月別アーカイブ: 2009年10月

矢野さんの事例(道は開ける)

 矢野氏は、中央大学の夜間部を卒業後、妻の家業のフグ養殖会社を継ぐが、2年半で倒産。数千万円の借金を残して、夜逃げをした。

 生活のために百科事典の訪問販売の職に就くが、飛び込み営業が全く出来ずに、数カ月で退職する。

 その後、ちり紙交換、ボーリング場など、職につくものの安定せず、転職を繰り返す。9回目の転職でビニール雑貨の雑貨商となる。

 要するにバッタ屋であり、倒産した会社や倒産しそうな会社から捨て値で仕入れた商品を、移動で販売する仕事であり、固定客もつかず、かろうじて食いつなげるだけの経営を続けていた。

 そんなある日、顧客から「安物買いの銭失い」と言われ、カッと来て、やけくそになって、採算度外視で良いものを全品100円均一で閉店セールと称して販売した。

 すると、驚くほどお客さんが集まり、大反響となり、売り上げも増大した。それに比例して仕入れ先も拡大し、商品アイテム数も増えていき、店舗も大きくなっていった。

 現在、矢野氏の雑貨商は、ダイソーとなり、年商二千億を超える一大小売りチェーン店へと変貌を遂げたのである。

 

                          (参照 「逆転バカ社長」石風社)

学習性無力感

 ”学習性無力感”とは、米国心理学者M.セリグマン(1943~)によって発見されたユニークな心理理論であり、教育に携わる私たちにとって、多くの教訓を示してくれる考え方だと思いますのでご紹介します。
 なお、以下の文は、『オプティミストはなぜ成功するか』(M.セリグマン 講談社文庫)を参考にして、書いております。

<心理学を志す>
 セリグマンは、13歳の時に、父が病気により体が麻痺すると同時に、うつ状態となり、不幸な晩年を送ったことを契機に、父親のような人たちの助けとなりたいと思い、心理学を志すようになり、1964年、ペンシルバニア大学の大学院に進学しました。
 その頃の、心理学は、”行動主義”と呼ばれる考え方が主流となっておりました。
 行動主義とは、「おおよそ、生物は、”刺激→反応”のパターンを観察、計測し分析することで、その行動を説明し、コントロールすることが出来る。」と言う考え方に基づいていたのです。
 現代では、生命は、そのような単純なものではなく、”刺激→有機的存在→反応”と言う複雑なプロセスを経て主体的かつ個性的な行動をする存在であると言う考え方が主流であり、行動主義心理学は、心や意識を無視し、主体性をないがしろにしているとの理由で批判されることが多いのですが、当時は、一種の暗黙の規範のように、「”行動主義的”な考え方でなければ心理学ではない。」と言えるほどの強い権威を持った考え方だったのです。

<きっかけとなった心理実験>
 セリグマンが、進学時に大学院で行われていた実験も、まさにこのような”行動主義心理学”に基づいた実験でした。
 実験は、「パブロフの犬」に代表される条件付けの実験であり、犬に”刺激→反応”のパターンを学習させることを目的とした実験だったのです。
 実験は、3段階で構成されており、まず、第一段階として、”高い音”をならした直後に電気ショックを与えることを繰り返し、犬が、高い音と不快なショックを結びつけるようにして、後で、犬が音を聞いただけでショックを受けたときと同じように恐れて反応することを学習させると言った条件付けを行ないます。
 第二段階として、犬は、シャトルボックスに入れられます。シャトルボックスは、2区画に仕切られ、間に低い仕切り板があり、犬が望めば、飛び越えることが出来る高さとなっています。
実験は、シャトルボックスの片側にいる犬に、電気ショックを与えるが、仕切り板を飛び越えて、隣室に入るとショックが止まることを繰り返し、「電気ショックが起これば、仕切り板を飛び越え、隣室に入ると、ショックを止めることが出来る」ことを学ばせることです。
 そして第三段階は、電気ショックを与えずに、高い音がなれば、音だけで仕切りを飛び越えることができるかどうかを試みることが実験企画の全体の内容でした。
 セリグマンが、大学院に進学したそのときに、ちょうどこの実験が行われていたのですが、実は、実験はもくろみの通りに進んでおらず、諸先輩が、困っているところだったのでした。
第二段階において、犬は、電気ショックを与えても、ただ鼻を鳴らしているだけで、ショックから逃げるために、シャトルを仕切る板を飛び越えようとせずに、ただ座り込んでいたのでした。
その時、セリグマンは、犬の様子を見て、「父のうつ状態」と似ていると直観しました。
 セリグマンは、この実験の犬は、どんなに逃げても、この電気ショックからは逃れられないことを理解し、無力感にさいなまれ、うつ状態になったのではないかと考えたのです。

<学習性無力感>
 セリグマンのこの直観は、行動主義心理学に教化されていた諸先輩からは、「勘違いだ」「動物が、そんなに高度な精神活動はしていない」と否定されましたが、セリグマンは、めげずに、実験を繰り返し、ついに「動物であっても、自分でコントロールできない避けがたい出来事を多く体験すると、無力感を学習し、無抵抗なうつ状態になる」ことを論文で発表しました。
 この論文は、支配的だった行動主義の考え方に強烈な一撃を加えることになり、当時の心理学会に大反響を与えることになったのです。
 犬が体験したうつ状態は、後に「学習性無力感」と呼ばれ、このセリグマンの考えは、広く一般に認知される心理学の理論となりました。

<学習性無力感の教え>
 ”学習性無力感”…学習(狭義の)によって、うつとなり無力になる、とはなんと皮肉なことでしょう。
 学習性無力感は、ある意味、”あめとムチ”で他者をコントロールしようとする試みは、決して教育にはつながらず、結局他者をうつ状態にしてしまうことにつながってしまうことを証明する理論でもあると言えましょう。
 人は、自分らしく輝いているときには、想像もつかないような大きな仕事をやり遂げる力がありますが、うつ状態に陥れば、考えられないような失敗や問題行動を起こしてしまう可能性があります。
 厳罰によって従業員の行動を管理しようとした2005年4月25日に起こったJR西日本の尼崎における大事故は、そのことを象徴しているようにも思えます。

・問題解決に必要なことは、恐怖ではなく信頼である。
・人は、不安で怖いから有能になるのではなく、自由で楽しいからこそ輝く。

 学習性無力感の理論は、教育やマネジメントを考えるに当たって、私たちに、強く気をつけなければならない教訓を示してくれているといえましょう。

 

<関連書籍>

単行本『To be Yourself』より抜粋

 

<関連プログラム>

リーダーシップ研修”To be a Hero”

コミュニケーション研修”アドベンチャー トゥ エンカウンター”

体験型新入社員研修”アトランティックプロジェクト”

スーダンで医療活動する元大使館医務官

 今朝(2009年10月26日)の朝日新聞朝刊で、川原尚行さん(44)とおっしゃる医師の記事が掲載されていましたので、ご紹介します。

 川原さんは、もと外務省の職員であり、アフリカ北東部スーダンに、日本大使館医務官として赴任していました。しかし、スーダンでは、マラリアやコレラで多くの子供が亡くなっており、10人に一人が5歳まで生きられない状況だったのです。川原さんは、そんな現状を目の当たりにして、医師としていたたまれない思いだったとのことです。しかし、大使館の医務官としては、現地の人たちを診察することは許されないので、なんと、外務省を退職し、現地の医師免許を取得して医療活動を始めたのです。現地では、お金を得ることもできずに、1700万円だった所得が無収入になったとのことです。

 名誉も権威も安定した職も所得も投げうって、困っている人たちのために従事する。世俗の価値観に染まった立場から考えると、途方もない人生の意思決定です。いまどき、こんなに熱い人がいるのかと、驚いたと同時に同じ日本人として誇らしい気持ちにもなりました。

 川原さんは、NPO法人「ロシナンテス」を設立し、活動資金を寄付で賄っているとのことです。私も少しでも役に立てればとわずかではありますが、寄付をするつもりです。

 「混乱が続く国で子供たちの夢を持ってほしい。子供に必要なのは、笑顔で遊ぶこと」を志を語る川原さん。その志が実現されることを心から応援したいと思いました。

大志を抱く(澤田さんの事例)

 澤田秀雄氏という20代の青年がいた。

 福岡の古くうす暗く狭いマンションの一室でヒデインターナショナルという格安航空チケットを販売する会社を経営していた。

 澤田氏は、GパンとTシャツでおおよそ社長らしからぬ恰好をしており、事務所は、貧乏そうな雰囲気であるが、言うことだけは大きかった。

 「将来は、旅行業界で日本一の会社になって、ホテルも航空会社もやるよ。海外にも支店をつくるし、移動は自家用ジェット機だ。」

 現実と言うことのあまりの格差に、この人は大ぼら吹きだ、誇大妄想病か詐欺師だと思った。しかし、何度会ってもいつも同じことを熱っぽく語った。

                                   (参照:逆転バカ社長 石風社) 

 

 このヒデインターナショナルは、この5年後(1990年)株式会社エイチ・アイ・エスと社名を変更し、1996年にスカイマークエアラインズを設立し、2004年に東証で一部上場し、2006年ついにJTBを抜いて国内旅行業界で一位となる。

 ありえなかった澤田氏の夢は、20年後にはすべて実現したのである。

キャリア講座ラッシュ

月火水と別々の大学でキャリア講座を担当してきました。

 

月曜は、T大学のキャリア形成論であり、今回の概要は、以下の通りです。

【T大学キャリア形成論】

<テーマ>「自分らしく輝いて生きるために必要な要素」

<内 容>①大脳生理学から見た”自分らしく輝いて生きるためのポイント”とは

       ②自分らしく力強く生きる人生を導く志の重要性

 

火曜は、J大学の就職活動グループワーク講座であり、今回の概要は以下の通りです。

【J大学就職活動グループワーク講座】

<テーマ>「コミュニケーションの改善ポイント」

<内 容>①面接の留意点

       ②実習「ポスターを復元せよ」

       ③コミュニケーションの改善ポイント

       ④内定を取れる学生の特徴

 

水曜は、J短期大学の就活に役立つコミュニケーション講座で、概要は以下の通りです。

【J短期大学 就職活動に役立つコミュニケーション講座】

<テーマ>「コミュニケーションの重要性」

<内 容>①コミュニケーションの重要性

       ②実習「絵によるコミュニケーション」

       ③コミュニケーションと信頼関係

 

 後期は、基本的に毎週講座が続きます。

 忙しくはなりますが、こうしたやりがいのある講座を担当できることは、とても光栄であり、ありがたく思っています。せっかく集まってくれる学生たちにとって、価値ある時間となるように一生懸命に頑張りたいと思います。

夢を語る力③ 「マイルストーンとしての目標」

③マイルストーンとしての目標

 目標とは、ヴィジョンに向けてのマイルストーンであり、中間地点におけるありたい目安です。

 前述のとおり、ヴィジョンが、本当にそうしたい喜びを伴うリアルゴールだとしたら、目標は、たいていの場合は、ヴィジョン実現のための苦労や努力や犠牲という位置づけになることが多いのではないでしょうか。

 しかし、職場の中で、多く見かけるのが、まさにこの目標であり、この目標の向こう側にあるヴィジョンは、背景画として注目されていないのです。

 確かに目標は大切であり、無視することはできませんが、それだけでは、機械的な生命力のない職場ともなりかねません。やはり、リーダーとしては、仕事の意義、大胆な夢、希望と喜びを語る必要もあるのではないでしょうか。

 夢を語るためには、勇気が必要です。実現の確信がなければそうそう語れるものではありません。しかし、勇気こそがリーダーに期待される特性であります。勇気と情熱をもって夢を語っていこうではありませんか。

夢を語る力② 「ヴィジョン」

②リアルゴールとしてのヴィジョン(夢)

 ヴィジョンとは、長期的な目標であり、夢と言い換えることができるかもしれません。古来から、ヴィジョンには不思議な力があると言われており、活きた夢を内面に育み、人に語り、努力を続けた人たちが、魅力的なリーダーとなり、夢を実現してきたのです。

 しかし、このヴィジョンは、それを思い浮かべた時に本当の心からの喜びを感じられるものでなければ機能しません。通常私たちが目標や方針を考えるときには、リアルゴールではなく、途中の手段としての目標に注目しがちです。

 たとえばダイエット目標を設定するときには、「1週間で3キロ減量!」「毎日、ジョギング、腹筋、腕立て伏せ!」「1日2食は、野菜のみ!」「継続は力なり!」「断ビール!」など、思い浮かぶ目標は、苦難と努力と犠牲の連続であり、それを見て心から喜べるものではありません。しかし、こうした喜びを感じられない目標は、ヴィジョンとして機能しないのです。ヴィジョンとは、本音でそうしたい、そうなると心から嬉しいと感じる夢であり、この場合は、「南国で水着を着て泳ぐ楽しむ自分の姿」こそがヴィジョンと言えましょう。

 ヴィジョンは、自分の人生のみならず、職場においても必要です。職場としてどんな未来像を理想とするのか?どんな夢があるのか?何を実現できれば心から嬉しいと感じられるのか?こうした問いに、リーダーとして向き合い、項目をあげて、自分の言葉として語れる必要があります。あなたの職場のヴィジョンはどんな事ですか?

夢を語る力① 「哲学(志)」

<夢を語る力>

哲学(志)とヴィジョンと目標は、リーダーにとっての3種の神器です。リーダーは、この3つの視点から、活きた言葉で夢を語り、部下の力を結集しなければなりません。

 

①人生の基軸となる哲学(志)

 輝くリーダーの多くは、人生を貫くこころざしとなる哲学をハートに抱ています。

 言葉にすれば、「愛」「勝利」「正義」「力」「思いやり」など、青臭い陳腐な言い古された言葉であるけれども、そんな言葉を生きた言葉として胸に根付かせて、真剣にそう生きている人たちがいますが、そんな人たちこそが、年をとっても青春を生きており、筋が通っており、魅力的で、ぶれない逞しいリーダーとして活躍しているのです。

 逆に、ハートに志を持たない人は、主体的ではなく、反応的に従属的に生きており、たとえ若くとも心は年老いているのです。自分らしく輝く力強いリーダーとして、より大きな良い影響力を発揮していく上でも、自分の志と哲学をもう一度見直してみませんか。

ラビ・バトラの近未来予測

 ラビ・バトラ氏は、経済学者であり、サザン・メソジスト大学の教授を務めながら、数々の経済予測の本を出版されています。彼の経済予測は、現実に的中することで有名であり、その鋭い分析と予測に多くの尊敬を集めています。

 今日は、彼の2008年1月出版の著作「2010年 資本主義大爆裂」の近未来経済予測をご紹介します。ラビ・バトラ氏によれば、2008年初めの段階で、数年後はこんな年になると予測していました。

<近未来の経済予測>

予測1 原油価格は100ドルを超えて高騰し続ける

予測2 「サブプライム住宅ローン危機」は再三爆発する

予測3 2008年、米大統領選挙は民主党の勝利

予測4 アメリカの大企業の破綻が続発する

予測5 日本の好況は2008年半ばか末まで

予測6 2009年に、イランが新たな中東の火種となる

予測7 アメリカの資本主義は数年内に終焉する

予測8 2009年後半から2010年に前半に世界的な重大危機

予測9 中国も2010年に危機到来

予測10 日本でも新たな経済システムの胎動が起こる

 

 こうみると、一つ一つ順番に予測が実現してきているようで、分析の鋭さに驚くと同時に空恐ろしさを感じます。

 ラビ・バトラ氏によると、今は、古い社会経済体制が崩壊し、新しいシステムが始まる歴史的な大転換の真っただ中にあると考えられています。古い経済社会体制は、貧富の格差の究極の拡大や強欲の追求による腐敗などで自壊し、新たに、富の集中を排除した倫理的で持続可能な経済システムに変わっていくだろうと彼は考えているのです。

 彼の考える新しい経済社会体制は、プラウト経済と呼ばれており、詳細については、また別件でご紹介したいと思いますが、希望を持てるシステムといえる体制で、今の激動の時代は、新しい未来に向けての生みの苦しみの時代なのかもしれないとも思いました。