を担った経験があったので、全体のスキームを考え、再就職支援会社など外部の協力企業との調整を詰めて、いよいよ退職勧奨の実務(部下面談)を担う管理職向けの研修日を迎えました。Gさんは、取締役として、担当する退職勧奨面談はなかったので研修には参加しませんでした。研修の終了間近、質疑応答のパートに入った頃、Gさんが研修会場に姿を現し、私たち人事部員が研修受講者である管理職達から様々な質問を受けている様子を会場の後方で腕を組んで見届けました。そして、質疑応答も混乱なく無事に終わりかけていた最後になって、ある管理職から私たちが想定していなかった質問が出されました。私は、取り決めていなかった内容だったため、持ち帰って検討し、ルールを決めて関係者に通知すると返事をし、管理職達はその回答に納得して解散となりました。私は、急ごしらえながら無事に一歩を踏み出せたと考えて安堵しました。そして、管理職全員が研修会場を退室して私たち人事部員が会場の片づけを始めようとしたところ、Gさんがものすごい剣幕で私たちのところに歩み寄ってきて「全員別室に集合しろ」と怒鳴りました。私たちは意味がわからず恐る恐る別室に入ると中央にGさんが座りじっと私たちをにらみつけています。全員着席した途端にGさんは一方的にまくし立てました。「管理職に質問されて答えられないことがあるなど言語道断だ。一つでも抜けがあればすべて意味がないことだ。お前たちの仕事はまったくなっていない。」私は悔しさと怒りのあまり握りこぶしを今にも机の上に振り下ろしたくなる衝動に駆られました。それでも我慢出来たのは、私が抜けて仲間に負担がかかることを避けたかったからです。銀行出身のGさんからすれば、数字が完璧に一致しなければすべてやり直しという仕事観から発した言葉だったと思います。同社にとって初めての大きな雇用調整であり、やってみないと分からないことも多々ある中で、しぶしぶ研修に応じた管理職達に、なんとか主体的に部下のことを考えさせることが出来たという意味で、研修の最重要課題はクリア出来たと自負していました。しかし、本題とは異なる、全く予想もしない視点から頭ごなしに否定されたことは、私にとって一生忘れない記憶として刻まれました。最終的に、雇用調整は計画通り進捗し、トラブルも一件も発生せず無事に終えることが出来ました。私たちがGさんから受けたようなことを起こさないためにはどうしたら良いか、私の問題意識の原点のひとつになっています。

私が関わったお三方の記憶をたどる中で、改めて「若者」のやる気を高めて、イノベーションの担い手となってもらうために必要なことがはっきりしてきました。それは、「成功体験」をもつベテラン社員の扱いをどうするのかということです。

今後日本の企業では、間違いなく定年延長が具体化していきます。政府は、社会保障費削減のために、これまで保障を受ける立場であったシルバー層を、社会保障制度を支える立場になってもらうということを企図していると思います。現在、多くの企業では定年は60歳で65歳まで嘱託として継続雇用するという制度を運用しています。今後、定年を65歳に繰り下げて、70歳まで働ける環境を整えるように多くの企業では対応するでしょうが、制度変更はあくまで表面的なことです。制度変更による影響は今回のブログに書いたような「若者」のやる気にまで及ぶことを政治がどこまで理解しているかは疑問です。

「若者」に接する態度を気を付けるよう、ベテラン社員に意識付けをするという消極的な方法では効果は覚束かないと思います。OJT研修をやっても効果は限定的でしょう。より強制力のある仕組みが必要と考えます。

私が勤務した会社では、60歳定年を迎えると、会社に出社する必要はなくなります。毎月仕事に関するレポートを会社に提出することで、65歳まで継続雇用されて給与が支給されるのです。これは、ベテラン社員による現役社員への影響を抑えたいという意図から設けられた制度のようです。しかし、同社も近々65歳定年に移行を余儀なくされるはずですので、同じスキームで環境変化に対応できるのか疑問です。

そこで思い出したのは、千葉県香取市、水郷と呼ばれた佐原を観光したときに聞いた「ベテランの扱い」に関する話です。江戸時代、幕府の直轄領として交易で繁栄した佐原では独自の文化が発達しました。ユネスコ無形文化遺産にも登録された山車曳き廻しは特に有名です。この山車が保管されている「水郷佐原山車会館」で、説明員の方に聞いたことが参考になると思うのです。佐原には江戸時代から続くすべての世代の男性によって組織される自治組織があります。そして、満60歳、つまり還暦を迎えると全員、無条件で若者の下に就いてお茶汲みをするのだそうです。このルールによって、権力が固定化されず、派閥もできず、世代の入れ替わりが円滑に行われてきたと説明員の方は力説していました。この佐原モデルからは、個人の意識に依存するのではなく、ベテランの役割を強制的に変えることの必要性について教訓を得ることができます。この智慧を「若者」が意欲高くエネルギーを発揮してイノベーションを起こす組織づくりに活かせないか考え続けたいと思います。

今回はイノベーションの担い手である「若者」がエネルギーを存分に発揮して、意欲高く幸福感を感じて仕事をするにはどうしたら良いかを考えました。人生100年時代といわれる今だからこそ、改めて世代間の良い関係性づくりについて、成り行き任せではなく、しっかりとした理念を掲げて、具体的な方策を講ずる必要があることを再認識しました。

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