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ビジネススキル研修② ロジカルシンキングーその1
実習「正直村人は誰?」(問題)

「ロジカルシンキング 問題解決スキルアップ研修」の中で使っている実習を特別にご紹介します。

実習「正直村人は誰?」です。演繹法と呼ばれる論理的思考力の演習として活用している実習の一部です。

「問題」と「答え」があるのですが、ここでは「問題」の方だけをご紹介します。ご興味のある方は挑戦してみてください。もし答えがお分かりでしたら、よろしかったら「コメント」欄に書いてみていただければ幸いです。

なお、「答え」は数日後に当ブログにてご紹介しましょう。

 

【実習「正直村人は誰?」】

問題 次の文章を読んで誰が正直村人か答えてください。またその理由も説明してください。

嘘つき村、正直村という2つの村人が住む島がありました。
嘘つき村の村人は、必ずうそをつき、正直村の村人は、常に正直であることは、世界中の誰も知らない人がないくらいに有名な事でした。
ある嵐の夜、一隻の船がその島の近くで座礁しました。夜明けに一人の船員が助けを求めてボートで島に近づいてみたところ、島には3人の男が集まっていました。
船員はこの島に住む2つの村の話を知っていたので、3人のうち誰が正直村人であるかを知ろうとしました。
そこで岸にいる第1の男に向かって「君は嘘つき村人か、それとも正直村人か」と聞いてみました。しかし荒波のため、第1番目の男の声は聞き取ることが出来ませんでした。
しかし第2番目の男がこう叫んでいるのが聞こえました。
「彼は正直村人だと言ってますよ。彼も私も正直村人なんです。」
すると第3番目の男が1番目を指さしてこう叫んでいるのが聞こえました。
「うそをついてますよ。彼はうそつき村人なのです。私の方が正直村人です。」

©2017 Venus Association

※実習「正直村人は誰?」の著作権は有限会社ヴィーナスアソシエイションに帰属しています。ご利用の際は、かならず引用元の明記をお願いいたします。

 

多くの経営手法はまやかしだった!

実に痛快な本を読みましたので、ご紹介します。

「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」カレン・フェラン著 大和書房出版

著者のカレンさんは、アメリカにおいて長年にわたりコンサルタントとして活躍されている方です。

 本書では、ご自身の体験から、ビジネスの常識として適用されている多くの経営理論やモデルは誤りであり、思った通りの効果を発揮することはないだけではなく、思いもよらない逆効果を発揮して経営の足を引っ張るという衝撃的なことを語っています。

 彼女によると、「目標による管理」「競争戦略」「コアコンピタンス」「業績給」「能力主義的人事制度」「プロセスエンジニアリング」などの今を彩る様々な経営手法は、多くの場合、専門家同士の評価や第三者による検証がなされておらず、その正しさを証明できるものはほとんどないとのことであり、多くのダイエット手法と同じように、ブームにはなるものの、テクノロジーを導入しても成功しないことの方が多いだけではなく、逆に、職場から人間性を奪うものであり、生産性や創造性の足を引っ張るという論旨を展開なさっています。

 彼女は、コンサルタントとして、多くのコンサルティング案件を手掛けてきましたが、コンサルティング案件として受注するために、「在庫管理システムの構築」「工場におけるプロセスエンジニアリング」などの専門用語を使ったテクノロジーを駆使したように見せかけてはいたけれど、本当に業務改善が起こったとしたら、それは、職場の人間性の回復とコミュニケーションの改善による信頼関係の回復によるものだったと暴露しているのです。

 私も、実は、この仕事を始めたのは、学卒後に就職した会計事務所からであり、当初は、経営コンサルタントとして企業の戦略や業務改善を担当していたので、彼女の告白は、本当によくわかります。

 私は、大学時代、経営コンサルタントの仕事がかっこいいと思っており、そんな憧れをもって、とあるコンサルタント会社系列の会計事務所に入社した次第です。あこがれていた仕事ですので、それは一生懸命に勉強し、若いながらもがんばってコンサルティングの仕事にいそしんでおりましたが、頑張れば頑張るほど、何かがおかしいことに気づくようになってきました。端的に言うと、どんどん心が冷たくなっていったのです。まさに、新興宗教収益性教、効率性教、強者必勝教のバリバリの信者となり、それと同時に、何か大切なこと、優しさや思いやり、情熱や気高い思いをどんどん失っていったように思えます。

 そんな体験から多くの疑問と問題意識を感じ、私は、仕事自体はやりがいがあり、おもしろかったのですが、もっと本質的に大切な人間そのものを応援できる教育研修の業界に転職して現在のキャリアをはぐくんでいくことになりました。

 ちなみに、私が所属していた経営コンサルタント会社は、その後、多くのクライアント企業をプロデュースし、有名にして上場まで導き、一世を風靡した時代を築いたのち、あまりの強欲さと強引さと酷薄さによって顧客から見放され、あっという間に倒産してしまいました。

 まさに、力によって成長したものは、ふるったその力によって滅びるのです。因果応報の理は、どんな人も組織も逃れることはできないのです。

 カレンさんは、経営は科学ではないと言い切っています。科学的に分析し、数値的に把握し、管理すれば経営はうまくいくはずだという経営学の常識は、間違いであり、そんなことを真に受けてまじめに突き進むと、とんでもない隘路にはまってしまうだろうと警告されているのです。

 彼女によると、経営とは、人なのです。装置や建物や経営テクノロジーがどんなに立派でも、それ自体がイノベーションを起こすことなどなく、要するに「非理性的で感情的で気まぐれで、クリエイティブで、面白い才能や独創的な才能を持っている人間たち」こそが、未来を開いていくのであって、そのような人間が、理論どおりに動くはずがないと言っています。私もまったくその通りだと思います。

 カレンさんは、「大切なことは、モデルや理論などは捨て置いて、みんなで腹を割って話し合うことに尽きる」と主張されています。様々な経営理論や手法が、本当に良いものだったら家族に適応してみることを検討してみると良いとも言っています。例えば、業績考課制度。本気で業績考課制度を家族に導入してみたいと思っている人がいるでしょうか?そんなことを子供たちに適応してまじめに運営したら、きっと子供たちは病気で精神科にかかってしまうだろうと書かれています。本当にその通り、自分の家族にできないことを職場の仲間にやるということは、やっぱりどうかしていると思われても仕方がありませんよね。

 本書には、私自身、大いに勇気づけられました。創業以来15年間、はやりの冷たい経営テクニックに流されることなく、元気と勇気と信頼の回復をテーマとして、人とチームが本当にそう生きたい生き方の後押しをすること、真に役に立つ応援をすることをモットーに頑張ってまいりましたが、そのやり方が、決して間違えではなかったといってくれているようです。

 この本のメッセージの通り、これからも、コミュニケーションの改善と信頼関係の促進、元気と勇気と信頼の回復をテーマとした、本当に良い研修を展開していきたいと改めて思った次第です。

 素敵な本に感謝です!

企業の存続と成長に必要なもの

人に対して冷たい風潮を笠に着て、人に対して冷たい施策や手法が跋扈している現状は、決して、栄誉なことではない。

人の恐怖心を利用した施策は、決して永続的な繁栄を生まない。

無慈悲なやり方は、希望を放棄したリーダーの産物であり、結果的には絶望しか生まない。

規模と利益は、企業の存続と成長を保障しない。
無理を重ねた力で勝利したその同じ力で敗北を招くだろう。

企業の存続に必要なものは、こころざしだ。

こころざしこそが未来の繁栄を生み出す青写真だ。

あなたは、いったい何のために経営するのか?

あなたは、いったい何のために生きるのか?

あなたは、今していることをするために生まれて来たのだと胸を張って言えるだろうか?

今取り戻さなければいけないものは、生産性でも収益性でもない。

今取り戻さなければならないものは、ひとえにあなたの志なのだ。

企業の存続と成長に必要なものは、あめとムチではない。

あめとムチは、容易で効果的に見えるので、恐怖に首を垂れたリーダーが安易に使う方法だが、遠からず構成員の情熱の火を消し、分離感やうつ気質を強め、防衛的風土を助長し、生産性の低下のみならず、不測の事故、衰退を招くだろう。

企業の存続と成長に必要なものは、イノベーションだ。

人は、欠点を持った完璧ではない存在ではあるが、断じて無力ではない。

その可能性と潜在性は、人の想像をはるかに超えて大きい。

その情熱と英知に火が付いたならば、想像もつかなかったような奇跡が起こる。

日常の仕事の中で、優れたアイデアが湧き起り、情熱のエネルギーが響きあい、現実を変えていく。

絶望のリーダーには全く理解できない希望がある。

人はどんなに脅されても、創造性も革新も生み出すことはできない。

人がそうできるときは、真にそうしたい時だ。

人が、自分の素晴らしさを表現したいという情熱、人に貢献したいという気高い思い、未知なものに挑戦したいという勇気は、真に健康で信頼のできる温かい風土から生まれる。

北風にはできない太陽の技がある。

今、日本の企業が隘路にはまっているのは、その技を忘れたからだ。

今こそ、志と勇気を取り戻す時。

人本来の素晴らしい可能性を引き出して、イノベーションによる持続的成長を図る時だ。

奇跡への一歩を踏み出そう。

新しいモチベーション理論 ③

【成果主義の弊害の事例】 モチベーション3.0 ダニエル・ピンク著より引用

ダン・アリエリーも含めた四人の経済学者たちは、インドのマドゥライに仕事場を構え、外発的動機づけが成果に及ぼす影響を研究した。・・・彼らは八七人の参加者を集め、何種類かのゲームをしてほしいと頼んだ。たとえば、的に向かってテニスボールを投げるとか、・・・インセンティブの影響を調べるために、あるレベルの成績を達成した場合の報酬として、被験者に対して三種類の金額を提示した。
参加者の三分の一は、目標成績を達成した場合に、四ルピーという少額の報酬を与えられる
(・・・アメリカのおよそ五〇セントに相当)、もう三分の一の参加者は、四ルピーだ(およそ五ドルに相当)、残りの三分の一は、四00ルピーというたい一ん高額な報酬を呈られることになっていた。

 どのような結果が出ただろうか、報酬金額の違いは、目標の達成具合を反映していたのだろうか?答えはイエスだ。だが、その答えの中身はあなたの予想に反しているかもしれない。中問の四0ルピーを提示された人たちは、四ルピー提示された人たちよりも成績が悪かった。では、四00ルピーという、高額のインセンテイブを提示されたグループはどうだ一たのだろうか?このグループの成績は最悪だった。ほとんどすべてのゲームで、少額の報酬グループにも中問の報酬クループにも、後れをとっていた。・・・・

このように一見矛盾する結論に達したのは、アメリカの研究者だけではなかった。ノーベル経済学賞を11人輩出しているロンドンスクール・オブ・エコノミクスの学者が、二〇〇九年、五一社の成果主義の給与体系を分析した。その結果、「経済的なインセンティブは、全体的な成績に悪影響を与えるおそれがある」という結論に達した。

新しいモチベーションの理論 ②

【成果主義の弊害】 モチベーション3.0 ダニエル・ピンク著より引用

レッパーとグリーンの初期の研究・・・は、・・・モチベーシヨン関連でもっとも引用される論文となった。この三人の研究者は、幼稚園児を数日問にわたって観察し、「自由遊び」の時間に絵を描いて過ごす子どもたちを見つけた。次に、この子どもたちが楽しんでいる活動に対して、報酬を与えた場合の影響を調べる実験を考案した。

彼らは子どもたちを三つのグループに分けた。1つ目のグループは、「賞がもらえることがわかっている」グループである。一人ひとりに「よくできました」と書いた賞状-青いリボンをつけて、子どもの名前が記されている-を見せ、「絵を描いて、この賞状をもらいたいか」と子どもたちに訊ねた。二つ目のグループは、「賞をもらえることを知らない」グループだ。研究者らは子どもたちにただ、「絵を描きたいか」とだけ訊ねた。そして子どもたちが絵を描き終えると、「よくできました」という賞状を渡した。三つ目のグループは、「何ももらえない」グループだ。「絵を描きたいか」と子どもたちに訊ねたが、絵を描く前に子どもたちに賞を約束したわけでもないし、終了後に賞状を渡したわけでもなかった。

それから二週間後の自由時問に、幼稚園の先生は紙とフェルトペンを用意した。一方、研究者らは密かに子どもたちを観察していた。「賞をもらえることを知らない」グループと「何ももらえない」グループの子どもたちは、実験前と同じくらいたくさんの絵を、実験前と同じくらい熱由心に描いていた。ところが、賞をもらえることがあらかじめわかっており、そのとおりにもらえたグループの子どもたちは、実験前より絵に対する興味を大幅に失っており、絵を描く時問も格}段に少なかった。

新しいモチベーションの理論

 ダニエル・ピンクによると、モチベーションの考え方は、以下の3つに分類できる。

【モチベーション1.0】  あめとムチによる動機づけ。企業経営の本質的な部分だとみなされてきたが、さまざまな実験で意図通りには機能しないことが分かった。

【モチベーション2.0】  交換条件付き報酬(成果型賃金制度の様な)。ほとんどの状況で効果がないばかりか、レベルの高い創造的で思索に富んだ才能をつぶしてしまう。

【モチベーション3.0】  自律性(自らの人生を管理したい)、熟達(自分の能力を広げて伸ばしたい)、目的(大義を持って人生を送りたい)、という人間に深く根差した欲求による動機づけこそが真の成長や高い成果につながる。

 

 ピンクは、著書「モチベーション3.0」の中であめとムチや報償によるコントロールが機能しないだけではなく弊害をもたらすことを多くの実験データを使って証明している。以降その実験を紹介していきたい。 

 

成果主義の功罪

会社は、運命共同体です。私は家族だとさえ思っています。実際、伊那食品工業の社員たちは、自ら「伊那食ファミリー」と言っています。弟が力持ちでよく働けるからと言って、お父さんやお兄さんのごはんを減らして、弟に食べさせるでしょうか。弟さんにしたって、そんなことは嬉しくないはずです。家族それぞれが自分のできることを精いっぱいやって、共同で責任を持ち、ご褒美も家族みんなで分かち合うことのほうが、幸せではないでしょうか。

リストラなしの年輪経営(光文社) 塚越寛著 より引用

B動機とD動機

D動機とB動機という概念は、人間性心理学の巨大な哲人A.マズローによるものです。
今日は、弊社の基盤となっている考え方のひとつである”マズローの動機付け”に関する弊社なりの認識をご紹介したいと思います。
マズローによると、人が行動を起こす動機は、大きくD動機とB動機に分類できるとされています。
D動機とは、欠乏動機と訳され、「自分には、何かが足りない」と認識している人が「足りない何かを満たさなければならない」と思い、自分以外の何かを求めてそれを得ようとする欲求を言います。それは、恐怖や不安に基づく動機でもあり、「そうしないと怖いからする」といった焚き付けられるような渇望ともいえましょう。
一方、B動機とは、Be(存在、実存)から来る動機であり、自分自身の内面にある価値を表現していきたいと願う、自己実現の欲求であるとされています。B動機は、欠乏動機を追い求めることではなく、むしろそこから脱して自由となった人に訪れる欲求であり、「本当にそうしたいからする」といったシンプルで自然な欲求であり、健全なチャレンジ精神の根源ともなるので、その人の本来の潜在的な可能性とも言える動機ともいえます。

マズローは、従来の経営管理は、人のD動機に働きかけて、人をうまくコントロールしようとする権威主義的なものが多く、その方法は、次第に機能しなくなるだろうと予測し、これからのマネジメントは、人の本来の力や可能性を引き出すB動機に働きかけるものであるべきであり、そのようなマネジメントこそが、人の本来のすばらしい創造力を引き出すのだと述べています。

マズローは、
『人はだれでも、より高次の価値を体現したいという生まれながらの欲求を持っている。ちょうど亜鉛やマグネシウムを摂取するという生理的な欲求が、生まれながらに備わっているのと同じように。このことは、より高次の欲求や動機付けが生物学的起源を持つことを明確に示している。あらゆる人間は、美、真実、正義といった最高の諸価値を求める本能的欲求をもつのである。この考えが理解できれば「何が創造性を育むのか」が問題ではないことが理解できよう。真に重要な問題とは、「誰もが創造的とは限らないのはなぜか?」ということなのだ。』
『…何世紀もの間、人間性は軽んじられてきた。』
として、人間本来の力を阻害するD動機による支配を明快に批判しています。

そして、『人間が成長するにしたがって、権威主義的経営管理はいっそう深刻な問題を引き起こすようになる。成長した人間は、権威主義的状況の下で実力を発揮することはできず、そうした状況を嫌悪するようになるのだ。』として、個人の成長が、組織や社会のあり方を変えていくであろうことを示唆しています。『…恵まれた状況を経験した人間は、劣悪な状況には満足しなくなる。…人間が成長し、精神の健康度を増すにつれて、競争を勝ち抜く手段として進歩的な経営管理がいっそう求められるようになり、権威主義的経営管理を続ける企業はますます不利な状況に追い込まれる。』と予言し、このことは、学校や宗教団体でもまったく同じことが起こるだろうと言及しているのです。

マズローが予言した状況は、まさに現代が抱えている問題のエッセンスといえましょう。
毎日のように起こる企業の犯罪、問題行動は、やはり、前時代的な恐怖による支配、管理が行われている企業体質に多く発生しており、逆に、コミュニケーションや人間性を大切にしている進化したマネジメントを実践する会社は、ますます成長軌道に乗ってきております。
また、マズローは、『厳格な権威主義的経営管理スタイルから参加型の経営管理スタイルへと移行し、権威による厳格な規制が取り除かれた直後は、無秩序状態が生じ、鬱積していた敵意や破壊性などが噴出してくる。』とも言及しており、進化に伴う痛みについても示唆していますが、今まさに起こっているさまざまな悲劇は、まさに変わろうとしている社会の生みの苦しみなのかもしれません。そう考えると、時代のダイナミズム、大きなうねりを感じます。また、戦争や多くの悲しみの先にあるものは、絶望ではなく、新しい社会の可能性なのかもしれません。

引用「完全なる経営」マズロー 日本経済新聞社

ダイアローグに至る過程‐新しい時代のマネジメント⑤

第1ステップ 懸念の解消
人と人とが出会うと、必ず懸念(疑惑、不安)が発生しますが、コミュニケーションが徐々に活性化し、お互いの理解を深めることができれば、自然に解消され、信頼へと変容していきます。

第2ステップ フィードバックと自己開示
信頼関係が醸成されてくると、メンバー個々人の内面で感じていることが、次第にオープンとなっていきます。フィードバックは、相手に映った自分の姿を聴くことであり、自己開示は、今ここで体験している気持ちやアイデアをオープンにしていくことです。
フィードバックと自己開示が行われると、個々人のグループへの関わり方は、真剣でより誠実なものに変わり、お互いに向ける関心や、相互理解が桁違いにレベルアップしていきます。メンバーは、チームの一員であることをしっかりと受け止め、たとえ不快な問題があっても、その問題が、自分とは異なる対象と言うよりも、自分もその問題の一部であると感じるようになり、解決に向けて主体的で積極的、責任あるかかわり方をするようになります。

第3ステップ 認知バイアス(偏見)の解除
深く正確なコミュニケーションが行われるにつれて、内面に隠されていたメンバーの本音や真相に光が当たり、メンバーは、より本当のことを理解するようになります。そのようにして明らかになってきたありのままの現実を正確に認識できるようなると、自分の中で信じ込んでいたさまざまなことが、真実ではなく、単なる誤解であったり、思い込みであったり、偏見であることに気づいてくことになります。
また、自分の立場や価値観、信念を防衛する必要がなくなるので、次第にそれらに固執することが孤独と感じるようになり、こだわりを捨てて、謙虚にメンバーに耳を傾け、正味相手の立場に立って、相手の理解をすることができるようになります。

第4ステップ エネルギーの集中
物理学者デビッド・ボームは、自身の「ダイアローグと思考の研究」のなかで、ダイアローグの状態を超伝導に例えました。
超伝導とは、特殊な合金を冷却して行くと、ある低温下の温度で、電子が自由となり、全く抵抗がない状態となり、非常に大きなエネルギーを生み出すことが可能となる現象を言います。
まさに、ダイアローグは、個々人の潜在能力を開放し、チームが一丸となって、大きなエネルギーを発揮している状態といえましょう。ダイアローグにおいて、メンバーは自由でリラックスしており、お互いに人間としての深い関心が向けられており、発言内容はもちろんのこと、発言者の気持や意図、雰囲気にいたるまでありのままに理解することができるので、交流する情報や感情は、質量ともにけた違いにレベルアップします。話し合いのテーマに対しての深い集中がなされており、出てくるアイデアや企画も創造的で質の高いものになるのです。まさに、生産性や創造性の高い、ハイパフォーマンスな輝かしいチームといえましょう。

<体験学習の地平>
ダイアローグは、そのエネルギーと創造性を武器として、組織を活性化し、組織に決定的な競争優位性と成長力をもたらすでしょう。体験学習は、組織をダイアローグ型に変容する可能性を秘めた非常に優れた学習方法です。今後、その役割はますます重要となってくることでしょう。来るべき素晴らしい時代に向けて、人間性を大切に育む精神を脈々と伝えてきた体験学習が、ますます多くの人たちと組織に役立ち、未来を開く手助けとなることを願っております。

ダイアローグとは‐新しい時代のマネジメント④

「ダイアローグ」は、「対話」を意味する言葉ですが、組織論においては、質の高いコミュニケーション、非常に深い相互理解と柔軟で創造性に満ちたチームの関係性を指し示す言葉として使われており、組織の存続と成長をもたらすキーワードとして注目されてきている言葉でもあります。

 ダイアローグが社会心理学的な用語として使われ始めたのは、実存哲学者マーチン・ブーバーによる哲学書「我と汝」からと言われています。
 ブーバーによれば、私達の関係のあり方は、お互いに利用しあう関係の「我ーそれ」の関係と、お互いに心から全人的に関わる「我ー汝」の関係の2種類があり、後者の際に交わされる会話のあり方を「ダイアローグ(対話)」と呼んだのです。関係性が「我ーそれ」であった場合、もたらされる結果は、葛藤や戦いであり、「我ー汝」のダイアローグの関係であった場合には、相互理解と平和、そして本当の意味での成長がもたらされると考えました。

近年『学習する組織(Learning Organization)』と言う理論、考え方が、経営学において注目されています。もともとは、1970年代にハーバード大学の組織心理学者クリス・アージリスによって唱えられていた概念であり、現在では、マサチューセッツ工科大学のピーターセンゲ教授が中心となり、世界的に広く知られるようになってきています。

 この理論によると、組織の競争力を高め、持続的成長をもたらす最も重要なことは、自ら問題を発見し学習し解決をはかる主体的に成長する「学習する組織」の体質を作ることであり、ダイアローグは、そのような組織を作るための重要なツールとなるとされています。

 体験学習は、コミュニケーションスキルの向上、チームビルディングをもたらす非常に優れた教育メソッドであり、組織をダイアローグ型に変容し、組織のもともと持っている素晴らしい力と可能性を引き出す強力な実践ツールです。
 私は、体験学習を通して、組織をダイアローグ型に変容していくことが可能であり、その際には、以下のステップに従って成長を遂げていくと考えています。